CESでの「Windows Phone 8」とMWCに期待する“次”の展開:ななふぉ ITmedia支店(2/2 ページ)
2012年10月の「Windows Phone 8」の発表後、最初の大型展示会となったのが米国で開催された「2013 International CES」だ。Windows Phone 8の新機種も登場したCES2013を振り返りつつ、2月に開催予定のMobile World Congress 2013におけるWindows Phone 8を展望してみよう。
Huaweiが初のWindows Phone 8端末を発表、後継機種も開発中
2013 CESにおいてHuaweiは、同社初となるWindows Phone 8端末「Ascend W1」を発表した。Windows Phone 8のハイエンド機種がHD解像度のディスプレイや1.5GHzのプロセッサを搭載する中、Ascend W1は4インチ・WVGA解像度のディスプレイと1.2GHzのプロセッサーという、控えめなスペックだ。ストレージはわずか4Gバイトだが、microSDによる拡張に対応する。このようなストレージ構成は、ミドルレンジからローエンドに位置するWindows Phone 8端末の特徴だ。
一方、Huaweiは2013 CESで5インチの「Ascend D2」や6.1インチの「Ascend Mate」を発表しており、Androidスマートフォンをメインのハイエンド端末として前面に押し出している。この点をHuaweiの製品担当者に指摘したところ、「Windows PhoneについてもW1に続く後継機の開発を進めている」との回答を得た。具体的なリリース時期は未定だが、早ければ2月のMobile World Congress 2013における発表の期待も高まっている。
Ascend W1で特筆すべきは、4色が用意される本体カラーだ。Windows Phoneに豊富なカラーバリエーションをもたらしたのはauの「Windows Phone IS12T」だが、これは日本国内専用端末であり、世界的にはNokiaの印象が強い。これを受けて、Windows Phone 8ではHTCもカラーバリエーションをそろえてきた。
Windows Phoneにおいて本体カラーが重要な理由は、ライブタイルにある。特にWindows Phone 8ではライブタイルがスタート画面に占める面積が広くなり、その色が端末全体の印象を決めてしまう。これを生かすには、本体カラーを合わせてコーディネイトできることが重要だ。Huaweiもこのトレンドにしっかり乗ってきたものと考えられる。
一方、米Verizon Wirelessのブースには、発表済みのHTC 8Xの4G LTE対応版に加え、Nokia製の「Lumia 822」やSamsung の「ATIV Odyssey」といったVerizon専用のWindows Phone 8端末が展示されていた。
新機種という意味では、ATIV Odysseyに注目したい。この端末の存在が最初に明るみに出たのは、10月にサンフランシスコで開催されたWindows Phone 8の発表イベントで、SamsungによるミドルレンジのWindows Phone 8端末となる。SamsungはすでにGALAXY S III相当のハイエンド機として「ATIV S」を発表しているが、ATIV OdysseyはGALAXY S III miniに相当するWindows Phone 8端末となっている。
Windows Phone 8の今後の展開はMWCに期待
このように2013年のCES全体を振り返ってみると、Windows Phone 8端末が展示されていたのはHuawei、Verizon、Qualcommなどのブースが中心だった。HuaweiブースではAscend W1にも大きな展示スペースが確保されていたものの、プロモーション面ではAndroidのハイエンド機が中心的な存在だった感は否めない。
残りのWindows Phone 8ベンダーであるSamsung、HTCについては、CESでスマートフォンの新機種を発表していない。いずれも2月のMobile World Congress 2013に照準を合わせており、“弾”を温存しているとみられている。一方CESへの出展を見送ったNokiaは、MWC初日の2月25日にプレスカンファレンスの開催を予定している。Windows Phoneについても新製品を期待できそうだ。
端末以外に期待したいのは、Windows Phone 8自体のアップデートだ。従来のリリースサイクルを振り返ると、メジャーなアップデートは毎年秋に、その中間的なマイナーアップデートが毎年春に発表されてきた。そのため、2013年春に何らかのアップデートが用意されている可能性が高いといえる。
新機能として期待の声が高いのは、Windows Phone 8への搭載が見送られたという「通知センター」機能だ。Windows Phoneは標準でプッシュ通知に対応しているが、過去に受信した通知をまとめて閲覧する機能はない。iOSやAndroidではすでに搭載されており、Windows Phoneにも似たような機能を求める声は多い。
企業向けの機能としては、VPN対応も挙げられる。3GやWi-Fiなど、通信手段よってセキュリティ強度はまちまちだが、VPNがあれば外出先から社内システムに安全に接続できる。
ハードウェア要件についても注目は高い。現行のWindows Phone 8は、画面解像度として「1280×768ピクセル」「1280×720ピクセル」「800×480ピクセル」の3種類に対応する。しかしAndroidのハイエンド機では、フルHD(1920×1080ピクセル)を採用するものも珍しくなくなっている。アプリの互換性を高め、開発コストを下げるという点でハードウェアの最低要件を定める「シャーシ」モデルは評価が高いが、その反面、最新技術を導入できないというもどかしさも抱えている。
昨今ではAndroidのバージョンも上がり、安定性やレスポンスも大きく改善されている。iOSやBlackBerryも積極的にバージョンアップしており、Windows Phoneの長所といわれていた点も次々と取り込んでいる。こういった激しい競争の中で、メジャーバージョンアップを果たしたばかりのWindows Phone 8にも次の展開が待ち望まれる。まずは2月25日より開催予定のMobile World Congress 2013に注目したい。
著者プロフィール:山口健太
Windows Phoneに関するニュースやアプリ、開発者向け情報を扱うブログ「ななふぉ」(http://nanapho.jp/)管理人。Tipsやハックに加え、Marketplaceの分析や海外取材も好評を得ている。Twitterは@tezawaly。ななふぉのFacebookページ(https://www.facebook.com/nanapho.jp)も公開中。趣味は自転車旅行。
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