“60コマワンセグ”はKCP3.0だから実現できた――「BRAVIA Phone S004」の進化点:開発陣に聞く「BRAVIA Phone S004」(2/2 ページ)
ソニー・エリクソン製の「BRAVIA Phone S004」は、「BRAVIA Phone U1」に続く、映像機能に注力したモデルだ。一般のケータイでは珍しく、チップセットに「Snapdragon」を採用した理由とは。そして“防水デュアルオープン”のこだわりとは。同社の開発陣に聞いた。
ブラインドタッチしやすいキー
―― デザインは、Premier3と比べて丸みを帯びているのが印象的です。
杉山氏 Premier3の、縦と横開きのどちらでも顔になるスタイルは踏襲しつつ、S004は肩を落としてアールをつけました。曲面にすることで陰影がつき、薄く見える効果が得られます。また、S004は女性にも使ってもらいたかったので、メカニックな印象にならないよう、シンプルな形状を目指しました。
―― ボディカラーの狙いについても教えてください。
守屋氏 ソニー・エリクソンの新機種のキーワードは「リードザプレミアム」です。Cyber-shotとBRAVIAの進化と高級感を表しつつ、色や質感にもこだわりました。後は20〜30代の男女に対する遊び心ですね。オニキスブラックは、高級感とプレミアム感を象徴する色で、斜めにかざすと紫にも見えます。スターダストピンクには粒子を入れ、華やぎやかわいさを表現しました。プラチナホワイトはシャープな鏡をイメージし、キー面に白いパールをあしらいました。3色とも背面は蒸着処理でミラー調に、裏面は全面マットな塗装にしています。
―― BRAVIAのロゴが深く刻まれているようですが、これは刻印したものでしょうか。
杉山氏 いえ、残念ながらプリントです(笑)。ただ、ロゴがはがれないように、わずかに窪みを設けた上にプリントしています。
―― U1では背面の中央にBRAVIAロゴがありましたが、S004では左端に移動しています。細かいところですが、何か意図があったのでしょうか。
守屋氏 背面パネルにはいろいろな要素があります。BRAVIAロゴは、サブディスプレイが点灯したときのバランスを考えました。
―― 全体のテイストも、U1とは違う印象ですね。
土屋氏 当初はデザイナーから厚くなると言われましたが、いくつかサンプルを作っていく中で、U1と一緒に並べても、それほど厚くは見えないほどになりました。それだけ絶妙なアールを付けたということですね。
―― 今回のau夏モデルは、全体的にキーの押しやすさにも工夫していますが、S004はどうでしょう。
土屋氏 防水ケータイは(サイズの都合で)小さいキーになりがちですが、S004では大きいキーを採用しています。ブラインドタッチしやすくなるよう、縦と横の境目に線を入れました。キーはシートキーですが、押下感が出るよう凸量を大きく取っています。また、サイドのマナーモード用のキーに凸を付け、閉じたままキーを見ないでマナーモードを設定できるようにしています。
発売時期を最優先、本家BRAVIAとの連携も視野に
―― KCP3.0に対応したことで動作速度が向上しましたが、UI(ユーザーインタフェース)で変更された点はあるのでしょうか。
立川氏 UIは特に変えていませんが、快適な操作性を生かせるよう、Flashコンテンツを増やしました。
今回はケータイアレンジに「sky」を入れ、待受画面に天気を表示するようにしています。季節や時間に応じて空の色が変わったり、雲の形が変わったり、虹が出たりします。これはEZニュースフラッシュと連動しています。EZニュースフラッシュは1時間に1〜2回データを受信するので、端末を開くたびにその時々の天気予報が表示されます。
土屋氏 外出前などにケータイを開くと、これから雨が降るかどうかなどが分かって便利ですよ。梅雨の6月は虹が出ることもあります。また、バーバパパの待受画面やデコレーション絵文字などのオリジナルコンテンツも入れています。脳トレ系のFlashゲームも3種類用意しました。
―― BRAVIAとバーバパパ……なんだか意外な組み合わせですね。
土屋氏 S004は男女どちらにも訴求したかったので、性別にとらわれない、親しみのあるキャラクターを入れようと思いました。S004は縦にも横に開くので、同じく“変幻自在な”バーバパパが最適と思い、入れました。
―― バーバパパの神経衰弱ゲームは横画面対応ですが、ほかに横画面用のコンテンツは用意しているのでしょうか。
土屋氏 横画面用のコンテンツは、今のところほかにはありません。初のプラットフォーム(KCP3.0)を扱うこともあり、まずは横画面でワンセグ、ビデオビュワー、PCサイトビューアー、カメラを使えるようにしました。U1では横画面で使えたフォトビュワーは今回は外しています。開発期間の問題もあり、通常モデルと同じタイミングで発売できるよう、機能の取捨選択をしました。
―― 確かに、初期のKCP+端末では発売が大幅に遅れたものもありましたが、S004はほかの夏モデルと同時期に発売されましたね。auのBRAVIA PhoneはS004で2機種目ですが、今後はどのようにBRAVIA Phoneを発展させていくのでしょうか。そのあたりの方向性を教えてください。
土屋氏 S004はKCP3.0を搭載した初号機ということで発売時期などの制約があり、「できること」と「できないこと」がありました。まだ向上できる部分はあるので、本家BRAVIAとの連携なども検討しながら進化させていきたいです。その上で、ソニエリらしさを残しながら、新しいプラットフォームでも存在感のある商品を作っていきたいですね。
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