iアプリの達人になるには?iアプリ=Javaであるiアプリに関する書籍はたくさん販売されている。サンプルプログラムもネットを探せば,大量に入手できるようになり,この連載が始まった頃とはずいぶんと状況が変わってしまった。 ただ,いまiアプリを作っている人の多くは,Javaのプログラム経験があるか,ほかのプログラミング言語の経験がある人が多いようだ。iアプリは携帯電話をプラットフォームにするということで,プログラミング経験のない人も取り組むのではないかという筆者の予想は,あまり当たらなかったようで,やや残念な気がしている。 それでも多くの人がiアプリ開発に取り組み,面白いソフトウェアが入手できるようになった。しかし一方で,どうやったらJavaに取り組めるのか分からずに困っている人も少なくないようだ。実際,筆者の元にもiアプリというよりは,Javaの文法や書き方に関するものと思われる質問がたまに寄せられることがある。 NTTドコモのiアプリは,Java2 CLDCをベースに独自のライブラリなどを利用しており,Java2との完全な互換性はない。とはいえ,基本はJavaそのもので,Javaのテクニックはほとんど大半が利用できる。したがって,iアプリに取り組むにはJavaの知識が必須といえるだろう。 この連載でも折に触れJavaのベーシックな部分に言及していきたいと考えているのだが,読者のレベルがまちまちで難しい。そこで今回は,これを読んでおけばJavaが分かるという本を何冊か紹介してみることにしよう。いずれの本も,筆者が実際に買い参考になったと思っているものだ。 まず,真っ先に上げておきたい本として「プログラミング言語Java」(ケン・アーノルド/ジェームス・ゴスリン/デビット・ホームズ共著,柴田芳樹訳,ピアソン・エデュケーション)だ。いわばC言語におけるバイブル「プログラミング言語C」にあたるのが本書で,Java設計者の手によるJavaの解説書である。 Java 1.0/1.1準拠の第1版は,ごく薄い書籍だったが,Java2準拠になった最新版(第3版)は分厚い書籍になっている。筆者は両方とも持っているが,初期の版はあまり入門には向かない本だった。しかし,いま売られている第3版では,冒頭に「はやめぐり」という章が用意され,Javaに初めて取り組む人でも無理なく内容に入っていけるよう工夫されているため,初心者にもお勧めできる。 内容は言語設計者が執筆に携わっているだけに,詳細かつ(かなり)正確だ。Javaでどう書けばいいのだろう? と迷ったときに見ると,たいていのことは記載されているので実に役に立つ。iアプリに取り組む人は,ぜひ持っておきたい本といえる。 関連して「Java言語仕様」(ジェームス・ゴスリン/ビル・ジョイ,ガイ・スティール,ギッラード・ブラハ共著,村上雅章訳,アジソンウェズリージャパン)も,お勧めしておきたい。こちらは,ビッグネームが名を連ねていることから想像できるかもしれないが,サン・マイクロシステムズでJavaの言語の仕様策定にあたった人々による仕様書だ。 仕様書だけに無味乾燥な内容だが,Javaの振る舞いを,より詳しく知る必要が出てきたとき真っ先に参照すべき資料といえる。その意味では持っていると便利だが,やや取り付きづらい内容の上,高価。必ず買わなければならない内容でもない(「プログラミング言語Java」があれば大体は問題ない)ので,書店で手に取ってみてから買うかどうかは決めてほしい。 なお,この本も最新の第2版ではJava2対応に書き改められている。 これだけは欲しいファイル類書籍の次はネットワークから入手しておきたい参考書だ。CLDC関連やiアプリ関連は,既にリンクを掲載しているが,iアプリの開発にJavaのベーシックなドキュメントは欠かせない。 まず,必ずダウンロードして手元に置いておかなければならないのがJDK1.3のドキュメントである。iアプリで使えるAPIの多くは,このマニュアルに掲載されているので,繰り返し参照する必要があるからだ。JDK1.3のドキュメントは日本語訳されたファイルで入手できる。Java.sun.comを参照してほしい。 ファイル形式はHTMLテキスト,PDF,PostScriptの3種類が用意されている。お勧めはHTMLだろう。PDFはAPIのマニュアルを参照するのに向いていないからだ。HTMLをディスクの適当なところに展開してブラウザで見れるようリンクを作っておくと非常に便利である。 併せて入手しておきたいのがCLDCのドキュメントだ。CLDC環境では,Java2の一部のAPIに互換性がないため,先にダウンロードしたJava2フルセットのドキュメントだけで対応できない場合があるためだ。 CLDCのドキュメントは1.0ベースのものが日本語訳され,入手できる。Java.sun.comにある「Japanese documentation for the J2ME CLDC version 1.0」をクリックして手に入れておいてほしい。 アーカイブに,HTMLの圧縮ファイルが格納されているが,そのファイルを展開するとCLDCのAPIマニュアルになっている。これもディスクの適当な個所に展開して,いつでも参照できるようにしておくと便利だ。 以上,参考になる本や必ず必要になるファイルを紹介してみた。iアプリを作るには,さまざな文書を当たる必要がある。便利そうな本やファイルを用意して,いつでも取り出せるようにしておくと作業効率が上がるので工夫してほしい。 [米田聡,ITmedia] 連載バックナンバー Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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