第3回 本当にGALAXY S IIの半分?――「GALAXY S II LTE SC-03D」のバッテリー持ちを検証:「GALAXY S II LTE SC-03D」の“ここ”が知りたい
Xiスマートフォン「GALAXY S II LTE SC-03D」の連続待受時間は、スペック上は「GALAXY S II SC-02C」の半分ほどだが、そこまでバッテリーの持ちが悪いのだろうか? Xi圏内/圏外でテストした。
NTTドコモのSamsung電子製スマートフォン「GALAXY S II LTE SC-03D」のスペックを見て驚いたのが、連続待受時間が「GALAXY S II SC-02C」の半分ほどになっていることだ。SC-03Dの連続待受時間は3Gが約300時間、LTEが約250時間、GSMが約250時間。SC-02Cの連続待受時間は3Gが約640時間、GSMが約480時間なので、3Gは半分以上、GSMは半分近くに減少している。バッテリー容量はSC-02Cが1650mAh、SC-03Dが1850mAhでSC-03Dの方が大きいが、LTEチップの消費電力の高さが影響してか、連続待受時間は逆転している。
しかし3G接続時の待受時間が半分以下まで減少しているのは、さすがに短すぎないだろうか。というわけで、実際にどの程度バッテリーが持つのか、SC-03DとSC-02Cで比較してみた。以下のテストには、後述する動画再生時を除き、ブラウザアプリ「Dolphin Browser HD」にプラグインアプリ「Tab Reload」を使い、「ITmedia +D Mobile」のトップページを1分に1回リロードし続けた。バッテリー残量の確認には「Battery Mix」を用いた。アプリはほぼ初期状態のままで、Googleの自動同期はオンにした。
- →第1回 GALAXY S IIとの違いは、Xiの実効速度は?――「GALAXY S II LTE SC-03D」
- →第2回 Xi非対応端末とSIMを使い回せる?――「GALAXY S II LTE SC-03D」
Xi圏内の羽田空港で実験
時間 | SC-03D | SC-02C |
---|---|---|
0分 | 99% | 99% |
10分 | 97% | 97% |
20分 | 96% | 97% |
30分 | 94% | 96% |
40分 | 94% | 95% |
50分 | 93% | 95% |
60分 | 92% | 95% |
70分 | 91% | 94% |
80分 | 90% | 94% |
90分 | 90% | 94% |
100分 | 89% | 94% |
110分 | 89% | 93% |
120分 | 88% | 93% |
まずはXi対応エリアの羽田空港の国際線ターミナルで、2011年12月23日9時ごろから2時間計測した。バッテリー残量99%から始めたところ、2時間後の残量はSC-03Dが88%(11%減少)、SC-02Cが93%(6%減少)だった。このまま計測を続けると、SC-03Dは18時間、SC-02Cは33時間でバッテリーが尽きる計算になるので、SC-03Dのバッテリー持ちはSC-02Cの半分強(約54.5%)となる。SC-03DのLTE接続時の連続待受時間(約250時間)はSC-02C(3G接続時の約640時間)の半分以下(約39%)。もちろんこの数字と単純比較はできないが、Xiエリアでのバッテリー持ちは、SC-02Cの半分程度と考えた方がよさそうだ。
Xi圏外で実験
時間 | SC-03D | SC-02C |
---|---|---|
0分 | 98% | 98% |
10分 | 98% | 98% |
20分 | 98% | 97% |
30分 | 98% | 97% |
40分 | 98% | 97% |
50分 | 98% | 96% |
60分 | 97% | 96% |
70分 | 97% | 96% |
80分 | 96% | 95% |
90分 | 96% | 95% |
100分 | 96% | 95% |
110分 | 96% | 95% |
120分 | 96% | 95% |
Xiに対応しない3Gエリアではどれだけ差が出るのだろうか。江東区の屋内で2011年12月25日の13時30分ごろから2時間計測した。98%から始めたところ、2時間後のバッテリー残量はSC-03Dが96%、SC-02Cが95%で、こちらは1%の差だがわずかにSC-03Dの方が持った。スペックの連続待受時間を考えると、意外な結果だ。LTE基地局から電波を受信する際に、3G通信時より多くの電力を消費することがうかがえる。
Xi圏内/圏外で動画をストリーミング再生
続いて16時ごろから、Dolphin Browser HDのリロードをオフにして、動画配信サービス「Hulu」で2時間40分ほど動画をストリーミングし続けた。バッテリー残量100%から始めたところ、2時間20分後の残量はSC-03Dが44%、SC-02Cが53%だった。あわせて、Xi圏内でもHuluのストリーミングを試してみた。12月28日の14時ごろから江東区の屋内にて残量100%から2時間20分再生したところ、バッテリー残量はSC-03Dが39%、SC-02Cが50%だった。バッテリーの消費量はSC-03Dが61%、SC-02Cが50%で、SC-03DのバッテリーはSC-02Cの82%ほどは持つので、Dolphin Browser HDでのテストよりは差は少ない。大容量のデータを受信する場合はXi圏外でもSC-03Dの方が消費電力が多いが、ブラウザ利用時よりは差が少ないことが分かる。
Xi圏外で動画再生 (12月25日16時ごろから江東区屋内にて) |
Xi圏内で動画再生 (12月28日14時ごろから江東区屋内にて) |
||||
---|---|---|---|---|---|
時間 | SC-03D | SC-02C | SC-03D | SC-02C | |
0分 | 100% | 100% | 100% | 100% | |
10分 | 97% | 98% | 96% | 99% | |
20分 | 93% | 94% | 93% | 95% | |
35分 | 87% | 90% | 88% | 91% | |
