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“生活を変える”コンセプトに合致――トリニティが初スマホにWindows 10を選んだ理由SIMロックフリースマホメーカーに聞く(1/4 ページ)

デジタルガジェットのアクセサリーメーカーとして知られるトリニティが、Windows 10 Mobileスマホ「NuAns NEO」を開発した。なぜ、スマホに参入するのか。なぜ、評価が定まりきっていない新OSを採用したのか。同社の星川社長から狙いを聞いた。

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 トリニティは、iPhoneを中心としたデジタルガジェットのアクセサリーメーカーとして名前を知られている。そんな同社がWindows 10 Mobileスマートフォン「NuAns NEO(ニュアンス・ネオ)」を開発したことは、業界に大きなインパクトを与えた。アクセサリーメーカーが突如スマホ“そのもの”を開発したことはもちろんだが、本体(コア)と外装(カバー)を別売にして、外装を自由に選べるというアクセサリーメーカーならではの発想にも驚かされた。

NuAns NEO
NuAns NEO

 しかも、NuAns NEOは、Qualcommの「Snapdragon 617」というミドルハイ(中の上)端末向けとしては最新のチップセットを使っている上に、暫定情報ではあるが、キーボード・マウスを接続し、画面を外部出力するとPC版Windows 10と同じように操作できる「Continuum」にも対応する予定だ。日本マイクロソフトのイベントで初披露した際は、既存のスマホにはないカラーリングをはじめ、デザイン性の高さが注目されたが、実はスペック的にも“上”を狙っていた、というわけだ。トリニティの発表は、まさにサプライズの連続だったといえるだろう。

 一方で、トリニティ(あるいは、NuAns NEO)には“未知数”な部分が多い。まず、アクセサリーメーカーとしては十分な実績はあっても、スマホそのものをしっかりと作り上げることができるのか、という不安はあるし、新参メーカーが評価の定まりきっていない新しいOSを使ってしっかりとしたスマホを作れるのか、という心配もある。

 そこで、これらの疑問や、スマートフォンに参入した経緯、発表後の反響などを、同社の星川哲視社長に聞いた。

予約開始と同時にサイトが“パンク”、実機展示も実施予定

トリニティの星川哲視社長
トリニティの星川哲視社長

―― NuAns NEOの発表会を終えて、反響はいかがでしたか。まずは、この点をお聞かせください。予約開始の時間には、サイトが落ちてしまったようですが(笑)。

星川氏 22時に予約を開始するということで、そのタイミングにはアクセス過多になることは想定して、スペックを上げてはいたのですが、瞬発的にアクセスが増えて、落ちてしまいました。ただ、回線を太くして、10分ぐらいで復旧はしています。予約自体は別のサーバで動いていたため、ほぼ滞りなくいけました。反響としては、思っていたより多かったです。今のところ数字は公表していませんが、今朝(12月1日)の10時(予約開始からちょうど12時間後)の段階でも、初回(出荷)予定数の5分の1ぐらいが埋まっています。

 ただ、まだ機能の面で、「Continuumが確実に(対応する)」とはいえない状況で、しかも発売までに約2カ月あります。(Continuumへの)対応が確定したら予約しようというのもあるし、EC(ショッピングサイト)の問題で、(12月1日時点では)まだクレジットカードも使えません。速報以外の記事も出てくれば、また状況は変わってくると思います。

 初動に関していえば、別売のカバーも含めて買われる方がほとんどで、金額的には5万円を超える方々が(予約数の)半分ぐらいです。(コアのみで3万9800円という)価格的なことを考えると、結構いい形で始まっているといえます。1万2800円だと、もっと数が多いのかもしれませんが(笑)。

―― その価格帯と比べなくても(笑)。それはともかくとして、実際にモノを見てみたいというユーザーも多いのではないでしょうか。

星川氏 1月に技適(※)を取り終わったら、大手を振って見てもらえるようになります。一般のお客様に見ていただける場所や時間は、選定しているところです。場合によっては(販売店の)ロフトさん、もしくは伊勢丹さんやBALSさんの店舗で触れるようにしてもいいかもしれません。やはり展示は先に始めておきたいですからね。

※「特定無線設備の技術基準適合証明等」のこと。日本国内で電波を発する機器は原則として取得が必須で、未取得のまま電波を発すると電波法違反で利用者が罰則を受ける場合がある(参考記事

発表会ではフライトモードだった
発表会で展示していた実機は、技適の取得が完了していなかったため、フライトモードになっていた

―― Windows 10 Mobile自体、触るのが初めてという人がほとんどですから、それはぜひお願いします。個人的には、ちょっとまだOSそのものがチューニング不足かなという印象があります。

星川氏 OSも少しずつチューニングされていくので、今が「もっさり」(動作が遅い状態)だからといって、今後もそうというわけではありません。今のところ、感触としては、もったいないぐらいのファーストインプレッションをいただいています。今、世の中に出ているもの(Windows 10 Mobile搭載のスマホ)は、「Snapdragon 210」と「Snapdragon 410」の端末ですが、われわれのものは、そこと比べれば段違いの処理能力があるので、さらに操作感はよくなります。

 Continuumは目玉の機能ですが、それ以外の部分でも、コンセプト、機能、スペックのよさをご体感いただけると思います。5GHz帯のWi-Fiや、ノイズキャンセリングマイク、大容量のバッテリーと、バランスもいい。価格と性能のバランスは取れているのではないかという、自負はあります。

価格設定は「規模に見当たったコスト構造」から決定

―― その価格を、大手メーカーと違って大量調達できない中で、実現できた理由はどこにあるのでしょうか。

星川氏 社内では私とプロダクトマネージャー、(NuAnsのデザインを担当する)TENTの2人、ジャーナリストの本田(雅一)さん、エンジニアの永山(純一)さんの6人程度と、小規模でやっているのが1つの理由です。人数がいれば、そこにコストが発生しますからね。

 あと、実はこれを言ってしまうとあれですが、NuAns NEOで、われわれは初めてスマホ端末メーカーになるわけですが、どういう利益構造が正しいのか、正直まだ分かっていないというのはあるかもしれません。もちろん、サポートセンターと契約するコストも鑑みつつ、マーケティング費用などもある程度織り込んだうえで、採算ラインは考えていますが。

 もう1つあるのは、これのみで生きているわけではない、というところです。金額的にも、これですぐもうけるというより、1発目として、作りたいものを作りたい。利益構造としては、想定台数以上を販売できれば、ビジネスとしても成り立ちます。ただ、4万円を超えるとちょっと違うかなというのはありました。もう少し高くしてもとは思いましたが、3万9800円でどのくらいの妥当性があるのか、試してみたかったところはありますね。

NuAns NEOのプロジェクトチーム
NuAns NEOは、わずか6人のチームで開発している

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