3万円台で要注目のSIMフリースマホを徹底比較――基本スペック&持ちやすさ編:最新スマートフォン徹底比較(1/3 ページ)
3万円台で購入できるSIMロックフリースマートフォン7製品を徹底比較。基本的な機能やスペックはもちろんのこと、スペック表だけでは分からない特徴や持ちやすさなども細かくチェックした。
2016年の格安SIM市場は、オンライン中心の展開から、一般ユーザーに向けた店頭での展開がより活発化するとみられている。量販店でも、大手通信事業者のカウンターは総務省による規制の影響で人影がまばらになる一方、SIMロックフリースマホと格安SIMコーナーは徐々に注目が集まりつつある。
こうした状況を受け、国内外のさまざまなメーカーが日本向けSIMロックフリー市場に参入し、2015年も多くの機種が登場した。今回の記事ではその中でも、売れ筋といえる3万円台(税別)で購入できるミドルクラス7製品のスペックや性能を比較していく。前編となる今回の記事では各機種の特徴やスペックについて比較、後編では処理性能、バッテリーのベンチマーク、対応ネットワークについて掲載する。なお、本稿で紹介している価格はいずれも税別となる。
今回取り上げる7機種は、FREETEL「KIWAMI」、ASUS「ZenFone Selfie」、Huawei「HUAWEI GR5」、ALCATEL ONETOUCH「IDOL 3」、ZTE「AXON mini」、富士通「arrows M02」、シャープ「AQUOS SH-M02」だ。まずは各機種の概要について見ていこう。
上段右から、FREETEL「KIWAMI」、ASUS「ZenFone Selfie」、Huawei「HUAWEI GR5」、TCL「ALCATEL ONETOUCH IDOL 3」。下段右からZTE「AXON mini」、富士通「arrows M02」、シャープ「AQUOS SH-M02」
KIWAMI:大画面6型WQHD搭載の高性能スマホ
日本人の設計と品質をウリとする、FREETEL(プラスワン・マーケティング製)のハイエンドモデル。今回取り上げる製品の中では、6型WQHD(1440×2560ピクセル)と、プロセッサにMediaTek製のMT6795(2.0GHz/8コア)、カメラは約2100万画素といずれも最高スペックだ。さらに指紋認証センサーも搭載する。画面サイズはiPhone 6s Plusの5.5型よりもさらに一回り大きく、操作は両手持ちが前提となる。
スペックは今回の7機種のなかで突出しているが、その一方で、操作中に突然シャットダウンしたり、ゲームの音声が途切れたりするなど、数年前の不安定なAndroidスマホを思わせる動作も見られた。新興メーカー初のフラッグシップ機だけに、今後の改善に期待したい。
ココが○
- 大画面かつ高解像度の6型QHD液晶を搭載
- 2.0GHz/8コアで動作が高速、3DCGの表示性能も高い
- 指紋認証でセキュリティ保護とスリープ解除がラク
ココが×
- 付属以外の充電器だと充電開始に15秒ほど待たされる
- 一般的なexFATフォーマットのmicroSDXCを読み込めない
- スクリーンショット撮影音がカメラ音よりも大きい
ZenFone Selfie:インカメラにも約1300万画素カメラ&デュアルLED搭載
セルフィー(自分撮り)という名の通り、インカメラにもアウトカメラと同等の約1300万画素カメラ+レーザーオートフォーカスを搭載したモデル。デュアルLEDフラッシュもアウトカメラとインカメラ両方に搭載されている。
価格は3万円台前半と、5.5型フルHD(1080×1920ピクセル)モデルとしては低価格だ。ハードウェアのセンサーキーを搭載しているので、他の5.5型モデルと比べてソフトキーを表示せずに済む分、より多くの情報を表示できる。プロセッサはQualcomm製のSnapdragon 615 MSM8939(1.5GHz/4コア+1.2GHz/4コア)を搭載。動画再生やSNSはもちろん、処理の軽いゲームも快適に遊べる。
ココが○
- 自分撮りも広角かつ高感度の約1300万画素カメラで撮れる
- 暗い場所でも高速なレーザーオートフォーカスを搭載
- ピンクやアクアブルーなど明るいパステルカラーも用意
ココが×
- 重量170グラムと、同クラスの5.5型スマホと比べやや重たい
- センサーキーが光らず、暗い場所ではやや見にくい
- 画面の最大輝度が高くなく、直射日光かでやや見づらい
HUAWEI GR5:5.5型で指紋認証センサー付きの高コスパモデル
5.5型フルHD(1080×1920ピクセル)液晶と指紋認証センサーを搭載して3万円台半ばとコストパフォーマンスが高いモデル。さらに、背面にはヘアライン加工が施されたアルミニウムマグネシウム合金を採用。見た目や質感が良いうえに158グラムと軽量だ。
液晶は明るく鮮やかで、カメラの画質も良好。プロセッサはQualcomm製のSnapdragon 615 MSM8939(1.5GHz/4コア+1.2GHz/4コア)を搭載。ビジネス用途には十分な性能を持つ。Wi-Fiが2.4GHzのみなど細かい機能は省かれているが、ビジネス向けの大画面スマホを求める人にとっては、価格と性能のバランスの取れた魅力的なモデルとなっている。
ココが○
- 金属パネルの質感が映える、ゴールド、シルバー、グレーの3色展開
- 指紋認証はセキュリティに加え、タッチパッド風操作にも使える
- 5.5型ながら158グラムで厚さ8.15ミリと軽量かつスリム
ココが×
- 5GHz帯のWi-Fiに接続できない
