docomo withの反響から、AIの取り組み、5Gの料金まで――ドコモ吉澤和弘社長に聞く(4/4 ページ)
ドコモの吉澤氏が社長に就任してから1年がたった。2016年~2017年は端末購入のルールが変わり、MVNOも勢力を伸ばしている。この1年と直近の状況について、吉澤氏に話を聞いた。
5Gでも通信料金は変わらない
―― 5Gの進ちょくについても教えてください。
吉澤氏 3GPPで標準化が進められていて、2017年度末までにはリリース15に仕上げることが前倒しで決まったので、それと並行して、2017年度から基地局の開発をスタートします。開発投資も2017年度から出ます。2017~2019年で開発をして、設備投資は2019年から。周波数も並行して決まればアンテナも作れます。ある程度できたところから、プレでサービスを提供できると思います。実際のサービス提供開始は2020年のオリンピック前を目指しています。
―― 5Gの設備投資はけっこうな額になるのでしょうか。
吉澤氏 設備投資は、LTEと比べると少なくなります。既存の設備が使えるのと、周波数が高いので数をたくさん打たないといけませんが、全てではないので。基地局も1つずつは小さく、そこの置き時計の一回り大きいぐらいのサイズに無線機やアンテナが入ります。ビットが10倍になるのなら、装置価格は10分の1にします。そうじゃないと、(データ通信が)高い料金になってしまいますから。
―― 料金に関連して、速度がGbps単位になって大量のデータをやりとりすると、月間のデータ制限があっという間に来てしまいますよね。5Gの料金プランはどうなるのでしょうか。
吉澤氏 データ量が5倍、6倍になるのなら、ビット単価を5分の1、6分の1にします。ですから、今と(料金は)変わらないぐらい。それは可能だと思います。データ量が2倍になったからといって料金を2倍にするわけにはいかないですからね。
―― ビット単価はどのようにして下げるのですか。
吉澤氏 帯域あたりのデータ量が上がっても、装置価格は変わらないためです。例えば、データ量が2倍になっても装置価格が変わらなければ、ビットあたりの単価は2分の1になります。
―― 新しく5G用の基地局を打ったとしても、装置の価格は変わらない。
吉澤氏 変わらないですね。3Gや4Gの最初の頃に投資額が上がったのは、基盤を作らないといけなかったからです。例えば、鉄塔を建てるとか。これだけで1億円ぐらいかかりますが、5Gでは、既存の鉄塔に新しいアンテナを設置すればいいので。今後(新しく基地局を)置いていくのは、街灯、ビルの壁などですね。
―― 最後に、ドコモの強みについて、メッセージをお願いします。
吉澤氏 ドコモの強みと、パートナーの強みを、しっかりと連携させて、さらに価値を上げる。われわれは「+d」と呼んでいますが、こうした取り組みを加速できる基盤を持っていることです。
関連記事
「docomo with」「サブブランド」「ラグビー」「顧客対応」――NTTドコモ株主総会一問一答
NTTドコモが26回目の定時株主総会を実施した。株主総会は、株主が経営陣に直接質問できる数少ないチャンスでもある。ドコモの株主は、どのような質問(あるいは意見)を投げかけたのだろうか……?6つの「宣言」でさらなる成長を――ドコモが見据える「2020年」の先
NTTドコモが新たな中期戦略を策定した。「2020年」の先を見越して、さらなる企業価値の向上を目指す。新料金プラン「docomo with」に質問集中――ドコモ吉澤和弘社長と一問一答
5月24日に2017年夏商戦向けの新サービス・新商品発表会を開催したNTTドコモ。発表会の質疑応答と、その後の囲み取材での報道関係者と同社の吉澤和弘社長とのやりとりをまとめた。AIサービスを他社と共同開発 ドコモが「AIエージェントAPI」を開放
NTTドコモは、6月23日に中期戦略2020「beyond宣言」で掲げているAIエージェントの実現に向け、基盤の中核となる「AIエージェントAPI」を開発したと発表。「先読みエンジン」「多目的対話エンジン」「IoTアクセス制御エンジン」の3つで構成されている。新プランで約300億円を還元 6つの領域に注力するドコモの勝算は?
ドコモが「beyond宣言」と題する新たな中期経営戦略を発表。5Gを軸に、6つの領域に注力していくことを宣言した格好だ。このbeyond宣言の目的はどこにあるのだろうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.