「MONO」を投入する狙い/Galaxy Note7の抜けた穴は?――ドコモの冬春モデルを読み解く:石野純也のMobile Eye(10月11日~21日)(3/3 ページ)
ドコモ冬春モデルで特に注目を集めたのが、一括648円という破格の値段を打ち出した「MONO」。購入サポートという仕組みを使って、価格面にまで工夫が及んでいる。一方、Galaxy Note7の販売が見送りになったのは、ドコモにとっても大きな痛手といえる。
Galaxy Note7の“穴”をどう埋めるのかが課題に
一方で、もともと導入が検討されていたサムスンの「Galaxy Note7」は、海外でのリコールを受け、ドコモでの発売が見送られた。吉澤氏によると、バッテリー交換後の対策品が航空機内で発火したことが、導入見送りの決定打になってしまったようだ。「サムスンさんの方からも、日本での販売については見送りたいという話があった」(同)というように、ドコモ以外での発売される可能性も限りなくゼロに近い。
Galaxy Noteシリーズは、ドコモが真っ先に日本へ導入したスマートフォンだ。Sペンによる手書き操作や、他社に先行した大画面化などの特徴があり、販売数こそ大きくは伸びなかったが、ユーザーの間では根強い人気があった。かつては、サムスン関係者も「リピート率が異常高い」と語っていたほど。吉澤氏も「Noteシリーズを待ち望む方もいるでしょう」と語っていたように、その穴は決して小さくなさそうだ。
特に日本では、2015年モデルとなる「Galaxy Note5」の発売が見送られている。最後のGalaxy Noteシリーズである「GALAXY Note Edge」が発売されてから、間もなく2年。2014年モデルの「GALAXY Note3」からは3年となり、機種変更需要がピークを迎えつつある。そのようなときに、最新モデルが発売されないという事態になってしまった。Galaxy Note7の発火問題は、いまだ原因が特定されておらず、航空機への持ち込みなども禁止されている状態だ。販売再開は、もはや絶望的と見ていいだろう。
ドコモとしては、夏モデルの「Galaxy S7 edge」や、他の大画面スマートフォンを提供しているため、「そちらへシフトしていただければ」(吉澤氏)と何らかの対策を取っていく方針だ。もともと予定していた販売台数に関しては、発表したモデルで補っていくという。Galaxy Note7の発火については連日のように報道されているため、ブランド力の低下も懸念される。仮に改修済みの製品が登場したとしても、Noteという名前のままだとユーザーに敬遠されてしまうおそれもありそうだ。
また、鳴り物入りで登場したMONOも、売りである一括価格のメリットが、現状では少々伝わりづらい懸念もある。過渡期とはいえ、スマートフォンの中には、「実質648円」で販売されている端末もあり、これがガイドラインの下限だとされている。同じ最安であれば、よりデザインがよく、性能が高い方を選ぶのが自然だ。iPhone SEですら2年間使えば、実質価格は2万円を上回る程度。24回に分割すれば、1カ月あたりの実質価格は1000円を切る。
一括で648円というのはスマートフォンの販売制度に詳しいユーザーの目には魅力的に映るかもしれないが、当のMONOのターゲットユーザーにはお得さを伝えるのが難しい。お試し的な感覚で使えて、上位の機種にアップグレードしやすいという点は、ドコモがしっかり伝えていく必要がありそうだ。
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