ケータイに“本物のヒノキ”を採用――「TOUCH WOOD」はこうして完成した:CEATEC JAPAN 2009(2/2 ページ)
「CEATEC JAPAN 2009」のドコモブースでは、9月24日に発表されたコンセプトモデル「TOUCH WOOD」の実機が披露された。国産間伐材(ヒノキ)を使用したTOUCH WOODは、「本物感」「唯一性」「環境思想」を追求して開発されたモデルだ。
ボディにヒノキを採用するメリットとは
TOUCH WOODのコンセプトは「本物感」「唯一性」「環境思想」の3つ。
本物感は、“本物のヒノキ”を使ったことを示す。このヒノキに、オリンパスの三次元圧縮成形加工技術を施し、高度な耐久性・耐水性・防虫性・防カビ性を実現した。ただし防水については、いわゆる“防水ケータイ”のように「IPX」規格を採用したわけではなく、「木の表面が濡れても水を弾く」(説明員)程度となる。また、ヒノキには抗菌性があるのも特徴。毎日触るケータイだけに、衛生面にも配慮した。
唯一性は、“1台ごとに異なる木目と色合い”のこと。「木材によって樹液の量が異なるので、圧縮加工をする過程で樹液が表面に漏れると、そこだけ黒っぽくなるなど、色味が変わる」(説明員)。さらに、TOUCH WOODには塗装を施していないので、木の質感やぬくもり、ヒノキの香りを感じられる。「キズにも強い」(説明員)ので、経年劣化が少なく長く愛用できる。
環境思想は、森林から木を間引く際に発生する「間伐材」をケータイに利用することで、間伐材に経済的な価値を見出し、林業の活性化を目指す考え。TOUCH WOODのヒノキは、more treesが管理する四万十原産の間伐材を採用している。
国内初、オリンパスの「三次元圧縮成形加工技術」を採用
ブースでは、オリンパスの三次元圧縮成形加工技術を用いた試作機が完成するまでの流れも紹介されていた。製材にはヒノキの間伐材を使い、まずはブランク加工で立体的に削る。さらに、圧縮成形する際に木が割れないよう軟化処理を施した後に、成形金型に挟み、圧力の高い高温水蒸気で圧縮、固定する。その際、「引っ張って伸ばすと木が割れてしまうため、圧縮力だけで固定する。この時点で1.7〜2倍硬くなり、プラスチックと同等の強度になる」(オリンパス 研究開発センター テクニカルチーフアドバイザー 鈴木達哉氏)という。その後、表面を硬化、熱を加えて色つやを出し、最後にレンズ穴などを加工して完成となる。
なお、オリンパスの三次元圧縮成形加工技術は、2006年にドイツで開催された映像機器関連展示会「Photokina 2006(フォトキナ)」で、同社が披露したデジタルカメラにも採用されているが、国内向けの製品はTOUCH WOODが初となる。
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