2号機だけど「ほぼゼロベースで開発」 カード型ケータイ「NichePhone-S 4G」の勝算:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(3/3 ページ)
カード型の超小型ケータイ「NichePhone-S」の後継機として「NichePhone-S 4G」が発売された。初めてLTEに対応したことで、中身はゼロベースで開発したという。通話やテザリングに機能を絞っているが、勝算はあるのだろうか。
おサイフケータイ対応にも意欲
―― プレフィックス番号を付けた中継電話には対応しているのでしょうか。
曲氏 手動でプレフィックスの番号を付ければかけられますが、ここは確かに不便ですね。実際、ユーザーからはそういった声もあがっています。
―― あとは、おサイフケータイがあると便利かなと思いました。
曲氏 FeliCaも検討はしたのですが、技術的に難しく、まずは通話に特化したところから始めました。確かにこのサイズで決済までできるといいですよね。この市場は絶対にあると確信して開発しているので、(将来的には)もっと便利な機能も入れていきたいと考えています。
FeliCaもそうですし、例えば子ども向けに防犯ブザーやGPSを入れて、親のスマートフォンから検索できるようにするといったことも考えられます。そういった機能を入れ、進化はさせていきたいと思います。
―― 発表、発売されたあとの反響はいかがでしたか。
曲氏 お店からの反響が非常に大きかったですね。メディアでの反響も気にしてずっとチェックしていましたが、いつかのブログでは、「3Gよりとてもいい」「使いやすい」などと書かれていて、ホッとしています。発売してからは、問い合わせもめちゃくちゃ多くなりました。
―― 販路は家電量販店がメインでしょうか。MVNOはいかがですか。
曲氏 実は商談をしているところです。MVNOはデータ通信がメインで、契約しているユーザーも(大手キャリアの)データ通信料が高いという不満を持っている方々ですが、MVNOにも通話定額はあり、スマートフォンで満足できないお客さまもいます。そういった方々には、NichePhone-S 4Gが1つの選択肢になるのではないでしょうか。
取材を終えて:今後はVoLTEにも対応してほしい
LTEに対応しただけでなく、前モデルのフィードバックを反映し、使い勝手も高めたNichePhone-S 4G。厚みは増している一方で、実機を手に取ってみると、かえって持ちやすくなった印象も受ける。スマートフォンに疲れてしまい、通話やSMS以外を“断捨離”したい人には、オススメできそうな1台だ。3G版も1万台以上を出荷したといい、ニッチを名乗りながらも、確実な需要があることがうかがえる。
ただ、通話に特化したというコンセプトを生かすのであれば、VoLTEにも対応してほしかったところだ。この点は次機種以降の展開に期待したい。最終的に搭載はできなかったが、企画段階ではFeliCaに対応する案もあったという。おサイフケータイは生活に欠かせない機能なだけに、コストが許せばぜひ実現してほしいと感じた。
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