新しい音楽体験を具現化したい――「Walkman Phone, Premier3」が“3”である理由:開発陣に聞く「Walkman Phone, Premier3」(3/3 ページ)
auの2009年春モデルとして登場したソニー・エリクソン製の「Walkman Phone, Premier3」は、ウォークマン並みの音楽機能とauの最新サービスをほぼ網羅するフラッグシップモデルだ。同じWalkman Phoneである「Xmini」との違いや、ウォークマンブランドへのこだわりを開発陣に聞いた。
“広く横に”よりも“深く横に”
“Walkman Phone”を満たす基準はやはり「音質」。「本家ウォークマンでも使うクリアオーディオテクノロジーがあるかどうか、これが一番重要です」と宮澤氏は述べる。
「本家ウォークマンの基準をクリアしているか、社内で客観的なテストをもって検査します。最終的に、Premier3は本家と同等の高得点を獲得できました」(田上氏)
ただし、ウォークマンが搭載するノイズキャンセル機能は、「ノイズを拾う回路を入れることでサイズが増してしまうので、技術的なことも含めてまだ達成できていません」と田上氏。ここは次期モデル以降の改善に期待したい。
音質はもちろん、音楽プレーヤーの操作性にもこだわり、LISMO Playerを横向きの全画面で利用できるようになった。ソフトウェア担当の平澤氏は、「ただ横画面にするだけではつまらないので、前後の曲のジャケット写真を表示するようにしました」と話す。
音楽再生画面のビジュアライザーも横画面に対応し、「ガイドを見なくても操作できるよう、視覚と操作感を合わせた画面作りにも注力しました」と平澤氏。待受画面の時計など、GUI(グラフィックユーザーインタフェース)はXminiと同じ部分が多いが、Xminiのように、本体色ごとに色が異なるFlashの待受画面は採用しない。
横画面で操作ができるのは、シアタースタイルで利用できる「ワンセグ、LISMO Player、PCサイトビューアー、静止画撮影、フォトビューアー、音楽付きスライドショー、時計」が基本となる。横専用の待受画面はなく、横画面での文字入力もできない。
「Premier3では音楽や映像など、コンセプトに特化した部分の開発に注力したので、“広く横に”というよりは、“深く横に”使ってもらうことを重視しました。横で文字を入力をするには、QWERTYキーボードが必要だと思います。それよりも、ビューアーとしての操作感を極めた方がいいのかなと」(宮澤氏)
そんな宮澤氏が「隠れお勧め機能」だというのが、横画面でのカメラ操作だ。シアタースタイル時には左端に遊びの部分ができるので左手が固定しやすく、側面にシャッターキーがある。さらにレンズがボディ裏側の中心に近い所にあるので、指で隠れてしまうことも少ない。
そのほか、ソフトウェアで進化したのが「フォトビューアー」だ。「Cyber-shotケータイ S001」と同じく、Premier3のフォトビューアーも、保存した日付順に写真を横1列で表示する「タイムライン表示」に対応する。各日にちの写真を選ぶと、その日の写真が縦に一覧表示するという仕組みだ。
「S001のようにフォトビューアー専用のキーはありませんが、シアタースタイルならメニューの第1階層から呼び出せます。モーションセンサーはありませんが、カメラモードで撮影したものは横向きで記録されます」(平澤氏)
よく連絡を取る人やよく使う機能をマップに表示する「MyOriginalMap」は、マップの拡大/縮小表示が可能になったほか、人物のアイコンから直接アドレス帳にアクセスして電話やメールを使えるようになった。ただしメールやLISMO Playerなどの機能アイコンから各機能に飛ぶことはできない。
ケータイアレンジは5種類を内蔵するが、その中の「シンプル」では、メインメニューに本物のジャケット写真を使ったという。「CDのジャケット写真を1枚ずつ作って、それをケースに入れて写真を撮りました。待受画面では机の上にCDが何枚か並んでいるのですが、板の色や木目まで、かなり細かいところまで考えました」と平澤氏はこだわりを明かす。
Walkman Phoneのこれから
ソニー・エリクソンは、2008年のJ.D. パワー アジア・パシフィックが調査した携帯端末の顧客満足度調査(※)で1位を獲得した。この勢いを加速するように、2008年12月にXmini、2009年2月にPremier3を発売。そして3月にはS001の発売も控えており、端末需要が冷え込む中でも“攻め”の姿勢を崩さない。宮澤氏は顧客満足度1位を獲得できた最も大きな要因として「隅々まで気を遣って作っているから」と分析する。
「ユーザーさんがソニー・エリクソンに期待するものは、ほかのメーカーとは違うところにあると考えます。携帯電話への期待+ソニー・エリクソンブランドへの期待にどう応えるか。この2つの軸がしっかりしていれば、我々にとってもユーザーにとってもいい商品になります」(宮澤氏)
ソニー・エリクソンへの期待とは、「平たく言うと、一風変わったもの、尖ったもの、人とは違うもの」と宮澤氏。それらを具現化した製品の1つが“Walkman Phone”となる。Walkman Phoneの今後のシリーズ化にも期待したいところだ。
「Cyber-shotやウォークマンなどのブランドに象徴されるAV機能は我々の強みです。最終的にはKDDIさんとの話し合いになりますが、我々のロードマップとしてはWalkman Phoneの継続は考えています」と宮澤氏。Xminiのような尖った製品か、それともPremier3のようなハイスペック路線か――Walkman Phoneのさらなる進化に注目したい。
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