2台目+データ増収で好調のKDDI、次の一手はロボット?電力? 2年縛りにも言及:新領域も成長中(3/3 ページ)
過去最高益という第1四半期決算を発表したKDDI。3M戦略による2台目需要で、タブレット販売とデータ収入が増益に寄与したほか、auスマートパスやau WALLETなどの付加価値領域も順調だ。
光コラボの影響は? 次の成長エンジンは電力・ロボット?
連続2ケタ成長で過去最高益となった前年度の勢いに乗り、第1四半期も過去最高益となったKDDI。固定と移動のセット割(auスマートバリュー)や付加価値サービス(auスマートパス、au WALLET)など、2012年に打ち出した3M戦略が好調の要因だ。
セット割はNTTドコモとソフトバンクも「光コラボ」の解禁でこの春から開始したが、田中社長は「それほど影響があるとはみていないが、慎重にみていきたい。セット販売はオペレーションが難しい」と様子見の姿勢。確かにドコモもソフトバンクも開通手続きの遅れが発生しており、ユーザーへの浸透はまだこれからだ。
ただ、auスマートバリューは契約から2年を経過して3年目に入ると、月々の割引額が減少する。他社は継続的なセット割引をうたうなど差別化を図っているが、田中社長は「割引の対象を広げることで対応している。例えばCATVの場合は音声(電話)と映像(テレビ)の組み合わせで割り引いたり、固定だけでなくスマホとルーターで割り引く『auスマートバリュー mine』などもある。割引の条件を緩和することはありうるが、割引額を変えることは考えていない」と説明した。auスマートバリュー非対応のCAATVもまだあるため、適用事業者を広げることで対応する考えだ。
また携帯電話契約の2年契約(縛り)については、「2年ごとの契約を理解してもらえるよう、改善にとりくんでいる。具体的には契約期間のメール通知、あるいはコンテンツ系の無料期間の案内などだ。ただ契約期間がエクスパイア(満了)した後にどうするのかは検討中。縛りは残すが、条件を緩くしていきたい」(田中社長)と、なんらかの条件緩和を示唆した。
2016年4月に小売が自由化され、次のセット割として注目される電力については、「4月にエネルギービジネス部を立ち上げたが、具体的なものはない」(田中社長)とする一方で、「いざやるとなると地域ごとに電力の供給先が必要になる。前に進める場合は地域ごとの一般電力を買うか、それ以外の新興電力から買うのか。あらゆるところを検討中」と踏み込んだ発言もあった。
前日にKDDI Open Innovation Fundから発表されたファミリー向け知能ロボット「Jibo」への出資については、「決算発表のタイミングは関係ない。ロボットへの投資は、通信ビジネスがこれまでの様に大きく伸びることはないため、IoT領域の重点投資先をファンドで探した結果。(ベンチャーキャピタルなので)マジョリティではなくてまだマイナーな事業への投資」と説明した。
ロボット事業については、ソフトバンクが「Pepper」を大々的に打ち出しているほか、ドコモもクラウドでの言語処理エンジンをタカラトミーの「OHaNAS」に提供するなど、携帯キャリアの参入が話題になっている。KDDIのロボット事業についても注目していく必要があるだろう。
3M戦略で利益構造の変化に挑んだKDDI。田中社長は「今年度は中期計画の最終年度。成長ステージでどれくらい利益をだせるのか? au WALLETはまだ赤字で、来期は顧客数をベースに、手数料・物販の粗利で利益に寄与できるようにしたい」と意気込みを語った。なお、次期中期計画は2016年5月ごろの本決算で発表される予定だ。
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