UQ mobileが夕方に1勝返すも本家が強い――「格安SIM」2サービスの実効速度を比較(au回線5月編):通信速度定点観測(1/2 ページ)
格安SIMを選ぶうえで料金と並んで重要な「通信速度」。本企画では主要な格安SIMサービスの通信速度を月に1回、横並びで比較する。5月のau回線を使ったサービスの測定結果を紹介しよう。
MVNOが提供している「格安SIM」を選ぶうえで、料金はもちろんだが、「通信速度」も重要な決め手になる。料金は各社のWebサイトやカタログに表示されていて比較しやすいが、通信速度は各社一律「下り最大150Mbps」「下り最大225Mbps」などと表記されており、実際のところどれだけの速度が出るのかが分からない。
そこで、本企画では各社が提供している格安SIMの“実効速度”を毎月調査し、その結果を横並びで紹介している。前回は2016年5月編のドコモ系MVNOの通信速度をレポートしたが、今回はau系MVNOだ。本企画がMVNOサービスを選択する際の一助になると幸いだ。
通信速度の調査方法
今回、テストを行ったのは以下のau回線を使った3サービス。
- UQ mobile
- mineo
- au(LTE NET)
いずれも下り最大150MbpsのLTEサービスに対応したものを使っている。このうちauのLTE NETはMVNOではなく、auのスマホに通常提供されているインターネット接続サービス。いわば“本家”の通信速度となる。LTE NETは、一部のau端末では下り最大225Mbpsの通信が可能だが、今回使用しているURBANO L03は下り最大150Mbpsまでの対応となる。また、mineoとUQ mobileはau VoLTE非対応のSIMを使っている。
調査条件は以下の通り。
- 計測端末:URBANO L03
- 計測アプリ:RBB TODAY SPEEDTEST
- 計測時間帯:平日午前(8時50分〜)、午後(12時20分〜)、夕方(18時〜)の3時間帯。
- 計測場所:JR横浜駅西口(午前、午後、夕方)、東京都港区のアイティメディア社内(午後のみ)
- 計測回数:各時間帯・場所で1サービス、上下3回ずつ(平均値を掲載)
通信測定のエラー、明らかにありえない速度(理論値超え)が表示された場合は再測定とした。本企画で紹介する通信速度は、時間帯や場所によって大きく変化するので、記事で紹介されている数値を100%うのみにせず、あくまで参考値としてご覧いただきたい。
au回線の測定は1台のURBANO L03を使って順番に行ったため、測定時間は分単位では異なる。測定時はドコモのMVNOを含めた3台同時になり、やや各SIMの測定間隔は広がっている。というわけで、全てのサービスを同時に測定したわけではないことをご理解いただきたい。
午前は本家「LTE NET」「UQ mobile」が順当な結果 「mineo」はイマイチ?
今回の測定は5月25日(水)と31日(火)にJR横浜駅西口前、5月26日(木)に東京都港区のアイティメディア社内で行った。まずは横浜駅での午前中の測定結果をお伝えする。
これまでの午前中の測定では、ネットワークが他の時間帯より空いているようで、ドコモ、auともに通信速度は高速になりやすい。さらにauの場合、ドコモ回線のMVNOよりユーザーが少なく、その数も少ないためか、大変良い結果が出やすい。
5月の測定でも、au本家のLTE NETが下り平均で62Mbpsを超えた。MVNOでは、UQ mobileが57.92Mbpsと上々だ。しかし、4月の午前中に65Mbpsで1位を獲得したmineoは下り平均19.15Mbpsと大幅に速度が低下した。とはいえ、ドコモ回線のMVNOと比べれば、トップクラスの測定値ではある。もちろん、実用上は何ら問題はないだろう。
上りの測定値では、平均6.53MbpsのUQ mobileの勝ち。一方、mineoは3.4Mbpsでワーストとなった。au本家は4.53Mbpsだったが、4月が5.11Mbpsだったことを考えると大して変わらないが、わずかに遅くなっている。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 9:07 | 57.92 | 6.53 |
mineo | 9:01 | 19.15 | 3.4 |
au(LTE NET) | 8:57 | 62.86 | 4.53 |
au系もランチタイムは本家が強い! 「UQ mobile」は4月と同じ数値だが……?
