iPhoneを振り返る:LTEに対応した「iPhone 5」 ディスプレイは縦長の4型に
「iPhone 5」は、2012年9月12日に発表され、9月21日に発売された。ディスプレイは「iPhone 4S」の3.5型から4型へと大型化。LTEに対応したことも話題を集めた。
iPhoneの6代目となる「iPhone 5」は、2012年9月12日(現地時間)、Appleが米国サンフランシスコで開催したイベントで発表され、9月21日に発売された。日本ではソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)とKDDIから販売された。サイズや重さは同じだがサポートする通信規格によって3つのモデルが用意され、ソフトバンクはGSMモデルA1429、auはCDMAモデルA1429だった。
大画面スマホが主流になったトレンドに合わせて、5代目の「iPhone 4S」まで続けてきた3.5型ディスプレイが4型に大きくなり、アイコンが1段増えた。画面が大きくなったものの、横幅はそのままで持ちやすさは維持。タッチパネルがディスプレイに組み込まれたインセル型となり、厚さはiPhone 4Sから1.7mm薄くなって約7.6mmに、重さは28gも軽くなった。Dockコネクターが裏表どちら向きでも挿入できるLightning端子に代わり、従来モデルでは上面にあった3.5mmのイヤフォンジャックが下面に移動。SIMカードはより小さなnanoSIMカードになった。
本体デザインは一新され、背面にMacBookなどと同じ酸化皮膜処理を施したアルミニウム6000を採用した。上下部分の材質が異なるツートーンカラーとなり、カラーはブラック&スレートとホワイト&シルバーという名称の2色をラインアップ。それぞれ容量が16GB、32GB、64GBの3種類から選べた。なお、付属のイヤフォンマイクも新デザインの「EarPods」に変更された。
iPhone 5はLTEに対応した点もポイントだ。日本ではiPhone 5の発売日にauとソフトバンクがLTEのデータ通信サービスを開始した。また、auは発売当初からテザリング(インターネット共有)に対応する一方、ソフトバンクが対応したのは12月。両社のLTE Bandやエリア、速度なども含めてLTEネットワークの充実度が注目され、各メディアが両社を比較した。
カメラはiPhone 4Sと同じ800万画素裏面照射型CMOSを採用したが、ボディーの薄型化に合わせてカメラモジュールも薄型化。パノラマ撮影機能が標準搭載され、iPhone 5を縦に持って水平に動かすことでパノラマ写真を撮れるようになった。インカメラは120万画素相当に高画素化し、動画は720p(720×1280ピクセル)で撮影可能に。インカメラの撮像素子も裏面照射型CMOSになった。
OSはiOS 6.0を搭載。iOS 5.0で連携したTwitterに加え、FacebookともOSレベルで連携することになり、写真の投稿などが簡単にできるようになった。また、電話機能が強化され、着信があっても電話に出られない場合に、テキストメッセージで返信する機能や、後でリマインドする機能が用意された。「FaceTime」は、それまでWi-Fi環境下でしか利用できなかったが、iOS 6ではモバイルデータ通信でも利用可能に。さらに、電話やメールの着信を完全にサイレントにする「おやすみモード」が新たに加わった。
さまざまな機能が追加される中、なくなる機能もあった。まず、Googleとのライセンス契約が終了したことから、YouTubeアプリが内蔵アプリから外れた。また、それまで地図はGoogle Mapsが使われていたが、iOS 6.0からAppleが自社開発したマップアプリを提供するようになった。ベクター形式で描画される地図は拡大縮小がスムーズだが、iPhone 5発売当初は地図データが古かったり不具合が指摘されたりすることが多く、存在しない「パチンコガンダム駅」なるものが表示されたこともあった。もちろん、その後のアップデートでデータは修正されている。
「iPhone 5」の主な仕様
- 発表日(日本時間):2012年9月13日
- 発売日:2012年9月21日
- キャリア:ソフトバンク、au
- 容量:16GB、32GB、64GB
- サイズ:約58.6(幅)×123.8(高さ)×7.6(厚さ)mm
- 重量:約112g
- ディスプレイ:4型(640×1136ピクセル)液晶
- プロセッサ:A6
- アウトカメラ:有効約800万画素CMOS
- インカメラ:有効約120万画素CMOS
- ネットワーク:LTE、3G
- ボディーカラー:ブラック&スレート、ホワイト&シルバー
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