韓国でも「プリペイドでLTE」が可能、香港事業者のSIMを試す――海外プリペイドSIM導入マニュアル:現地のプリペイドはなぜか3Gのみ(2/2 ページ)
LTEのカバー率が高い韓国だが、プリペイドSIMは3Gしか利用できない。しかし、香港で販売されているローミング対応のプリペイドSIMなら、現地でLTEを利用できる。
入れるだけで即利用可能 SmarToneの韓国SIMでLTEを試す
今回はSmarToneのプリペイドSIMを韓国で使ってみることにした。韓国2社のプリペイドSIMはどちらも購入後にパスポート写真を撮影して送るなどのユーザー登録作業が必要だ。ところが香港各社のプリペイドSIMは、登録をする必要は一切なくスマートフォンに入れれば即座に使い始めることができる。なお電波をなかなか拾わない場合は、設定からネットワークを手動で選ぶといいだろう。
韓国で利用する回線はSK Telecom。APNの設定は以下の通り。電波をつかむと最初は3Gにしか接続できないが、電源を何度かオン/オフすれば4Gに切り替わる。またこのSIMは香港事業者のSIMなので、スマートフォンのローミング設定をオンにする必要がある。
- APN:smartone
- ユーザー名:なし
- パスワード:なし
早速ソウル市内で速度を試すと下りは20Mbps前後、上りは10Mbps前後だった。3つの帯域を使ったキャリアアグリゲーション(3CCA)も行っている韓国だけに100Gbps以上がでることを期待したものの、海外SIMでの接続であることを考えると十分だろうか。回線状況のよいエリアならより速い速度も期待できるだろう。3G回線では数Mpbs程度しか出ないことを考えればLTEでの接続はかなり快適だ。YouTubeなどの動画サービスの利用も問題ない。
またテザリングにも対応しているので、同行している友人たちと回線をシェアして使うことも可能だ。ホテルのネットの速度がやや悪い場合などに、PCやタブレットをテザリング接続して使うこともできる。一方、Flickrアプリでは写真の自動アップロードが進まないなど、バックアップ用途などの通信は利用が制限されているようだ。このあたりはWebブラウジングなど一般的な用途なら問題はないだろう。
5日間データ定額とはいえ、完全に使い放題なのかどうかも気になるところ。例えばHutchison香港のローミング用プリペイドSIMは定額をうたいながらも、実際は1GBを超えると速度規制がかかる。このSmarToneのSIMは1GBまで使ってみたが速度が落ちることはなかった。2GBや5GBなどより多くのデータを使った場合は速度規制がかかる可能性もあるかもしれないが、そのあたりは節度ある使い方をすれば大丈夫だろうか。
あとはこのプリペイドSIMが日本でも簡単に買えるようになれば便利なのだが、現時点では香港外からの入手は海外通販などを使うしか方法がない。香港ではMVNO事業者のChina Unicom Hong Kong(中国聯通香港)がオンラインサイトでプリペイドSIMを販売、日本への発送も行ってくれる。香港に限らず、各国の事業者の使いやすいローミングプリペイドSIMが、日本からでも購入できるようになってほしいものだ。
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