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花火大会でどれだけ快適に通信できる?――ドコモ、au、ソフトバンクのスマホで計測してみた

多くの人でごった返す花火大会。それだけに携帯電話のネットワーク状況が気になるところだが、会場ではどれだけ快適に通信できるのだろうか? ドコモ、au、ソフトバンクのスマホで比較してみた。

 夏といえば花火。この8月は毎週のように各地で花火大会が開催されており、筆者は2日の江戸川花火大会に行ってきた。2013年は江戸川区側で約90万人もの人が集まっており、その規模は東京の花火大会の中でも屈指といえる。今年も江戸川河川敷には大勢の人が集まり、開始直前の18時50分ごろには、丘から見渡す限り、人、人、人……といった状況だった。


江戸川河川敷は人でごった返していた。遠くに見える2台の車はauとソフトバンクの移動基地局

 こうした大勢の人が集まる際に気になるのが、携帯電話のネットワークだ。一昔前は、花火大会などのイベントではトラフィックが混雑してケータイがつながらないことはざらだったが、最近は各社とも、イベントで大勢の人がいっせいに通話や通信をしても、トラフィックがひっ迫しないよう対策を行っている。

 各社に確認したところ、この江戸川花火大会ではNTTドコモとKDDIが1台ずつ、ソフトバンクモバイルが4台の車載型の移動基地局を稼働させていたという。移動体基地局では、ドコモがLTE、KDDIがLTEと3G、ソフトバンクモバイルがLTE(AXGPは除く)と3Gをカバーしており、会場では実際に3キャリアの移動基地局を確認できた。ちなみに、KDDIは一部のイベントで「キャリアアグリゲーション」対応の基地局も稼働させているが、江戸川花火大会では稼働していなかった。また、ドコモとKDDIは周囲の基地局を増強する対策も行っている。

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NTTドコモの移動基地局(写真=左)。KDDIとソフトバンクモバイルの移動基地局は同じ場所に並んでいた(写真=右)
移動基地局のアンテナも確認できる

 しかし数万人、いや数十万人が一斉に集結する環境で、エリア対策は本当に効果があるのだろうか? というわけで、花火の開始直前と打ち上げの最中に、3キャリアのスマートフォンで通信速度を測ってみた。測定した機種は、ドコモが「Xperia Z2 SO-03F」、auが「HTC J One HTL22」、ソフトバンクが「iPhone 5s」。測定には「RBB TODAY SPEED TEST」アプリを使用した。


ソフトバンクのiPhone 5sでは、速度を計測できなかった

 まずは開始直前の19時ごろに測定。Xperia Z2は下りが3~5Mbps(平均5.116Mbps)、上りが1Mbps前後(平均1.114Mbps)とまずまずの速度。HTC J Oneは下りが1Mbps前後(平均1.184Mbps)とやや遅く、上り(平均2.34Mbps)の方が速かった。少々意外な結果となったのがソフトバンクのiPhone 5s。何度か試したが、「測定中にエラーが起きました」というアラートが表示され、一度も速度を測定できなかった。アプリだけの問題か? と思ったが、iMessageの送信に数分かかっていたので、実際にLTEでの通信ができていないことが分かる。

花火開始直前(19時ごろ)
Xperia Z2 SO-03F HTC J One HTL22 iPhone 5s(ソフトバンク)
下り 上り PING 下り 上り PING 下り 上り PING
1回目 5.8 1.15 36 0.98 1.95 416 計測不能 計測不能 計測不能
2回目 3.83 0.51 33 1.22 1.58 516
3回目 3.75 1.89 49 0.96 2.12 62
4回目 5.55 0.4 43 1.24 3.28 38
5回目 6.65 1.62 32 1.52 2.77 46
平均 5.116 1.114 38.6 1.184 2.34 215.6
※下りと上りはMbps、PINGはms。

 続いて花火の打ち上げ中。花火の写真や動画をSNSに投稿する人が増えるため、打ち上げ中は特にトラフィックが増大することが予想される。Xperia Z2は下りが3~9Mbpsと計測時によって差が出たが、平均の6.79Mbpsは打ち上げ直前よりも速い。上りは平均0.908Mbpsで、打ち上げ直前からやや遅くなった。HTC J Oneは最初は測定できなかったが、再起動してから計測し直したところ、下りは10~18Mbpsと速かったが、上りは平均1.084Mbpsで、打ち上げ直前よりも1Mbpsほど遅くなった。打ち上げ直前と比べ、Xperia Z2とHTC J Oneはどちらも下りが速く、上りが遅くなったのは、やはり打ち上げ中はSNSなどに写真や動画を投稿していた人が多かったためだと思われる。


花火を横目に速度測定。もはや花火を見に来たのか、速度を測りに来たのか、よく分からない状況ではある

 ソフトバンクのiPhone 5sは、今回も計測不能となってしまった。再起動して測り直してみたが、状況は変わらず……。Twitterアプリの「Echofon」を立ち上げて何度か更新を試みたが、タイムラインを読み込めなかったので、通信できていなかったことが分かる(当月の通信量、7Gバイトをオーバーしたわけではない。念のため)。

花火打ち上げ中(20時5分ごろ)
Xperia Z2 SO-03F HTC J One HTL22 iPhone 5s(ソフトバンク)
下り 上り PING 下り 上り PING 下り 上り PING
1回目 3.8 0.78 42 18.13 1.18 55 計測不能 計測不能 計測不能
2回目 8.73 0.79 40 13.49 1.39 85
3回目 5.81 1.31 42 10.35 0.92 53
4回目 9.74 0.94 26 11.09 1 230
5回目 5.87 0.72 32 11.91 0.93 51
平均 6.79 0.908 36.4 12.994 1.084 94.8
※下りと上りはMbps、PINGはms。

 一方、家族のソフトバンク版「iPhone 4S」で試したところ、何と普通に通信ができた。iPhone 4SはLTEには対応しておらず、3Gで通信をする。もしや……と思い、iPhone 5sのLTE通信をオフにして3G通信に変更したところ、問題なく通信できた。20時半ごろに3回速度を測ったところ、下りが2.19、2.79、4.49Mbps、上りが0.37、0.41、0.39Mbpsだった。筆者の環境ではLTEは残念ながらつながりにくかったが、3Gはエリア対策が功を奏した形といえる。

ソフトバンクのiPhone 5sではTwitterのタイムラインも読み込めなかった(写真=左)。iPhone 5sの「設定」→「モバイルデータ通信」→「4Gをオンにする」をオフにすると3G通信に切り替わる(写真=中)。すると下り2~4Mbpsの通信が可能になった(写真=右)

 LTEのトラフィックが増大して通信しにくい状況になった時点で、3Gへ切り替えてほしいところだが、LTE圏内にいるときは、3GよりもLTE通信が優先されるため、手動で切り替えるしか方法がなさそうだ。LTEスマートフォンを使っていて通信しにくくなった場合、LTEをオフにして3G通信に切り替えると改善される場合があるので、覚えておきたい。

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