ソフトバンク、KDDIが相次いで「2年後縛らない」プランを発表――総務省はあんな腑抜けプランで満足しているのか:石川温のスマホ業界新聞
ソフトバンクとKDDIが相次いで契約から2年(24カ月)経過した後の解約金を取らないプランを発表した。いずれも従来の「2年縛り」の月額料金に300円を足した料金設定で“横並び”となっている。総務省はこれで満足なのだろうか。
ソフトバンク、KDDIが相次いで、2年後に縛らないプランの発表を行った。
既存のプランよりも月額300円高いが、3年目に突入した後はいつ解約しても、契約解除料が請求されないというものだ。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年3月19日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。
すでに日経電子版のコラムでも書いたが、2年後に辞めるのを前提で毎月300円も高いプランを契約するユーザーがどこにいるというのか。2社が発表したプランは無意味だし、まさに肩すかしを食らった感がある。
直前に産経新聞に掲載されたKDDI・田中孝司社長のインタビューでは「自動更新を辞めるだけでは面白くない」として、記者から「利用者にとって魅力ある料金プランとの抱き合わせにするのか」という質問に「そうだ」と答えている。
しかし、発表された内容はソフトバンクの「マネ放題」であり、面白くもなんともない。これがKDDIとして、利用者にとって魅力ある料金プランだという認識であれば、相当、世間とズレている感覚に陥ってしまっているのではないだろうか。
とはいえ、キャリアの立場とすれば、ユーザーに逃げられたくないというのは当然であり、契約解除料を取らないプランを新設したところで、できるだけ売りたくないというのが本音だろう。そのため、このような腑抜けなプランが2社から出てきたのは経営的な立場から見れば、理解できなくもない。
ここで、本来ならば、総務省がガツンと2社に檄を飛ばし、新しい料金プランを突っぱねるくらいの態度を示してもいいのではないか。
2年縛りの見直しに関しては、総務省の意向もあることから、2社が事前に総務省に対してお伺いを立てているのは間違いない。今回、2社が相次いでプレスリリースを出したと言うことは、総務省から承諾をもらった上で、世間に発表したと見るのが自然だ。
総務省がこの内容で「2年縛りが見直せ、競争環境が促進される」と納得しているとしたら、笑い話にしかならない。総務省は何が目的で、ここまで暴れてきたのか理解に苦しむ。
このタイミングでキャッシュバックや実質0円販売、2年縛りなど、業界の悪しき習慣を抜本的に見直し、メスを入れられるチャンスなのに、総務省が中途半端な仕事をしてしまったら、キャリアの思うようになり、この先も何ら変わることなく、業界は衰退していくだろう。
せっかく、世間も注目しているのだから、総務省にはもう一踏ん張りしてもらい、キャリアの尻をたたきまくってもいいのではないか。
ソフトバンクとKDDIに対して、「これでは不十分」と、もう一度、新料金プランを見直すような指導を総務省には期待したものだ。
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