従来の通話やほかのVoIPアプリとの違いは?――「VoLTE」の“ここ”が知りたい(2/2 ページ)
ドコモが国内で初めて「VoLTE」による通話サービス提供を開始する。VoLTEとはどんなサービスなのか? 既存の3G通話との関係は? VoLTEの基本事項や素朴な疑問をまとめた。
既存のVoIPアプリとは何が違う?
SkypeやLINE電話などもパケット通信で通話ができるサービスだが、VoLTEとは何が違うのか。まず、VoLTEでは従来どおり090/080/070の電話番号を使って通話ができる。当然だが、SIMなしではVoLTEは利用できない。
VoLTEでは一定の通信速度を保障する「QoS(Qualify of Service)制御」によって音声のパケット通信を優先している(帯域保障をしている)ので、ネットワーク環境に左右されやすいほかのVoIPアプリと比べ、安定した品質で通話ができる。通信環境にもよるが、VoLTEなら音声が途切れることは少ないだろう。
既存のVoIPアプリで緊急通報は利用できないが、VoLTEでは利用できる。
料金は? カケホーダイは適用される?
VoLTEの料金には、従来のXi向け音声通話プランが適用され、従量課金の部分は20円/30秒(税別)と変わらない。カケホーダイの対象にもなるので、同プランに申し込んでいれば定額で使い放題となる。通話料の据え置きはキャンペーン的な施策ではなく、今後も有料化する予定はないとのこと。
ビデオコールで映像を送受信するデータ分に対しては、発信側も着信側もパケット通信料が課金されるが、2015年9月までは通信料無料で利用できる。
対応機種は? 従来のスマートフォンでも使える?
5月14日時点でVoLTEに対応しているのは、スマートフォンが「GALAXY S5 SC-04F」「Xperia Z2 SO-03F」「AQUOS ZETA SH-04F」「ARROWS NX F-05F」、タブレットが「AQUOS PAD SH-06F」「Xperia Z2 Tablet SO-05F」で、ソフトウェアアップデートで利用可能になる。アップデートの時期はスマートフォンが6月下旬~7月、タブレットが7月以降の予定だ。
既存機種は、残念ながらVoLTEは利用できない。これは「チップセットがVoLTEに対応していないため」(ドコモ担当者)だという。
バッテリーへの影響は?
LTEネットワーク上で通話をする……というと、端末に高い負荷がかかることが懸念されるが、従来の回線交換式の通話よりもVoLTEでの通話の方がバッテリーへの負荷は若干少ないという。回線交換式の場合、通話中は回線を常に占有する状態が続いているが、パケット通信で音声データを送受信するVoLTEでは、「定期的に音声データを送る形になる」(ドコモ担当者)ので、負荷が少ないようだ。
端末ごとのVoLTE利用時の連続通話時間は、サービス開始時に公開される予定だが、3G通話よりも長くなることが見込まれる。
移動中にLTEから3Gエリアに移ったら通話はどうなる?
例えば電車や車での移動中にVoLTEで通話を開始し、移動中にLTE圏外になって3Gに切り替わると、通話自体は維持されるが、「コンマ何秒か途切れる場合がある」(ドコモ担当者)という。また、いったん3Gに切り替わって再びLTE圏内に移っても、通話はVoLTEには復帰しない。これは仕様上の問題のようだ。
ビデオコールの通話中にLTEエリアから3Gエリアに入った場合、通話は切断される(音声通話に切り替わることもない)。
他キャリアのVoLTEサービスとの互換性はある?
ドコモに続き、KDDIやソフトバンクモバイルなどの他キャリアがVoLTEによる通話サービスを開始した場合、ドコモのVoLTEと相互接続はできるのか。残念ながら現時点ではできない。これは、電話をつなげるために必要な「POI(Point Of Interface)」と呼ばれる相互接続点を、現在の回線交換式からIPベースのものに切り替える必要があるためだという。
相互接続に向けた取り組みは「まずは他社さんがVoLTEのサービスを提供されてから考えたい」(ドコモ担当者)とのこと。
海外でもVoLTEで通話できる?
VoLTEによる通話サービスは韓国でも提供されているが、現時点でVoLTEのローミングサービスは提供しておらず、VoLTEでの通話を利用できるのは日本国内のみだ。
関連キーワード
LTE(Long Term Evolution) | VoLTE | NTTドコモ | パケット定額 | 相互接続 | Xperia Z2 SO-03F | VoIP | AQUOS | GALAXY S5 SC-04F | Xperia Z2 Tablet SO-05F | ARROWS NX F-05F | LINE電話 | QoS | ローミング | AQUOS ZETA SH-04F | AQUOS PAD SH-06F | Xi(クロッシィ)
関連記事
まずは対応スマホから:ドコモ、国内初の「VoLTE」通話サービスを6月下旬に開始
NTTドコモが、LTEの高速データ通信ネットワークを利用する「VoLTE」を利用する音声通話サービスを6月下旬に開始すると発表した。対応スマートフォンと対応タブレットで順次利用可能になる。NTTドコモ、国内初の「VoLTE」対応スマホ/タブレットなど2014夏モデルを発表――フィーチャーフォンの新機種も
ドコモが2014年夏モデルを発表した。スマートフォン4機種とタブレット2機種が「VoLTE」と効率のアップした「急速充電2」に対応。さらにすべてのスマホが、いざというときにバッテリーの駆動時間を延ばせる緊急時節電機能を装備した。ドコモ、2014年夏モデルを5月14日に発表 VoLTE対応機が登場?
5月14日に開催されるドコモ2014年夏モデル発表会の予告サイトがオープン。新モデルはスマートフォンラウンジなどの一部店舗で即日展示される。「auはCSフォールバックなしにしたい」――田中社長がVoLTEについてコメント
KDDIの田中社長は、「auはVoLTEのCSフォールバックをなしにしたい」と発言。LTEネットワークの広さを同社の強みとして改めてアピールした。夏商戦で注目したい「キャリアアグリゲーション」と「VoLTE」
KDDIが下り最大150Mbpsを実現する「キャリアアグリゲーション(CA)」を今夏に開始するが、ドコモも決算会見で2014年度中に下り最大225MbpsのCA提供を発表。ドコモは今夏に「VoLTE」も提供する予定だ。今回はこれら通信サービスのトピックをまとめた。VoLTEの追加料金は「できるだけない方がいい」――ドコモ加藤社長
カケホーダイ&パケあえるの契約者なら、追加料金なしで利用できる可能性が高そうだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.