ドコモ、愛犬家のための見守りサービス「ペットフィット」発表:3月から提供
ドコモは、愛犬の健康を管理し迷子になった場合にGPSで居場所を検索できるサービス「ペットフィット」を発表した。1年間有効のプリペイド式専用料金プランも提供する。
NTTドコモは2月13日、ペットの健康管理や位置検索ができる新サービス「ペットフィット」を発表した。2014年3月より提供する。ドコモオンラインショップでの販売価格は端末と最大1年間の通信料込みで2万5900円(税抜、以下同)。今後はペットショップや動物病院での取り扱いも検討している。
ペットフィットは、3G通信機能を持つ「ペットフィットタグ 01」を愛犬に装着し、「ペットフィットステーション 01」と組み合わせて利用するサービス。3G通信機能搭載の専用端末を利用した愛犬向けサービスとしては国内初だという。メーカーはどちらもNECだ。
タグはIPX4相当の防水性能を持ち、温度計やGPSなどの各種センサーも備えたもの。愛犬の運動量や周辺温度を計測してクラウド上に送信するため、飼い主はスマートフォンやPCなどからいつでも愛犬の様子を確認できる。またクラウド側には900種類以上のペットフード情報を用意し、与えた食事の管理機能も設けた。食事量と運動量から消費カロリーを計算して、獣医師が監修した健康管理のためのコメントサービスも提供する。
タグとステーションはBluetooth通信で接続され、通信が一定時間以上切断した場合は迷子になったと判断。事前に指定したメールアドレスへ通知するとともに、タグに搭載されたGPSにより愛犬の居場所を飼い主に提供する。
なお対象となる犬は、生後7カ月以上で体重1キログラム以上の犬。犬以外のペットは対応していない。
端末価格には前払い方式の専用プランである「プリペイドデータプラン 75MB」が含まれており、365日間または75Mバイトまでの通信が可能。タグの通信量は一般的な使い方であれば年間60Mバイト程度に収まるとのことだが、迷子になる回数が多いなど、想定以上に通信頻度が増えると、1年未満でも75Mバイトに達することもありえるという。1年または75Mバイトを過ぎた場合は、通信量5100円+付加機能使用料2400円の合計7500円を支払うことで継続利用できる。
タグを小型化できれば愛猫用のサービスも
ペットフィット用のタグはサイズが50(幅)×32(高さ)×17.3(厚さ)ミリで、重さは約29グラム。3G通信用のモジュールと各センサー、そしてバッテリーを内蔵していることを考えると十分小型・軽量だが、小さい犬にとっては負担になる可能性もある。そのためドコモでは、対象となる犬を生後7カ月以上で体重1キログラム以上と定めた。今後、タグを小型化できれば猫用サービスなどの提供もあり得るという。
タグの連続使用時間は190時間で、これはステーションとBluetooth接続している状態、つまり“迷子”ではない場合の数値。実際に迷子にならなくても、ステーション側の電源が途切れて一定時間以上Bluetooth通信が切断されると、タグが迷子扱いになってしまう。Bluetooth接続が途切れて迷子になると、タグはGPS情報を登録した宛先に送信し始める。その場合の連続使用時間は10時間だ。
タグとステーションが接続できる距離は見通しで最大50メートルだが、屋内の場合は電波が届きにくくなるためもっと短い距離になるという。なお、タグはIPX4相当の防水性能を持つがアウトドア仕様というわけではないため、外で飼っている犬への使用はあまり向かないようだ。
タグは愛犬や飼い主の情報を直接保存してはいないが、ドコモショップに持ち込むと飼い主のdocomo IDを検索できるという。ペットフィットのタグを付けた“迷子”を見つけた場合、ドコモショップに連れて行くと飼い主に連絡が付く可能性が高まるという。
ワンちゃんもスマートライフのパートナーに加えたい
ペットフィットを利用するには、まず犬ごとのプロフィール登録が必要だ。犬種のほか足の長さなどの体のサイズや体重をアプリや専用Webページから入力する。この犬ごとのプロフィール情報と収集データをもとに、獣医師からのコメントが配信される。また収集データはプライバシーに配慮した統計データとして処理した後、「愛犬ビックデータ」として研究機関や医療機関ての提供も考えられている。
ペットフィットの発表会に登壇したNTTドコモ M2Mビジネス部長の高原幸一氏は、「ワンちゃんは家族にとって欠かせない存在であり、ドコモが進めるスマートライフのパートナーにも是非加えたい存在」と話す。国内のペット犬は飼育頭数が約1100万頭で、これは3歳から12歳の人口(約1100万人)に匹敵。高原氏は“愛犬”が社会にとって重要なメンバーであると説明する。またペット市場は1兆4000億円規模であり、ペットフィットのようなコミュニケーションサービスが今後も成長できる市場なことも重視したという。
開発にあたりドコモでは、愛犬の今の状態を知りたい/健康管理をしたい/迷子になった場合にいち早く見つけたいという、飼い主の3つのニーズに着目。さらに愛犬ビックデータの活用により、病気の早期発見や生活週間の改善も目指している。センサー情報をもとにクラウドでカロリー計算をするアルゴリズムが、「このサービスのミソ」(高原氏)だという。
また愛犬ビックデータの収集に協力している犬山動物総合医療センター院長の太田亟慈氏はペットフィットについて、「まず、センサーで犬がいる環境の室温が分かるのが良い。夏になると飼い主が出かけている間に熱中症で死ぬ例が多く、これを防げるだろう。また愛犬も寿命が延び、痴呆になる犬が増えてきた。そのため迷子になるケースも増え、GPSを使った位置検索は有効だ。そして肥満は突然死にもつながるため食餌療法が必要だが、そのためには毎日のカロリー計算が欠かせない。ペットフィットを使えば、より多くのペットを健康で長生きさせられるだろう」と期待を寄せた。
そして発表会には、モデルの道端アンジェリカさんが愛犬のひめちゃんを連れて出席。いち早くペットフィットを使ってみたという道端さんは、「ひめちゃんと一緒になって10年になりますが、体が小さいと体重の管理が大変。わずかな体重増でも大きな負担になるため、獣医さんからは食べ物に注意するようにアドバイスを受けたこともあります。しかしカロリー制限の必要性が分かっていても、どこまで食事を減らせばよいのか分からないことも多いですよね。(ペットフィットなら)近くに専門家がいるという安心感がありますし、パートナーとしての自覚も改めて芽生えました」と、その使用感をコメントしていた。
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