通信速度表示とMVNOの関係:MVNOの深イイ話(2/2 ページ)
電気通信事業者が提供するデータ通信専用回線には、大きく分けて帯域保証型とベストエフォート型の2つがあります。2つは何が違うのでしょうか。また、どんな課題があるのでしょうか。
MVNOの通信速度表示について
現在、MVNOはこのガイドラインで定められた実効速度は計測していません。ガイドラインでは、「MVNOは実効速度計測をやらなくてもいい」、あるいは「広告での通信速度の訴求について自由に行っていい」とは書いていません。MVNOにおける実効速度の表示方法(と、その前提となる実効速度の計測方法)については、「電気通信サービス向上推進協議会で検討することが望ましい」として先送りしている状況です。
現在、筆者の所属するIIJを含む多くのMVNOでは、「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン」に定められたルールに違反することのないよう、2015年冬から最大通信速度の訴求を目的とした広告掲載は行わないような対応を行っています(*2)。
ただ、MVNOの広告における通信速度表示についてどのようなものが望ましいのか、その広告表示を公正・適正なものとするための計測ルールはどのようなものが適切なのか、MNOが既に実施している実効速度計測とのバランスをどうするのか――。そういった課題については、現時点で解答はないのが実情です。今後、MVNOとしてもこういった難問に取り組んでいくことが期待されている、といえます。
著者プロフィール
佐々木 太志
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) ネットワーク本部 技術企画室 担当課長
2000年IIJ入社、以来ネットワークサービスの運用、開発、企画に従事。特に2007年にIIJのMVNO事業の立ち上げに参加し、以来法人向け、個人向けMVNOサービスを主に担当する。またIIJmioの公式Twitterアカウント@iijmioの中の人でもある。
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