「数字だけのシェアは追わない」 OPPOが日本市場で目指すもの:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(3/3 ページ)
急成長を遂げている中国の新興メーカーOPPOが日本に参入。第1弾スマホとして「R11s」を発売したが、ラインアップはこの1機種のみで販路もまだ狭い。日本市場での攻め方をどう考えているのか? OPPO Japanのトウ・ウシン社長に聞いた。
アフターサービスセンターも立ち上げる
―― サポート拠点はいかがでしょうか。Huaweiのように、即日で修理してくれるメーカーもあれば、郵送で何週間もかかってしまうなど、SIMフリースマートフォンは特に玉石混交な印象があります。
トウ氏 OPPOのアフターサービスのクオリティーは高いと考えていて、日本でも同じ標準のものを提供していきたいと考えています。オフラインでも、アフターサービスセンターは立ち上げていきたいですね。うちが保証するということは、アフターサービスセンターに来ていただいてから、4時間以内に修理したいということです。
―― 4時間。それは、かなり速いですね。
トウ氏 基本的には4時間以内で、これは他の国でもやっています。OPPOは業界の方から見るとバカなメーカーだと思われるかもしれませんが、たくさんのものを自社で背負っています。その中でもクオリティーは最重要視しているところです。先ほどおっしゃっていた何週間もかかるというのは、拠点を持っていないからに他なりません。そこは、自社の人間が責任を持ってやっていきたいと考えています。
―― アフターサービスセンターは、いつ頃の立ち上げるご予定でしょうか。
トウ氏 現在、まだわれわれの販売チャネルは2社しかありません。この状況においては、電話対応も速やかにできます。これからの売り上げの拡大も考えつつ、キャリアとの提携の後に、日本全土で立ち上げていきたいですね。
―― 現状でも、例えばショップインショップのような形ではできないのでしょうか。
トウ氏 家電量販店の中でカウンターを持つのは難しいですね。アフターサービスに対する知識も必要になりますし、物理的に静電気対策も必要になります。ビックカメラさんやヨドバシカメラさんが、店舗の改造を許してくれればできますが(笑)。
―― 最後に、発表会ではOPPO Japanの人材の9割が日本人だと伺いました。現状はいかがですか?
トウ氏 まだたくさんの人が必要なので、オススメの人がいればぜひ(笑)。実際、現状では、派遣社員も含め、60人ぐらいが在籍しています。これを2~3年以内に700人規模ぐらいには持っていきたいですね。
取材を終えて:キャリア市場への参入がカギを握る
SIMロックフリースマートフォン市場の拡大に伴い、日本に参入する海外メーカーは急増した。現在、シェアの高いHuaweiやASUSはもちろん、Lenovo傘下のMotorolaやフランス発のWikoも、そうしたメーカーの1社だ。一方で、参入してもなかなか芽が出ない、または参入を表明したものの実際には実現できなかった中小メーカーも存在する。外からだと“おいしい市場”に見えるのかもしれないが、実際のSIMロックフリースマートフォンは規模も限られており、メーカー数も多く、戦いはし烈だ。
ただ、OPPOは話を聞く限り、単なるSIMロックフリースマートフォンメーカーで終わろうとしているのではない様子がうかがえる。まず投入したR11sは、あくまで橋頭堡(ほ)を築くための1台といった位置付けのようだ。その先にOPPOが見据えているのは、9割ともいわれる、大手キャリアの市場である。
もちろん、日本のキャリア市場は、SIMフリー市場以上に参入障壁が高い。新規参入のメーカーは非常に少なく、世界第3位のHuaweiですら、2018年にようやくauからスマートフォンを発売できたほどだ。そのHuaweiも、ドコモやY!mobileを除くソフトバンクでは、スマートフォンを久しく発売できていない。この市場にOPPOがどこまで食い込めるのか。同社の手腕に注目しておきたい。
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