「1人でも多くの人々にスティーブの作品を届けたい」 iPhone 4Sへの思いを語った孫正義社長
「予定通り10月7日16時からiPhone 4Sの予約を受け付ける」。スティーブ・ジョブズ氏の訃報にショックを受けたという孫正義社長だったが、iPhone 4Sの価格、料金体系を発表し、あわせてジョブズ氏との思い出を語った。
ソフトバンクモバイルが10月7日、「iPhone 4S」の予約受付開始に先立って説明会を開催。販売価格やキャンペーンなどの説明を行った。
孫正義社長。iPhone 3G発表時に撮影されたスティーブ・ジョブズ氏とのツーショットを背に
※初出時に「iPhone 4発表時」と記載していましたが、正しくは「iPhone 3G発表時」でした。お詫びして訂正いたします。(10/18 22:57)
その説明会で代表取締役社長の孫正義氏は、10月5日に急逝したスティーブ・ジョブズ氏との思い出に触れ、「胸にぽっかり穴が開いたような気分。ショックで放心してしまった。いかに大きな存在だったかを改めてかみしめた。1つ1つの思い出が大切な輝く記憶で、一瞬一瞬が忘れられない思い」と語った。
iPhone 4Sの予約受付は、7日16時から開始するが、これも「数日間でも後ろに遅らせた方がいいのではないか、とも考えた」という。
「『スティーブの思いは、自分が作ったこの作品が1日でも早く、1人でも多くの人に行き渡ること』。Appleの人々にそうした言葉をもらい、なるほどそうだなと思い直した。僕が彼の立場でも、やはり同じように感じたかもしれない。予約受付は予定通り10月7日の午後4時から受け付ける」(孫氏)
料金プランは変わらず、端末価格も「世界一安い」
料金プランはこれまでと変わらず、ホワイトプラン(i)とS!ベーシックパック(i)、パケットし放題フルの組み合わせが中心となる。端末価格はiPhone 4S 16Gバイトが4万6080円、32Gバイトが5万7600円、64Gバイト版が6万7200円。月々割は1920円×24回(最大4万6080円)適用され、24回の分割払いを選ぶと月々の実質負担額は16Gバイト版が0円、32Gバイト版が480円、64Gバイト版が880円。これは「世界で一安い価格」だと孫氏は胸を張った。
同時に実施するキャンペーンでは、iPhone 4やiPhone 4Sを持つユーザーに対し、iPad 2 3G+Wi-Fi版を格安の料金プランで提供すること、iPhone 3G/3GSのユーザーに対して割賦払いの残金と同等額を基本料や通信料から値引きすることなども発表。ソフトバンクモバイルでiPhone 4Sを契約するメリットを大きく打ち出した。
「アレ コレ ソレ キャンペーン」では、月々100Mバイトまでの3G通信なら通信量も基本料も無料で「iPad 2」が利用できる。月々100Mバイトという数字は、屋内のWi-Fi環境を中心に使っているユーザーなら十分なレベルだと孫氏。「現在のiPad 2 3G+Wi-Fi版のユーザーのうち、4割程度はこの100Mバイト以下の通信しかしていない」。
また「実質無償機種変更キャンペーン」では、iPhone 3G/3GSのユーザーに対して、割賦残金と同額を割り引きすることで、iPhone 4/4Sへの乗り換えを強力に後押しする。
“CDMA版の弱点”を指摘
孫氏の説明に続き、ソフトバンクモバイル取締役専務執行役員CTOの宮川潤一氏は、「技術関連報告」と題し、基地局の強化やWi-FIスポットの増強を引き続き行っていくこと、KDDIから販売されるiPhone 4SとソフトバンクモバイルのiPhone 4S(ハードウェア的には同じもの)の違いを説明した。
iPhone 4自体は、1つのハードウェアでCDMA2000 1x EV-DO Rev.A(KDDIのネットワーク)とHSPA(ソフトバンクモバイルのネットワーク)の両方に対応している。しかしKDDIのCDMA環境でiPhone 4Sを利用する際の課題として、音声通話とパケット通信が同時にできないことを挙げ、使い勝手に違いが出る可能性があることを指摘。ソフトバンクモバイルでiPhone 4Sを利用する利点を説いた。
「CDMA環境では、音声とパケット通信が同時に扱えないので、W-CDMA環境で利用できるソフトバンクモバイルの方が若干使い勝手がいい。例えばソフトバンクモバイルなら通話中にメールを受信することが可能。メールやアプリでパケット通信を利用している間に電話の着信があっても、パケット通信が途切れることはない。株のオンライン取引やオンラインゲームなどでは、パケット通信が切れるとセッションが切れてしまいログアウト扱いになるケースもあるので、電話の着信でパケット通信が切れる環境では不安があるのではないか」(宮川氏)
「KDDIは同じ志を共有する仲間」
最後に孫氏は、一足先に料金体系を発表したKDDIを「スティーブが作った芸術作品を1人でも多くの方に届ける、という点では、KDDIも同じ志を共有する仲間」と評した。
「2、3週間前にティム(・クックCEO)と会ったときは、『スティーブは以前より元気だ』と言っていた。CEOを交代するときも、『タイトルはティムに譲るけど、まだアクティブに仕事をするんだからな、忘れるなよ』と注文を付けられたなんて笑いながら話していた。一昨日(10月4日)米国でティムと話したときも同じような調子だった。まさか昨日、そんな状況になったというのは、今でも夢を見ているようで信じられない思い」(孫社長)
時折涙をこらえているかような表情も見せながらジョブズ氏の話をする孫氏の、新たな決意の言葉。それは「スティーブと約束した、1人でも多くの人にこの感動を届ける、という思いは、なんとしてもやりとげたい」というものだった。
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