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NTTドコモがMVNOに394円のSIM発行手数料を徴収――ビジネスモデルの変更を余儀なくされる格安スマホ会社たち石川温のスマホ業界新聞

日本のMVNOのSIMカードは、大手キャリアからの貸与品だ。NTTドコモが8月からSIMカードの貸与に関するルールを変更することになり、さっそく一部のMVNOサービスに影響が出始めた。

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「石川温のスマホ業界新聞」

 7月20日、ソニーネッワークコミュニケーションズが提供するMVNOサービス「0SIM」が8月から0のつく日のみしか申し込めなくなることが明らかになった。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年7月23日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 0SIMは月間通信量500MB未満なら無料で使え、以後、100MBごとに100円(税抜)が課金される仕組みが魅力だ。普段、家に置いておくようなタブレットにさしておき、旅行や出張などの外出時だけに使うという用途に向くサービスと言える。それが8月、9月とも10日、20日、30日しか申し込めなくなってしまう。同社では「仕入条件の変更や原材料の高騰などの環境悪化を受けた」と説明している。

 一方、U-NEXTは、U-Mobileのサービスにおいて、8月から「SIM発行手数料」として、394円が必要になると明らかにした。

 どうやら、NTTドコモの約款が8月から一部変更となり、MVNOに対して、SIM発行の手数料を394円徴収するようになった影響を受けたものと思われる。

 ほとんどのMVNOはNTTドコモからネットワークを借りて商売をしている人たちだ。自前での投資は不要でリスクも少ないため、参入障壁が低く、いまでは200社近い事業者が格安スマホ的なサービスを展開している。しかし、NTTドコモが貸し出しの条件を変えてくれば、すべて受け入れなくてはサービスを継続できない。また、格安スマホでは料金競争が激しく、ほとんど儲けがないとも言われている。そんななか、NTTドコモが新たな手数料を設定してくれば、ソネットのように受付を制限するとか、ユーザーに手数料を直接負担してもらうといったことをせざるをえなくなってくる。

 5月からNTTドコモの禁止行為規制が解かれたことで、これまで公平に扱っていたMVNOに対して、条件の差が出てくることが予想される。

 NTTドコモにとってMVNOは「営業費用の負担がなくて、顧客を集めてくれるパートナー」であるとともに、結果的に「既存の顧客が辞め、収益が下がる厄介な存在」でもある。ワイモバイルなどの台頭により、NTTドコモにとってはMVNOに頑張ってもらいたい反面、そのなかでも優劣をつけてくる恐れがある。

 盛り上がりを見せているMVNOではあるが、NTTドコモのさじ加減一つでビジネスモデル変更を余儀なくされる難しい立場にいると言えそうだ。

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