ドコモ編でもお伝えしたが、横浜駅前の12時20分からの測定は31日に行っている。ランチタイムということもあり、ドコモ系MVNOはかなり速度低下が見られた。au系MVNOも、何らかの影響を受けるのは避けがたいはず……。
まず下りの通信速度は、本家のau(LTE NET)が平均46Mbps台でトップ。4月は51Mbpsなので速度は落ちているものの、実用上は特に問題はないだろう。
しかし、UQ mobileは平均1.82Mbps。結果そのものは4月と同じではあるが、午前中と比べると相当な速度低下だ。mineoはさらにつらく平均0.41Mbpsで、ドコモ系MVNOと同じようにランチタイムに苦しんでいる。
なお、上りの平均通信速度は3サービスとも5Mbps弱でほとんど変わらない。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 12:26 | 1.82 | 4.75 |
mineo | 12:32 | 0.41 | 4.95 |
au(LTE NET) | 12:21 | 46.64 | 4.79 |
夕方は「UQ mobile」が下りでトップ 「mineo」はやや悪化
ランチタイムと同様に、夕方も通信速度は遅くなりやすい。
5月の結果は、トップが下り平均37.17MbpsのUQ mobile。本家のLTE NETも25Mbps台と、実用上は十分な測定値となった。UQ mobileとLTE NETの速度は、ドコモ本家やドコモ系MVNOよりも良好だ。
しかし、mineoは平均1.88Mbpsと伸び悩んだ。いや、4月は2.67Mbpsだったのでむしろ悪化している。もっとも、ドコモ系MVNOでは1Mbps未満が続出しているので、まだマシともいえるだろう。
上りの通信速度は4月と似た傾向が続き、どのサービスも平均3Mbps前後となった。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 18:12 | 37.17 | 3.29 |
mineo | 18:06 | 1.88 | 2.91 |
au(LTE NET) | 18:02 | 25.61 | 3.77 |
関連キーワード
UQ mobile | LTE(Long Term Evolution) | MVNO | UQ mobile | mineo | 格安SIMカード | URBANO L03 | 通信速度定点観測
関連記事
- au本家強し、それでもmineoが下り65Mbpsで1勝――「格安SIM」2サービスの実効速度を比較(au回線4月編)
格安SIMを選ぶうえで料金と並んで重要な「通信速度」。本企画では主要な格安SIMサービスの通信速度を月に1回、横並びで比較する。4月のau回線を使ったサービスの測定結果を紹介しよう。 - 昼はつらいが、朝夕にUQ mobileが本家に2勝――「格安SIM」2サービスの実効速度を比較(au回線3月編)
格安SIMを選ぶうえで料金と並んで重要な「通信速度」。本企画では主要な格安SIMサービスの通信速度を月に1回、横並びで比較する。3月のau回線を使ったサービスの測定結果を紹介しよう。 - 午前中の速度が改善、UQ mobileが一矢報いる――「格安SIM」2サービスの実効速度を比較(au回線2月編)
格安SIMを選ぶうえで料金と並んで重要な「通信速度」。本企画では主要な格安SIMサービスの通信速度を月に1回、横並びで比較する。2月のau回線を使ったサービスの測定結果を紹介しよう。 - 鬼門はやはり「12時台」、特にmineoが不調――「格安SIM」2サービスの実効速度を比較(au回線1月編)
格安SIMを選ぶうえで料金と並んで重要な「通信速度」。本企画では主要な格安SIMサービスの通信速度を月に1回、横並びで比較する。1月のau回線を使ったサービスの測定結果を紹介しよう。 - 昼はMVNOが苦戦するも、UQ mobileが夕方に好調――「格安SIM」2サービスの実効速度を比較(au回線12月編)
格安SIMを選ぶうえで料金と並んで重要な「通信速度」。本企画では主要な格安SIMサービスの通信速度を月に1回、横並びで比較する。前回のドコモ回線に続き、今回はauの回線を使ったサービスの測定結果を紹介しよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.