「MNPプラスは簡単じゃない。でも社内的には頑張っていく」――NTTドコモ加藤社長の囲みにツッコミ:石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)
NTTドコモの決算説明会で加藤社長は新料金プランが好調であると発表。SIMロック解除やMVNO市場についてはどう考えているのだろうか?
―― いま、ドコモでiPhoneをSIMロック解除できないのは何故ですか。
加藤社長 それ(SIMフリー)があるので、それをお買い求めくださいという論理なのかと思いますけど。
(★ 何だか他人事のような発言。アップル主導だから?)
―― 新料金プラン、1GBあたりの単価が上がっているような気がするが、ユーザーからのクレームはないのか。
加藤社長 小さくしたときに高くなりますね。パックも一緒ですけども、10GB、15GB、20GB、30GBになるに従って、パケット単価が下がっていきますよね。そのひとつの設計思想でやっています。
―― ネットワークの負担を減らすというのもあるのですか。
加藤社長 大きいほうが単価としてお得だということになるかと思います。それ(最小のパケット単価)を単純に何倍もしていただきますと困ります。
―― いまでも旧料金プランを選べるが、新料金プランのほうが圧倒的に多いと言ったことはあるのか。
加藤社長 新しく動かれる方は新料金プランを選んでいただけていると思っています。旧料金プランの方は動きがなくそのままですね。
―― 新しく契約する人で旧料金プランを選ぶ人はあまりいないと。
加藤社長 おられないことはないですけど、その数はちょっといまは知らないので、あとで何か確かめていただければと。
―― 旧料金プラン、どれくらい残ると見てますか。
加藤社長 んー。なかなか難しいですね。逆を言えば、新料金プランがどれだけ行きますかということになる。長い目で見たときには、どうなんでしょうね。良くわかりませんね。
新料金プランのほうが、私は使い勝手があって、家族単位でいろんな設計ができると思うんです。そういう意味ではそこに収斂していってくれたらありがいたいです。
(★ まぁ、それなりの数を達成できそうな気がするけど。自分も新料金プランにして、電話する回数、時間が圧倒的に増えた。充分、元はとれている)
―― MNPでプラスが見えてきたと。
加藤社長 いや。プラスが見えてきたとは言っていません! そんな簡単じゃございませんよ。間違わないようにしてくださいね。社内的には頑張ろうやないかと。知恵を出そうと思っています。
(★ キャッシュバックはやらないと言い切っているので、MNPでプラスにするのは結構、難しいかも。ま、そのほうが経営的には健全で良いと思うけど)
―― セット割を解禁したとき、御社にとってどういったインパクトがあるのか。
加藤社長 セット割のみがものすごくクローズアップされるが、セット割になるかどうか、設計を考えないといけないと思っています。割引があったほうが良いとしても、どのような形がいいのか。難しい所だと思います。新料金プランのように全部似すぎても、お客さんの選択がないのかも知れませんし。
工夫はしようなと思っていますけども。なにぶん、卸の条件がさっぱりわかりませんので、その仕様の基本のところが決まっていない。なかなか難しいですね。
(★ セット割は割引原資をNTT側が負担するのかNTTドコモ側なのかがポイントになりそう)
―― 実現したときはMNPゼロになるかも知れないのか。
加藤社長 MNPとはちょっと別かも知れません。それとは別にモバイルのところでやれるかも知れません。トータルとしてそうなるかも知れません。一概には言えないと思います。
―― 今回の決算におけるMVNOの影響は。
加藤社長 私どもにMVNOさんが、たくさんおられます。その方々が増やしていただいたものが、我々に内包されているのは事実ですけども。どれくらいというは申し上げられない。一方では格安スマホだとか、MVNOを使った、さらに安いデータプランだとか、いろいろありますので、それが伸びていくのは、お客さんがそれを望んでおられて、そのような2台目、3台目という使われ方は良いことだと思っている。
取材を終えて
新料金プランで契約者数、MNP流出、解約率に改善が見られているとのこと。収益的には減収だが、NTTドコモにとって良い流れができているような気がする。これで秋にNTT東西とのセット販売が始まれば、鬼に金棒といえる。
2014年以降はNTTグループが業界をかき回す気がしてきている。
関連記事
- 通話定額で音声ARPUはダウン:600万契約を突破したドコモの新料金 “長期ユーザー優遇”でMNP商戦が沈静化
ドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」が600万契約を突破。決算説明会で加藤社長は、新プランの導入で純増数、解約率、MNPなどが大幅に改善していると報告した。 - ドコモ、新料金プラン500万契約突破――期間限定でLINEスタンプを無料配信
NTTドコモは、新料金プラン契約数500万件の突破を記念し、9月28日までの期間限定でLINEスタンプを無料配信する。 - ドコモ、光回線とのセット販売を「早期に導入」――株主総会で加藤社長が明言
ドコモの加藤社長は株主総会で、同社のモバイル回線とNTTが卸売りする光回線のセット販売を検討していることや、新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」が365万契約となったことを明かした。 - 下り最大225Mbps、ドコモが「LTE-Advanced」を2014年度中に開始
ドコモの加藤社長は決算会見で、「LTE-Advanced」を2014年度中に開始すると発表した。LTEの基地局数も1.7倍の9万5300局に増強する。 - コミュニケーションの原点回帰へ――ドコモ加藤社長に聞く「カケホーダイ&パケあえる」の狙い
「最後まで通話定額には反対の意見があった」「無料通話分付きのプランを入れてもいいのでは」――。さまざまな選択肢を検討して悩んだ末に決まったという、ドコモの「カケホーダイ&パケあえる」。この新料金プラン誕生の背景を、ドコモの加藤社長に聞いた。 - ドコモ、固定や他社携帯もカケホーダイになる新料金を6月開始――スマホ向けは月額2700円から
ドコモは、スマホの固定・他社携帯宛通話を月額2700円で提供する新プランを発表した。家族間でパケット通信料を分け合えるデータ料金プランとともに6月から提供する。
関連リンク
© DWANGO Co., Ltd.