SIMフリー・Windows 10 Mobile・iPhone 6s Plus――キーワードで振り返る2015年のスマホ:スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2015(2/3 ページ)
2014年12月~2015年11月に発売されたスマホ10機種の中から最優秀機種を選出する「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2015」。SIMロックフリースマホの躍進と、Windows 10 Mobileが話題となった2015年ですが、「iPhone 6s Plus」は審査対象にすら挙がりませんでした。選考委員の皆さんに、これら3点について自由に討論してもらいました。
「Windows 10 Mobile」の登場 期待はあれど「安定性」「信頼性」が課題
―― 2015年は、Windowsスマホが復活して、11月までに2機種が発売されました。Windows 10 Mobileの登場をきっかけとしたこの状況は歓迎すべきものなのでしょうか。
石野氏 MADOSMAはそこそこ売れましたよね。
佐野氏 コストコでも売っていたことには驚きました。
房野氏 Windows 10 Mobileのスマホはかわいいものが多いし、期待はしているんですけど、「おっ」と思ったことがないんですよね。触ってみても納得が行かないというか。
島氏 本家のPC向けWindows 10で、日本向けの「Cortana」が遅れたとか、2015年11月に出たビルドでようやくある程度安定したとか、まだ不具合はあるんですけど……。
石野氏 まだPC向けのOSに不具合があるのと同様に、Windows 10 Mobileも不具合を抱えていることが不安なんですよね……。日本マイクロソフトは、日本のユーザーからのフィードバックをしっかりOSやソフトウェアに反映させてほしいです。
島氏 ユニバーサルWindowsアプリ(※1)をやろう、っていうのはいいけれど、こっち(OS)がしっかりしないことには……。
※1 全てのプラットフォームで稼働できるWindowsアプリ。Windows 8/Windows Phone 8から仕組みは導入されているが、Windows 10から開発がより簡単にできるようになった
石野氏 持ち上げられている“反動”が2016年に出てくる可能性もあります。
太田氏 (Windows 10 Mobileは)「Continuum」(※2)次第かなぁ。
※2 スマホにキーボードとマウスをつなぎ、画面を外部出力すると、PC版Windows 10に近いユーザーインタフェースで操作を行える機能
石野氏 いや、Continuumは……。
房野氏 使う?
太田氏 ちゃんと使えるのであれば、可能性はありますよ。
石野氏 革新的な機能なんですけど、やはり「ちゃんと使えるのであれば」というのが大前提なんですよ。日本語入力にすら難を抱えているWindows 10 Mobileで、ちゃんと使えるようになるのかな、という疑問がつきまとうんですよ。
佐野氏 確かに、心配ですよねぇ……。
島氏 あれ(Continuum)が「Surface 3」並みに動くのであればいいんですけどね。
石野氏 そうなんですよ。すごく心配で……。
島氏 そこでOfficeがちゃんと動けば、一部の学生に大売れしますよ。
石野氏 そうですよね。でも、今のWindows 10 Mobileの状況を見ていると、期待して買った人がみんな怒り出すのではないかと非常に心配です。何だかんだでAndroidの方が使いやすいですよ、これだと。アーリーアダプター層以外は買えません。
その点では、FREETELの「KATANA 01」は「お試し」として買える、という意味ではいいのかな、と思います。
佐野氏 (FREETELは)ポジションを分かってやっていますよね。
村元氏 あれは、どういう計算であのようになっている(1万2800円の価格で出せる)のか不思議ですよね。
太田氏 Windows 10 Mobileは、恐らくコンシューマー(個人向け)のところに来ていませんよね。現段階でコンシューマーを相手にするには早すぎるかな、と思いますね。逆に、法人向けには大きな可能性があると思っています。会社のいろいろな社内ソフトウェアはWindowsで使うものが多いですし、Continuumによってスマホ1台で外でも使えるようになったらものすごく便利になります。
佐野氏 ただ、検証に時間がかかるのが問題ですよね。(検証には)1年ぐらいかかってしまう、となると、メーカーとしてはコンシューマーに売るしかないので、どうするのかなぁ、という心配はあります。
島氏 (Androidや従来のWindowsアプリからのソフトウェアの)移植をしやすくするWindows Bridgeの取り組みも、全然(進んでいない)じゃないか、っていう。
石野氏 先ほども言いましたけど、どうしようもない不具合がまだたくさんあるんですよね。「このクオリティなんだ……」というガッカリ感がMADOSMAには感じてしまいました。いち早く出して市場を切り開いたマウスコンピューターの姿勢は評価したいけれど、Microsoftの頑張りが足りないのではないのかなと。
太田氏 MicrosoftはWindows 8から10に移行する際に、ビジネスモデルを丸ごと変えました。会社が丸ごと変わっているのだから、時間がかかるのはしょうがないかな、と思っています。「見切り発車」は全部見切り発車にすることを含めて、後からアップデートする、という方法をとっているのだから。
石野氏 姿勢はそれでもいいのですが、モノとして他のプラットフォームと比べて質が落ちる、というのはどうなんでしょうか。Microsoft期待値で評価が「底上げ」状態になっているのが気になります。
太田氏 難しいですよね。法人の市場を考えると、「負の遺産」をずっと継いでいかないといけないという中でやっています。新しいものにバッと切り替えるのが難しい中で(新しいことを)やっているというところで、「甘くなっている」というより「しょうがないかな」と思うところはあります。ただ、Windowsで動いている法人のシステムが多い以上、何とかしてもらわないといけないし、Windows Phoneも、ビジネス市場を考えるとそこをどうにかしないといけません。佐野さんもおっしゃったように、時間はかかると思いますが。
村元氏 そもそも、PCとスマホでOSが切り離されていてもいいじゃない、と。これだけiPhoneが売れた国なので。法人向けにはちょっと厳しいのではないか、と思う面もあります。「すぐに導入したい!」という企業は聞いたことがないので。
太田氏 どう転ぶかなぁ、と。
佐野氏 悪い意味ではなく、比較的早い段階で決着が付きそうな気もします。「のるかそるか」だけですし。
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