KDDI、2012年度決算発表でLTE通信障害の概要を説明:2GHz帯 LTEはトラフィック集中エリアを重点整備
KDDIは、4月30日に行った2012年度決算発表で、4月27日からつながりにくくなった4G LTEの障害について、原因の概要を明らかにした。
LTE障害の原因はMME制御のソフトウェアバグ
KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、4月30日に行った2012年度の決算発表会見において、質問に答える形で4月27日から発生した、auの4G LTE通信障害の原因について言及した。
田中氏の説明によると、今回の障害は、ソフトウェアのバグが原因で、デバイスの呼び出し、基地局間のハンドオーバーを管理するMME基地局において、制御コードに長いパケットを流した場合、フラグメンテーションをかけてパケット長が合わなくなるエラーが発生したのが原因。このため、LTEを利用したデータ通信がつながりにくくなったとしている。現在、ソフトウェア的な対策を進めているが、それが完了するまでは、バックグラウンドでエラーを回避する処理で対処していると田中氏は説明した。
KDDI全体で取り組む今後の対策としては、予期していない障害が発生したときの対応能力を向上させるとともに、システム設備の分散化を実施する投資を予定より前倒しで実行するなど、抜本的な解決を最重要課題として取り組んでいく。
なお、iOSデバイスにおいて、障害が続いて発生していることや、データ通信の転送速度が上がっていない状況について説明を求められた田中氏は、iOSデバイスで利用している2GHz帯のLTEも、そのほかのデバイスで利用している800MHz帯のLTEも、コアの部分で使っている設備は共通で、違いは、2GHz帯 LTEのメールサーバでリアルタイム送受信システムを利用していることに限られると述べ、iOSが利用するLTEのインフラとAndroidが使用するLTEのインフラに大きな違いはないと強調していた。
ただし、続いて質問のあったLTEエリアの整備については、800MHz帯 LTEが日本の隅々までエリアを拡大していくことを目指しているのに対して、2GHz帯 LTEについては、ユーザーが多くトラフィックが集中する地域を先行して集中的に整備を進めているように、エリア整備の考えに違いがあることを認めている。なお、田中氏は2GHz帯 LTEの整備がトラフィックスが集中するエリアを優先することについて、トラフィックが少ないエリアは3Gによるデータ通信でも十分な速度が出るのでユーザーに不便はない、という考えを示した。
3M戦略とグローバル展開で2桁成長を目指す
KDDIの2012年度決算の内容について、田中氏は「成長起点の年と位置づけて設定した利益拡大、ユーザー当たりの売り上げの底打ち、3M戦略による競争力の確立といった3つの目標をすべて達成したと述べている。
連結業績では増収増益、セグメント別でも個人向け家庭向けにコンテンツや決済サービスなどを提供する「バリュー」セグメントが増収減益であった以外は、家庭個人向けに通信サービスを提供したり端末を販売したりする「パーソナル」、企業向けに通信サービス、端末、データセンター、クラウドサービスを提供する「ビジネス」、海外の企業個人にビジネスと同様にサービスを提供する「グローバル」の各セグメントで増収増益を達成した。特に、グローバルセグメントでは、売上が20.8パーセント、営業利益が83.4パーセントと大きく成長している。(パーソナルセグメントの説明で表記に誤りがありました。おわびして訂正いたします)
また、ユーザー1人当たりの売り上げ(ARPU)も、月次別実績で、2013年2月の4000円を底にして2013年3月に上昇へ転じた。さらに、3M戦略の具体的な施策となるauスマートバリューの契約数でもauスマートパスの会員数が期初予想から大幅に超える実績を達成した。
このような実績を踏まえ、田中氏は、これから先の3年間においては、本格的な利益拡大のために、3M戦略をさらに推進するだけでなく、グローバル戦略を推進して、国内事業に加えた業績成長の柱としていくという目標を掲げ、具体的な目標値として、連結営業利益はこれまで年平均4.23パーセントだったのを2桁の達成を目指す。その上でKDDIは、2013年度の業績予想として、売上で前期比13パーセント増の4兆1400億円、営業利益で前期比22.9パーセント増の6300億円を目指す。また、パーソナルセグメントの通信料収入で756億円の増収、連結ベースのau純増数で230万件を予想している。
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