- USBホストに対応していない
- NFCには対応していない
IDOL 3:軽量薄型かつJBL音質認証のスピーカーを搭載
中国のTCLグループ傘下のTCLコミュニケーションが「ALCATEL ONETOUCH」ブランドで販売するスマートフォン。5.5型フルHD(1080×1920ピクセル)モデルながら、厚さ7.4ミリ、重量約141グラムで、他のモデルとは一線を画す薄さと軽さを実現。プロセッサは他の5.5型モデルと同じQualcomm製のSnapdragon 615 MSM8939(1.5GHz/4コア+1.0GHz/4コア)を搭載する。
本体前面には、JBL音質認証を取得したフロントステレオスピーカーを搭載。薄型軽量のボディからは考えられない、クリアかつ広がりのある音で動画やゲームを再生できた。さすがに低音の迫力は控えめだが、動画をよく見る人は要注目だ。一方、付属のJBL製カナル型イヤフォンは、低音を強調した2000〜3000円前後の製品の音といった印象。既にこだわりのイヤフォンを持っているなら、そこまで期待しない方がいいだろう。
ココが○
- 薄さ7.4ミリ、重量約141グラムと他の5.5型スマホより薄く軽い
- フロントステレオスピーカーの音質が良い
- スマホを上下逆さに持ってもそのまま操作できる
ココが×
- 背面パネルの剛性感がなく、やや高級感に欠ける
- 付属のイヤフォンはJBL製だが音質は下位製品クラス
- 細かい省電力設定が用意されていない
AXON mini:指紋認証センサー付き、有機ELの高画質薄型モデル
5.2型の色鮮やかなフルHD(1080×1920ピクセル)有機ELを採用した高画質モデル。黒の締まりがよく、特にブルーからグリーンにかけた海やネオンの色はくすみがなく鮮やか。プロセッサはQualcomm製のSnapdragon 615 MSM8939(1.5GHz/8コア)で、一般的なアプリは快適に動く。一方、有機ELを生かせる高画質な3DCGゲームに向いていないのはやや残念。
重量は今回の7機種では最軽量の約132グラムを実現。背面パネルが金属で質感が良く、指紋認証センサーも搭載。約1300万画素カメラの画質も良好だ。薄型軽量モデルを求めるビジネスユーザーにうってつけの製品といえる。
ココが○
- 鮮やかなフルHDの有機ELを採用、動画やゲームが美しい
- 軽さ132グラム、薄さ約7.9ミリでスーツにも入れやすい
- 手頃なサイズかつ指紋認証センサーを搭載
ココが×
- 見た目と違ってフロントスピーカーはモノラル
- 充電時の最大電力が5V/1Aと小さく、フル充電に約3時間かかる
- NFCに非対応
arrows M02:防水とおサイフ対応、利用できる格安SIMが多い
防水・防じん、耐衝撃やおサイフケータイに対応した国内メーカー製のスマートフォン。ドコモやY!mobileの回線を利用する格安SIMに加えて、au回線を利用するmineoやUQmobileの格安SIMにも対応。さらに、高音質なVoLTE通話も利用できる。
価格は3万円台前後と手頃だが、プロセッサはQualcomm製Snapdragon 410 MSM8916(1.2GHz/4コア)なので処理性能はあまり期待できない。ローエンドの高機能モデルといった方がいいだろう。だが、簡易留守電やアドレス帳登録でのふりがな自動入力など、海外メーカー製にはない国内メーカーならではの使い勝手の良さがある。通話やSNS、ブラウザー利用が中心なら多くの人にオススメしやすい端末だ。ホームUIは独特な操作性の「Leaf UI」と、Android標準に近い「NX!ホーム」の2種類を搭載する。
ココが○
- ドコモやY!mobile回線に加えて、au回線の格安SIMにも対応
- VoLTEの高音質通話と本体での伝言メモ(簡易留守電)に対応
- おサイフや防水対応のSIMロックフリー端末としては低価格
ココが×
- Micro USB端子がキャップ付きで充電しづらい
- カメラの露出が不安定で暗所撮影に弱い
- 富士通独自のホームUIが独特で操作に慣れが必要
AQUOS SH-M02:おサイフ、キャップレス防水、赤外線に対応
防水やおサイフケータイに対応した、国内メーカー製モデル。VoLTEの高音質通話も利用できる。簡易留守電話やアドレス帳など細かい部分は日本メーカー製らしく使いやすい。だが、プロセッサはQualcomm製Snapdragon 400 MSM8926(1.2GHz/4コア)と低スペック。ホームUIは独自の「Feel Home」と、ほぼAndroid標準の「Google Nowランチャー」の2種類を搭載する。
本体価格は量販店だと4万円台後半とかなり高額だが、楽天モバイル「SH-RM02(写真はSH-RM02)」や、NTTコムストアの「gooのスマホ g04」など、MVNO事業者の限定カラーモデルなら3万円台後半で購入できる。同じ国内メーカー製のarrows M02との違いは、カメラが約1300万画素で画質が良くキャップレス防水だが、au回線のSIMには非対応といったところだ。
ココが○
- キャップレス防水なので、水場で利用でき充電もラク
- VoLTEの高音質通話や本体での簡易留守電に対応
- 赤外線通信に対応、ケータイともデータを交換しやすい
ココが×
- 3万円台後半の製品としては処理性能が低い
- シャープ独自のホームUIが独特で操作に慣れが必要
- インカメラが本体下部にあり、画角も狭く使いづらい
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