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「登録修理業者」認定までに1機種100万円以上、それでもゲオが“iPhoneの修理”を始める理由

ゲオが10月27日に29拠点でiPhoneの修理サービスを開始。対象機種が「iPhone 6」のみなのは、総務省の登録修理業者として認定されるためには、1機種につき100万円以上のコストが掛かるから。それでもゲオが修理サービスを始める理由とは?

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 ゲオが10月27日に、全国のゲオショップ、ゲオモバイル、流通センターの29拠点で、iPhoneの修理サービスを開始した。修理の対象となるのは「iPhone 6」。

 修理代金(税別)の目安は以下の通り。

  • フロントパネル修理……1万2000円
  • バッテリー修理……7500円
  • アウトカメラ修理……7800円
  • アウトカメラカバーレンズ修理……6800円
  • インカメラ修理……7800円
  • ボタン修理……7800円〜
  • 音声パーツ修理……7800円
  • 水没修理……2万3000円〜

 今回はゲオモバイルアキバ店にて、実際にiPhone 6を修理している様子を見学してきた。アキバ店では1階に修理受付カウンターが設置されており、その場で修理をしてもらえる。修理が完了する時間の目安はフロントパネル(画面割れ)修理が60分〜、バッテリー交換が30分〜、各種パーツ交換が30分〜、水没修理が180分〜となっている。

ゲオ、iPhone修理
iPhone修理のカウンター。その場で修理をしている様子を見られる
ゲオ、iPhone修理
ゲオモバイルアキバ店

 携帯電話を分解すると、電波の性能が電波法で規定されている技術基準(いわゆる“技適”)を満たさなくなる恐れがあるため、総務省が定める「登録修理業者制度」に基づき、総務大臣から登録修理業者として認定を受ける必要がある。認定されていない業者に修理をしてもらうと、電波法違反になる可能性があるが、ゲオは登録修理事業者として認定されており、正規に修理を受けられる。

ゲオ、iPhone修理
総務大臣からの認定通知書

 総務大臣から認定を受けるには、端末ごとに外部の業者に依頼して、修理前後で電波の出力に変化がないかを検査してもらう必要がある。ゲオ モバイル運営部 モバイル企画課 マネージャーの富田浩計氏氏によると、現在日本では電波の検査をできる業者が18社あり、その中から依頼をしていく。

 検査費用は業者によってまちまちだが、1機種あたりだいたい110数万円かかるという。同じiPhoneなら「6」「6s」「5s」も1回の検査で済ませてほしいところだが、機種によって内部の構造が異なるため、都度、検査が必要になる。対応機種がiPhone 6のみなのは、コストの問題が大きいわけだ。

 検査によって電波の出力が「問題なし」と判定されたら、「技術基準適合書」を取得して、総務省に提出をする。総務大臣から認定を受けたら、以後は、検査時と同じ手順であれば“正規の修理”と見なされる。ゲオでは修理の手順書を作成し、使用する工具も統一。修理担当者は1店舗につき2人を採用し、手順に応じた研修を行っている。今回の修理サービス開始にあたって50人が応募したが、不合格となった人はいなかったそうで、手順書をマスターすれば、専門的な知識や技能がなくても担当できるようだ。

ゲオ、iPhone修理
専用の工具を使って修理。バッテリーは全く同じものではないが、PSE(電気用品安全法)に適合した、互換性のある製品を調達しているという
ゲオ、iPhone修理
修理完了
ゲオ、iPhone修理
使用する工具
ゲオ、iPhone修理
このバッジを付けたスタッフが修理を担当する

 ちなみに登録修理業者でも「基板とアンテナをいじることはできない」(富田氏)ため、例えば端末が発火して基板やアンテナが損傷してしまった……というケースでは修理は受け付けない。

 修理費や人件費などのコストを掛けてまで、ゲオはなぜ、iPhoneの修理サービスを開始したのか? 富田氏は「電車の中などを見ると、壊れたスマートフォンをお使いの方が多いですが、修理拠点が少ないのが現状です。また実質0円が禁止され、1つの機種を長く使う傾向があります(→故障リスクが上がる)」と説明する。特に日本ではiPhoneのユーザーが多く、修理市場はさらに拡大すると判断した。

 対応機種にiPhone 6を選んだのは、発売から2年がたったこともあり、現役で使われている機種の中では最も修理需要が高いと判断したため。購入から1年がたつと無償のメーカー修理が受けられず、「Apple Care+」などの有償の保証サービスに加入せずに依頼をすると、高額な修理代金が発生する。

 例えばAppleが案内しているApple Care+非加入時のiPhone 6の修理費(税別)は、画面のみなら1万2800円だが、画面とその他の損傷は3万円となっている。しかしゲオならフロントパネル+他のパーツを含めても、約2万円で済む。

※初出時に、バッテリー交換について誤った記述がありましたので、削除しました。おわび申し上げます(10/28 9:47)。

 ゲオによると、登録修理業者に認定された業者は同社が7社目となるが、店舗で修理を行う拠点数は日本最大だという。さらに、修理対象の機種は増やしていく予定で、「iPhone 5sなど、2016年内に2〜3機種を追加する」(富田氏)とのこと。Androidについては、機種数が多く、1機種あたりのユーザー数がiPhoneに及ばないため、現在のところ修理対象への追加は予定していない。修理拠点は2017年9月期までに100まで増やす計画だ。

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