40分 | 84% | 87% | 84% | 87% | |
50分 | 80% | 83% | 79% | 83% | |
60分 | 76% | 79% | 75% | 79% | |
70分 | 71% | 75% | 71% | 75% | |
80分 | 68% | 72% | 67% | 72% | |
90分 | 67% | 71% | 64% | 70% | |
100分 | 62% | 67% | 59% | 64% | |
110分 | 58% | 63% | 53% | 59% | |
120分 | 54% | 60% | 48% | 55% | |
130分 | 49% | 56% | 43% | 52% | |
140分 | 44% | 53% | 39% | 50% |
Xi圏内/圏外に移動しながら実験
Xiの人口カバー率は2011年度末で25%の予定で、現時点はまだ十分にエリアが整備されていない。都内は比較的カバーエリアが多いが、自宅と会社を往復するような場合、Xi圏内と圏外両方に入ることもあり得る。筆者の場合、自宅はXi圏内だが会社は圏外だ。そこで、1日の中でXi圏外と圏内両方を移動すると、バッテリーの消費にどれだけ差が出るのかも調べてみた。12月26日の10時40分ごろから計測を開始し、27日の深夜3時ごろまで続けた。まず、10時40分ごろに山手線の東京駅に乗り、神田駅で降りてから有楽町駅へ向かった。Xiは圏内と圏外が切り替わっていた。1時間後の残量はSC-03Dが93%、SC-02Cが98%で、羽田空港よりもやや長持ちした。有楽町駅で降りてからは日比谷公園付近まで歩き、日比谷駅から大手町まで地下鉄で移動して会社に向かった。
会社に到着した12時30分ごろの残量はSC-03Dが91%、SC-02Cが97%で、2機種とも大きくは減っていない。社内はXi圏外なので(対応マップ上では圏内なのだが……)、どちらも3G通信となる。10時間20分後の22時50分ごろの残量はSC-03Dが77%、SC-02Cが87%で、ここでもそれほど大差はついていない。その後、23時40分ごろに大手町の屋外(Xi圏内)を歩いてから地下鉄で自宅(Xi圏外→圏内)に移動したところ、2時間後の1時40分での残量はSC-03Dが71%、SC-02Cが84%で、やや差が広がった。以下の表を見ると、Xi圏外でのバッテリー消費量は、SC-03Dが1時間あたり1~2%、SC-02Cが1%ほどで大差ないが、Xiがほぼ圏内の場所では11~12時(1時間)はSC-03Dが7%、SC-02Cが2%、23時40分~2時45分(3時間)はSC-03Dが7%、SC-02Cが3%となり、SC-03Dの方が2~3倍程度消費している。11~12時の方が消費量が大きいのは、平日午前の山手線車内という、比較的通信量が多い環境にいたためだと思われる。
時間 | 時刻 | SC-03D | SC-02C | Xi | 場所、備考 |
---|---|---|---|---|---|
0分 | 10時40分 | 100% | 100% | ほぼ圏内 | 山手線(東京駅から) |
10分 | 98% | 100% | |||
20分 | 96% | 100% | |||
30分 | 95% | 99% | |||
40分 | 95% | 99% | |||
50分 | 94% | 98% | |||
60分 | 11時40分 | 93% | 98% | ||
70分 | 93% | 97% | 有楽町周辺を歩く | ||
80分 | 92% | 97% | |||
90分 | 92% | 97% | 会社へ移動 | ||
100分 | 91% | 97% | 圏外 | ||
110分 | 91% | 97% | +D Mobile編集部 | ||
120分 | 12時40分 | 91% | 96% | ||
180分 | 13時40分 | 88% | 95% | ||
240分 | 14時40分 | 87% | 94% | ||
300分 | 15時40分 | 85% | 93% | ||
360分 | 16時40分 | 84% | 92% | ||
420分 | 17時40分 | 83% | 91% | ||
480分 | 18時40分 | 82% | 91% | ||
550分 | 19時50分 | 80% | 90% | ||
600分 | 20時40分 | 80% | 89% | ||
660分 | 21時40分 | 79% | 89% | ||
730分 | 22時50分 | 77% | 87% | ほぼ圏内 | 大手町~江東区 |
780分 | 23時40分 | 76% | 86% | ||
900分 | 1時40分 | 71% | 84% | ||
965分 | 2時45分 | 69% | 83% |
なお、SC-03Dについてはバッテリー残量が尽きるまで、翌27日以降も残量確認を続けた。27日は14時までXi圏内、14時から24時までXi圏外、24時以降はXi圏内にいたところ、28日の1時16分に0%になった。つまりバッテリーは計39時間36分持ったことになる。先述したXi圏内での想定持続時間(33時間)よりはやや持っており、Xi圏外にいるほどバッテリーが持ちやすくなることが分かる。
今回の実験で分かったのは「Xi圏外ではSC-03DとSC-02Cのバッテリー持ちは大差ないこと」「Xi圏内では大容量の通信をする場合を除き、SC-03Dの方が2~3倍消費電力が増すこと」。Xi圏外であれば、SC-03Dの連続待受時間がスペックどおりにSC-02Cの半分ほど、という結果にはならなかったが、Xi圏内ではおおむねスペックどおりと言えそうだ。なお、バッテリーの持ちは通信環境に左右されるので、今回の数値はあくまで都内での一例ととらえていただきたい。
通信環境を考えると、常時Xi圏内がもちろん望ましいが、バッテリーの面からは不利だ。現状のLTE対応のベースバンドチップやスマートフォンの性能では、Xiは諸刃の剣になることは否めない。ドコモはXi対応機種を今後も拡充していく構えだが、エリアの整備はもちろん、端末のバッテリー性能向上も望みたい。
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