iPadでフルセグを――ソフトバンクBBの「デジタルTVチューナー」を試す:もちろんiPhoneでも(2/2 ページ)
iPadやiPhoneでフルセグを視聴できるというソフトバンクBBの「デジタルTVチューナー」。ピクセラ製のチューナーで映像をリアルタイム変換し、iOS端末にWi-Fiを使って配信する。その使い勝手を試してみた。
StationTV iのセールスポイントでもある“ながら見モード”は、アプリの設定画面でオン/オフを選択する。オンにすれば、上半分にテレビ、下半分にStationTV i内蔵のWebブラウザを表示。放送を見ながら下半分で番組の情報を見たり、SNSなどを利用できる。テレビとブラウザの位置は入れ変えられないが、ブラウザのみを全画面にすることは可能だ。また横向きにすると、ブラウザは非表示になる。
この内蔵ブラウザは端末のSafariとは別もの(エンジンは同じ)なので、ブックマークやサイトごとに保存するパスワードは別になる。またiOS端末がWi-Fi接続のみの場合、チューナー本体をブロードバンド回線やほかのWi-Fiルーターに接続する必要がある。
StationTV iは字幕表示や副音声、視聴制限にも対応。またBSやCSの有料チャンネルについても、StationTV i上で契約登録を行う。データ放送や電子番組表(EPG)は見られないが、番組情報についてはアプリ内ブラウザによる“ながら見”で補完する考えのようだ。
さてそのながら見をする場合、ネット接続はiPhoneなどの3Gモデルではキャリアのパケット回線が使われる。iPod touchやWi-Fi版iPadで利用する場合は、チューナー本体をブロードバンド回線につなぐか、すでにあるネット接続しているWi-Fi環境に、無線LAN子機として接続する必要がある。
チューナー本体をブロードバンド回線につなぎ、Wi-Fiのアクセスポイントにする場合は、アプリから「APモード」を選択する。この場合はルーターとして使うこともでき、テレビ映像は常に1台のiOS端末でしか視聴できないが、ネット回線に関しては複数台のWi-Fi機器を接続可能だ。
また逆にWi-Fi機器として既存のルーターに接続するには、アプリから「STモード」を選択する。この場合は接続先のSSIDやパスもアプリから設定。親機になるルーターを介して、iOS端末に映像を送信する。
どちらのモードでも、テレビの映像に加えてネット用のデータもWi-Fiに乗るため、接続速度が遅くなったり不安定になることがある。それに対応するため、本機では、送信する映像品質(ビットレート)を、高画質(6Mbps程度)/標準(4Mbps程度)/低画質(2Mbps程度)から選択可能だ。チューナーを使ってテレビだけを見るのであれば高画質モードでも問題ないが、APモードやSTモードでながら見をすると映像のコマ落ちが目立った。標準モードは動きの激しい画面でなければ品質的に問題はなく、低画質は動きがある場面や横画面にした時に乱れが目立つ。このあたりは放送している番組やWi-Fiの利用環境によって差があるので、適宜切り替えてちょうど良いモードを見つけるのがいいだろう。
録画できないなど、割り切りが必要
本体の設置やWi-Fiを使った端末との接続方法など、準備にある程度の手間がかかるデジタルTVチューナーだが、iPhoneやiPadにチューナーなどを取り付けずにフルセグが見られる点はかなり魅力的だ。
ただし、録画に対応していない点や、Android/PCのアプリがまだ提供されていないことなど、利用にはある程度の割り切りが必要だ。それと、無線LANルーターとして利用するにも、SSIDとパスワードの変更、SSIDのステルス化、MACアドレスフィルタリングなどの機能がサポート外な点が気になる。モバイルWi-Fiルーターならともなく、据え置き利用ではセキュリティ面での不安が残るからだ。
ソフトバンクBBによると、本機はワンルームやベッドサイドなどでの利用を想定し、テレビを置かなくても手軽にフルセグを見られることを念頭に商品化を検討したという。簡単さや手軽さを前面に打ち出しているが、実質はネットワーク機器なので、ユーザーもある程度の配慮が必要な点を意識しておきたい。
同社はSoftBank SELECTIONというブランドでケータイやスマートフォン関連のアクセサリーを取り扱っているが、このデジタルTVチューナーを皮切りに周辺機器の開発・販売も手がけるようになった。本機は従来ならマニアックなジャンルに分類されるタイプの製品だが、動作確認やサポートが付いていること、またウィザード方式の初期設定やアプリ内FAQの充実ぶりなど、iPhone/iPadとともにWi-Fi活用の裾野を広げようという姿勢は評価できるだろう。発表時点でiOS対応のフルセグチューナーは本機だけで、ありそうでなかったタイプの製品といえる。しかしアイ・オー・データが似た製品の発売を表明しており、今後にぎやかになるジャンルなのかもしれない。
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