NTTコム、国内MVNO初の「eSIM」実証実験を日本・香港で開始
NTTコミュニケーションズは、国内MVNOとして初となる「eSIM」の実証実験を開始。香港のモバイル通信基盤上に契約情報を遠隔から書き換えられる環境を構築し、IoTやコンシューマー向けの利用を想定して行う。
NTTコミュニケーションズは、7月24日に国内MVNOとして初となる「eSIM」の実証実験開始について発表した。
eSIMでは、SIMカードを挿し替えることなく遠隔から最適なキャリア、電話番号、契約内容といった通信プロファイルを設定可能。これにより海外での通信コスト最適化や国や地域、用途によらない仕様の共通化、ローミングが禁止されている場合でも現地通信事業者と契約するといったメリットが期待できる。
今回の実験では同社が香港で提供しているモバイル通信基盤をベースに、SIMカードの通信プロファイルを遠隔から書き換えられる環境を構築。端末は日本および香港にあるeSIMを挿入したものを用いる。この環境はモバイル業界の業界団体「GSMA」に準拠した「M2Mモデル」と「コンシューマーモデル」の両モデルに対応し、約40カ国・地域で通信が可能となっている。
M2Mモデルでは、SIMを管理するサブスクリプションマネージャから通信プロファイルの書き換えを指示。無線通信を使って遠隔で通信プロファイルをダウンロードさせるほか、通信プロファイルの切り替え、無効化、有効化、削除といったオペレーションを実行する。グローバルで利用するIoT機器にeSIMを組み込み、海外出荷後に遠隔で通信を有効化、さらに運用中に通信プロファイルを切り替えることなどを想定して行う。
コンシューマーモデルはeSIMを組み込んだデバイスから通信キャリア・プランを選択し、通信プロファイルをダウンロードして通信を有効化するオペレーションを検証。スマートウォッチやモバイルPCなどのデバイスにeSIMを組み込み、エンドユーザーが任意のタイミングで利用を開始することを想定したプロセスの確認を行う。
併せてSIMを挿すだけでセキュアな通信を実現する技術など、eSIMと組み合わせられる埋め込み技術を有するパートナーとの共同実験も実施していく。
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