CCCが来秋にオリジナル端末を投入すると明言 ━━日進月歩の進化を続けるスマホ業界で「来秋」は遅すぎないか:石川温のスマホ業界新聞
CCCが「TSUTAYA mobile」を立ち上げ、モバイル業界に参入すると発表した。オリジナルスマートフォンも投入するとあり、その動向に注目が集まっている。
12月1日、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブはモバイル事業を展開するCCCモバイル株式会社を設立すると発表した。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年12月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
2015年春から「TSUTAYA mobile」ブランドを立ち上げてTSUTAYA内などに出店。さらに2015年秋からはオリジナルスマートフォンの発売を目指すという。記者会見に呼ばれていないので、詳細がわからないところもあるが、正直言って、「2015年秋に投入する」という発表を2014年末にするというのは本当に首をかしげたくなる。このモバイル業界は、日進月歩で技術が進化し、料金やサービスにおいても、日々、熾烈な戦いをしている状況にあると言える。
例えば、iPhoneの新製品が発表されれば、発売日までに3キャリアは端末価格から下取り施策、さらにはキャンペーンなど目まぐるしく発表を行っていく。他社に比べて見劣りがすれば、すぐに改善策を発表するなど、発売日に向けて、刻々と状況が変わると言ってもおかしくない。また、昨今、話題のMVNO市場においても、1社がデータ容量を増大すれば、他社も負けじと対抗プランをぶつけてくる。どこかが新サービスを出せば、すぐに真似するところが現れるなど、こちらも毎日のように緊張感のある戦いが続いている。
そんな市場に「来秋にオリジナルスマホを出します」といったところで、誰もそれまでに覚えてはいないだろうし、新サービスを詰め込もうとしても、競合他社に察知され、対抗サービスを先に出されるのがオチと言えるだろう。確かに、オリジナルスマートフォンを投入するとなると、それだけ時間がかかるし、実際にスマホとは言え1年ぐらいはかかってしまうのは当然と言える。しかし、本当にオリジナルスマホを出すのであれば、発売まで黙っておく方が得策であるのは間違いない。まずはTSUTAYA店頭でSIMカードの販売、さらに一般的に流通しているスマホを販売しつつ、新製品として、満を持したかたちでオリジナルスマートフォンを発売した方が盛り上がるだろう。MVNO市場において「オリジナルスマートフォンで差別化したい」という考えを持っているのかも知れないが、いま発表してしまったら、競合他社が先にオリジナルスマートフォンを出す可能性もあるし、そんな状況になったら、来秋に出したところでインパクトはない。
MVNO市場においては、KDDIの子会社となるKDDIバリューイネイブラーもまもなく本格展開してくるだろうし、一部報道では日本郵便が参入するという話も聞かれる。日本郵便ともなれば、販売網においては郵便局という全国2万4000カ所のネットワークがあるし、それだけの基盤があれば、オリジナルスマートフォンも安くて品質の高いものを調達することもできるはずだ。今回のCCCモバイルにおける「勇み足」は、この競争の激しいモバイル業界において、早くも一歩目から足を踏み外してずっこけた感があるような気がしてならない。
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