総務省は4月5日、NTTドコモとソフトバンクに対し、スマートフォンの実質0円販売を見直すよう要請した。
ドコモは複数台の購入でスマホが数百円となるような割引を行ったことから、スマホ販売の適正化を求めるガイドラインの趣旨に沿わないとし、同省はこれをやめるように求めた。
ドコモは「総務省から要請を受けたことについて、ドコモとして真摯に受け止めている。要請の内容を踏まえ、今後の対応について検討していく」とコメントを発表した。
またソフトバンクは多くの機種で端末価格以上の行き過ぎた割引があり、こちらも速やかに対応するよう要請。その結果を書面で報告するように求めた。ソフトバンクは要請に従うと同時に、
「トップシェアである競合事業者の機種変更時のスマートフォン価格と解除料等を踏まえると、当該価格と当社が設定するMNP時におけるスマートフォン価格との間に相応の価格差がない限り、市場における競争を減殺させ、消費者に不利益を生じさせるおそれが高いとの判断を行っています」
「当社のMNP利用者向けの割引は、端末購入を条件としていません。従って、競合事業者が提供するデータ量のシェアプラン等と同様な通信料金割引の一種であり、端末購入補助とは本質的には性質が異なるものであるという認識のもと、設定を行っています」
という同社の考えを発表した。
番号ポータビリティ(MNP)利用者向けにスマホの端末価格を実質0円、あるいはそれ以上にする割引は、キャリアを乗り換えない既存契約者の通信料金が原資となっているといわれる。そのため、MNP利用者とそれ以外で料金に不公平が生じ、また通信料金の高止まりの原因でもあるとして、総務省は大手キャリアに対してこれをやめるよう求めている。
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