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NTTドコモが非接触電子マネー「iD」をSIMフリー端末に開放――コンテンツもMVNOにオープン化し、新たなユーザー獲得に躍起石川温のスマホ業界新聞

NTTドコモが、SIMロックフリーのおサイフケータイ対応スマホに「iD」を開放した。既にコンテンツサービスの一部もキャリアフリー化しているドコモは、「オープン化」で新たな収益源を確保しようとしている。

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「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモは4月12日より、非接触の電子マネーサービス「iD」をFeliCa対応のSIMフリースマートフォンでも使えるようにするという。

 これにより、ソニーモバイルの「Xperia J1 Compact」やシャープ「AQUOS SH-M02シリーズ」、富士通「arrows M02シリーズ」でiDが使えるようになるという。MVNOからの要望もあり、NTTドコモではiDのオープン化に踏み切ったようだ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年4月9日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。


 ただし、KDDIやソフトバンク、ワイモバイルなどの他キャリアのスマホでは利用できないようだ。MVNOたちが前のめりでiDに対応したがっているのに対し、他キャリア陣営は「興味なし」といったところなのだろう。

 ここ最近、NTTドコモは自社サービスのオープン化に積極的な感がある。今回のiDだけでなく、IIJやBIGLOBEが「dマーケット(dTV、dヒッツ、dマガジン)」の販売連携を始めたばかりだ。

 BIGLOBE経由での申し込みでも、dアカウントが必要で、支払いもBIGLOBE SIMとは別にクレジットカードでのNTTドコモから請求される。従来のキャリアフリーで提供されているサービスとあまり代わり映えはしないが、MVNOに向けて積極的にサービスを提供していると言う点では目を見張るものがあるだろう。

 NTTドコモとしては、仮にユーザーがMVNOに流れたとしても、コンテンツや決済サービスを継続して使ってもらうことで、少しでも稼いでいこうという潔さが出てきたのかも知れない。

 もちろん、MVNOにユーザーが流出しないことが理想だが、この流れは止められそうにもない。それならば、コンテンツやサービスを積極的に開放することで、かつてのドコモユーザーだけでなく、他キャリアユーザーなど、新たな収益源を確保しようとしているようだ。

 特にコンテンツにおいては、昨年、音楽の定額配信サービスが注目を浴びる中、国内勢で期待されていたLINEやAWAは「大コケしてしまい、音楽業界関係者が青ざめている」(関係者)というほどだ。そんななか、dヒッツは嵐の新曲を独占で配信。また、映像配信サービスの「dTV」も、ソフトバンクがUULAから撤退したことで、エイベックスとの関係が強固になろうとしてる。

 「dマガジン」においても、出版不況で休刊が相次ぐ雑誌業界の救世主的な存在となっている。紙での発行を諦めた雑誌が、dマガジンの収入を頼りに続々と電子化のみの発行に切り替えつつあるのだ。

 KDDIやソフトバンクのコンテンツサービスは、いずれも「自社ユーザーのみ」もしくは「自社ユーザーを優遇」として、差別化要素にしているが、NTTドコモに関しては積極的にオープン化するなど、王者の貫禄を感じる。

 今後も、「NTTドコモは様々なものをオープン化していく」(MVNO関係者)と見られているだけに、SIMフリー市場にも大きな影響を与えそうだ。

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