日本メーカーのWindows 10 MobileがMWCに勢揃い――マイクロソフトがグーグルに学ぶべきこと:石川温のスマホ業界新聞
スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2016」のMicrosoftブースでは、日本メーカーのWindows 10 Mobileスマートフォンが勢ぞろいした。メーカーの頑張りの反面、日本マイクロソフトはWindows 10 Mobileに対して“本気”とはいえない。
今回のMWCにおいて、マイクロソフトは特に新製品発表会などは行わず、静観の構えを見せていた。しかし、Windows 10 Mobileの展示コーナーでは、フリーテル、VAIO、トリニティ、マウス・コンピューターといった「日本発」のWindows 10 Mobileデバイスが多数展示され、ちょっと異様な光景であった。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年2月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。
そもそも、海外市場においては、マイクロソフト自身が「Lumia」ブランドでWindows 10 Mobile端末を発売。同社にとって主力商品であり、参入メーカーも少ないことから、ユーザーは「Windowsスマホが欲しいならLumiaシリーズから選ぶ」というのが一般的だ。
しかし、日本では、まだWindowsスマホの市場が立ち上がっていないにも関わらず、10社近いメーカーが参入し、早くも玉石混淆のレッドオーシャンと化している。
一方で、立ち上がったばかりのプラットフォームであるために、バグなどの修正に追われている日々でもある。このあたりは、端末メーカーが必死になって、マイクロソフトにレポートを送っている状態だ。特に日本語関連は、法人導入においても不可欠であるため、早急な対策が求められる。
端から見ていると、端末メーカーの人たちは、Windows 10 Mobileを何とかまともなものにしようと、孤軍奮闘している感が強い。日本マイクロソフトも耳を傾け、対応しているようだが、どうしても「御用聞き」的な立場となっているような気がしてならない。
今回のMWCにおいて、グーグルでAndroidビジネスを統括するヒロシ・ロックハイマー氏に話を聞く機会を得た。
グループインタビューだったのだが、そのなかで「なぜ、グーグルはNexusスマホを手がけるのか」という質問が飛んだ。ヒロシ・ロックハイマー氏は「ユーザーはプラットフォームを買うのではなく、端末を買う。良い端末を作るためにグーグルは自分たちで手がけて学ぶ必要があった。緊急発信やデータローミングがどうやって作動するかも、ハードウェアを作ることで学んでいった」というのだ。
少なくとも、マイクロソフトもLumiaであれ、長らく噂が出ているSurface Phoneを手がけることで、ハードとプラットフォームの相性を学んでいるのだろう。しかし、日本語環境や日本のユーザーが求めることについて、マイクロソフト自身が親身になって学べているかはかなり疑問だ。
日本市場でWindows 10 Mobileというプラットフォームを成功させるには、日本マイクロソフトが、自分たちで自社ブランドの端末を売り、ユーザーの声を聞き、どこに不満があるのか改善していくべきではないか。
いまの日本マイクロソフトは、Windows 10 Mobileに対して何となく「他人事」な印象を受ける。ここは本腰を入れて、自社で端末を売り、プロモーションをするなど、Windows 10 Mobileに本気で取り組んでもらいたいものだ。そうすることで、Windows 10 Mobileに参入する端末メーカーにも追い風になるのではないだろうか。
関連キーワード
Windows | Windows 10 | Windows 10 Mobile | Google | 石川温のスマホ業界新聞 | 石川温 | Lumia | Mobile World Congress | 日本市場 | 質問
関連記事
注目度はいかほどに? Microsoftブースにあった日本メーカーのWindows 10 Mobileスマホ
スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2016」のMicrosoftブースでは、Windows 10を搭載する各種デバイスを展示している。その中には、日本メーカーのWindows 10 Mobileスマホの姿もある。2016年のMWCは周辺機器の祭典?――“スマートフォンの次”を模索するメーカーたち
進化の踊り場を迎えたスマートフォンだが、Mobile World Congress 2016では、各メーカーが新たな道を模索していることがうかがえた。各社との取り組みに共通しているのは、周辺機器の拡大だ。VAIO、5.5型フルHD画面のWindows 10スマホ「VAIO Phone Biz」を4月に発売へ【画像追加】
VAIOがWindows 10 Mobileスマートフォンを発売する。名前の通り、ビジネス(法人)用途を主眼に置いた機種だが、同社の直販サイトなどで個人向けにも販売する。トリニティ、Windows 10スマホ「NuAns NEO」の初回出荷を開始 販売店舗も発表
本体と外装を「別売」としたWindows 10 Mobileスマートフォン「NuAns NEO」の初回出荷が始まった。また、実店舗販売の対象店舗も発表された。マウス、Windows 10スマホ「MADOSMA」に上位機を追加――6型フルHD液晶+Snapdragon 617+3GBメモリ
マウスコンピューターは、Windows 10 Mobile搭載スマートフォン「MADOSMA」の第2弾製品を告知した。よりハイスペックなモデルとなっている。
関連リンク
© DWANGO Co., Ltd.