夢の携帯，現る──J-SH51

新生J-フォンが発表したシャープ製の「J-SH51」は，これ以上はない！ というほどの高機能を誇る端末。あなたなら，FOMAとどちらを選びます？

【国内記事】

2001年11月8日更新

Weekly Mobile Top10 11月1日〜11月8日
1位	J-フォン，SDカード対応「J-SH51」，40和音ステレオサウンド「J-K51」発表
2位	「4，5年後にはKDDIとドコモのシェアは逆転する」──クアルコム
3位	ドコモ，迷惑メールに新対策──宛先不明メールのブロックも
4位	迷惑メールはなぜ届く？──キーワードは“名簿”
5位	IMT-2000は誤解だらけ？
6位	「悪いのはドコモだ！」――出会い系サイト弁護士の論理
7位	iモードの将来像──iモーションのイメージ映像も
8位	ドコモ，1.5GHz/800MHzデュアルの「F211i」発表
9位	薄い，軽い！ 「TK12」の魅力
10位	Bluetoothの成否は“日本の携帯”が握る

　「まさに夢の携帯……」。11月1日に合併を果たした新生J-フォンが発表した新端末「J-SH51」に，そんな印象を抱いた人も多かったのではないだろうか。28.8Kbpsのパケット通信，高機能化したメールシステム，40和音の着信メロディなど，基本機能だけでも魅力的なのに，カメラはVGA（640×480ピクセル），SDカードスロット搭載，MP3の再生と機能てんこ盛り。

　先週のアクセスランキングでも，トップを独走。1月上旬の発売が待たれるところだ。

もはや電話ではない？

　ここまでくると，「携帯電話は持ち歩ける電話機です」とはとても言えなくなってきた。メール端末にブラウザ機能が付いて，写真も撮れます，音楽も聴けます，ゲームも遊べます，ついでに電話も……。そんな印象さえ持ってしまう。

　J-SH51はこれだけの機能を満載して，価格は6万2000円。販売店へのインセンティブを考えると，3万円程度で購入できそうだ（7月11日の記事参照）。ある意味，デジタルカメラやMP3プレーヤーにとっても大きなライバルといえる存在になってくる。

　NTTドコモのFOMAなど，最新の携帯電話を持ち歩いて使っている筆者だが，正直なところ「J-SH51」が最も魅力的に感じられた。まだ実機に触れていないし，スペックの詳細も不明だが，携帯電話が新たな時代に突入したことを感じさせる端末だからだ。

　例えばSDカードにメールやアドレス，Javaアプリを保存してPCにバックアップを取れるため，たとえ端末を修理に出したり機種変更しても，データを移行できる可能性が開けた（3月2日の記事参照）。

ユーザーが求めるものは

　“通話が途切れる”といった状況は以前から大きく変わっていないものの，通話音質の良し悪しで携帯電話を選ぶユーザーは減ったように感じる。通信キャリアも“音がいい”ことを最近はウリにしていない。

　そんななか，FOMAのメリットは通話品質と通信速度。エリアや料金の問題をまったく無視しても，通話品質のよさだけではユーザーの心をつかむには力不足。PDA内蔵製品など通信速度の速さを活かす端末の登場は期待されるが，現行のiモードを使う限り，こちらも決定打にはなりそうにない。

　通話は確かに携帯の基本だし，データ通信速度の向上もこれまで困難だったアプリケーションを実現するものだ。しかし，FOMAはユーザーが求めるものとは別の部分で次世代に突入した印象さえある。

　逆に，J-SH51はユーザーが求めるものを強化したという点で，正統派端末といえる。「もっときれいな画像を写メールで撮りたい」「ダウンロードしたJavaや着メロを保存しておきたい」「音楽“配信”はいらないが，聞きたい」。そんな欲求は多くの人が持っているだろう。

　もっとも音楽再生機能に関しては，KDDIがソニー製端末「C404S」で試みて，あまり人気を得なかったという教訓もある（6月29日の記事参照）。失敗の原因をどこまで分析し，改善してきているかは興味深いところ。

不安要素はバッテリーだが

　唯一の不安要素はバッテリーだ。「J-SH07」でも，Javaを利用しているとすぐにバッテリーが切れるのは，ユーザーなら体感している（6月28日の記事参照）。J-SH51ではさらに音楽再生機能も加わったことで，バッテリーの持ちが気になる。

　筆者はC404Sを使って音楽を聴いていたが，バッテリーに関しては「1日は十分に持つ」という印象だった。J-SH51では再生に加え録音も可能ということで，専用チップを搭載しているのは間違いないだろう。正式なスペックが出てくるまではなんともいえないが，ほどほどのところでバランスを取ってくると思われる。

　バッテリーが気になるとはいえ，FOMAの連続待受け時間は55時間。これに比べれば，どれほど電力消費が激しくても安心して使えるだろう。何しろJavaやカメラ，音楽再生なら，電池が少なくなってきたら使わなければいいのだから。

[斎藤健二，ITmedia]

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