日本の中古iPhoneが海外へ転売されている? 実態を見てきた:中古携帯の動向を追う(2/3 ページ)
大手キャリアが下取りしたiPhoneが海外に流れているのではないか? ということがウワサされています。その実態を確かめるために、香港と深センへ渡りました。いくつかのショップを見て回ったところ……。
深センで発見!
気を取り直して、中国の深センへ。深センといえば、電脳街の華強北路(ファーチャンペー)。筆者はここに何回も視察に行っていますが、再整備されてとてもきれいになっていて、マーケットは華強南路まで広がっていました。
建物に入ると、2~3坪の店舗がずらり。ショーケースの中に携帯を陳列して、まるでアクセサリー販売のような売り方でした。
店舗スタッフは10代がほとんどで、学校に通わずに店主として商売をしているのが当たり前のようです。店舗でご飯を食べたりゲームをしたり、日本では考えられない接客スタンスでした。また、日本では見たことのない偽物の携帯電話も販売されていました。色が変色していますが、機動戦士ガンダムの百式色でした。
足がパンパンになりながら日本版iPhoneを探し回ると、ついに見つけました! しかも思った以上の量でした。
モデルが「J/A」になっているのが、日本版の証拠です。下記写真の端末は、IMEIから検索するとドコモ版であることが分かりました。
こちらの端末にはしっかりと「ソフトバンク」と表示されています。
深センでは1000以上の店舗を回り、推定台数150万台のiPhoneを見つけました、そのうち日本版と表記があり、店員に確認したのが30万~40万台。予想以上に多く驚きました。しかも、販売されていた日本版iPhoneは全てSIMロックが解除されていました。本体の状態がいいものと悪いもの、液晶が割れている機種もありました。
どこでSIMロックを解除したのか?
気になるのが、深センで売られていた日本のiPhoneが、どこでSIMロックを解除されたのか? という点です。SIMロック解除は、日本国内の正規ルートのキャリアショップでしかできません。それも、auを除いて契約者本人しかSIMロック解除できないため、中古事業者が行うのは難しいのが実情です。
それを踏まえると、SIMロックが解除されたiPhoneの深センへの流入ルートは、以下の2つが考えられます。
- キャリアまたは関連業者がSIMロック解除後、香港経由で深センへ
- SIMロックiPhoneを日本から香港へ輸出、香港または深センでSIMロックを解除する
ロック解除の価格をヒアリングしたところ、最も安いものは約6000円で、作業時間は2日です。これはかなりの金額です。ロック解除手法はかなり怪しいものでした。
香港、深センの店舗からの回答の傾向として、2の方法ではSIMロック解除をやりたがりません。SIMロックの掛かった日本版iPhoneを仕入れて自分でロックを解除するより、最初からSIMロックフリーの香港版や米国版などの方が作業時間とコストが掛からないし、手離れがいいからです。
華強北路で発見した30万~40万台の日本版iPhone。この台数が売れ残り累積でたまった数なのか、通常の流通数なのかを確認しましたが、どこも答えてもらえませんでした。また、これらの端末がキャリアの下取りによるものなのかどうかも、今回の調査では分かりませんでした。
関連記事
「大手キャリアの下取り価格を疑問視している」――中古携帯の業界団体「RMJ」が誕生
中古携帯の普及を目指す業界団体「リユースモバイル・ジャパン(RMJ)」が誕生。中古携帯のニーズは上がっているが、「行政への情報発信ができていない」「一般ユーザーの認知拡大が進んでいない」などの課題が残っている。こうした課題を解決するのが狙い。中古スマホ買い取り後に何が行われているのか?――ゲオの流通センターで見てきた
中古スマートフォンを売買するのに「品質は大丈夫なのか」「個人情報が漏れることはないのか」といった点が心配な人は多いだろう。中古スマホが買い取られてから、どんな工程を経て店頭に並ぶのか? ゲオの流通センターを取材してきた。「Priori 3」がSIMフリーの販売1位 買い取りでは「iPhone 7」がじわり上昇 ゲオ2月編
ゲオ店舗で扱っている中古スマホの販売/買取ランキングを紹介。2月の販売は3キャリアではiPhone 5sが1位だが、SIMロックフリーではFREETELの「Priori 3」が1位に輝いた。販売は「iPhone 5s」が3キャリア+SIMフリーで1位――ゲオ12月編
ゲオ店舗で扱っている中古スマホの販売/買取ランキングを紹介。12月の販売は3キャリアとSIMフリーでiPhone 5sが1位。良品が2万円前後で購入できるのが魅力といえる。「2016ゲオモバイル年間ランキング」発表 中古スマホ販売台数のトップ10はiPhoneが独占
ゲオは、2016年1月~11月の買取・販売動向をランキングにした「2016ゲオモバイル年間ランキング」を発表。中古スマホ販売台数のトップ10はiPhoneが独占し、中古タブレットの販売は「Xperia Tablet Z SO-03E」が1位となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.