「iPhone X」対抗の全画面モデルも登場? AIスマホの先にあるものは? Huaweiに聞く(2/2 ページ)
IFAで世界初となるAI対応チップを発表したHuawei。スマートフォンにAIが搭載されたその先に、同社はどんな未来を描くのか。ハンドセット部門ナンバー2のLi Changzhu氏を中国・深セン本社で取材した。
全面ディスプレイやAIへの取り組み
―― デュアルレンズ同様、最近のトレンドとして、全面をディスプレイとするフレームレスな端末も登場しています。この流れをどう見ていますか?
Li氏 確かにフレームレスは、今の大きなトレンドになっていますね。18:9というアスペクト比は今後、スマートフォンの主流になっていくでしょう。実は弊社でもフレームレスなデバイスを導入する予定なのですが、その際に直面するのが、ロック解除をどうするかという問題です。Appleは指紋認証をなくして顔認証を搭載するという方法をとっていますが、弊社でもこの点についてはいろいろな方法を考えています。また画面が縦長になると、UIのデザインもこれに合わせて変える必要があります。
―― 10月16日に、AIを搭載した新しいプロセッサ「Kirin 970」を搭載した新機種が発表されます。このAIの技術は今後、Huaweiのスマートフォンにとって大きな差別化のポイントになるのでしょうか?
Li氏 そう思います。 Kirin 970は人間の脳の神経回路を模した高度な計算能力を持つ、NPU(Neural-network Processing Unit)に対応した世界初のチップセットです。今後弊社の端末のユーザーには、このプロセッサを使ったAIによってもたらせる、新しいユーザー体験を享受いただけます。
クラウドではなくスマートフォンの中でAIの技術が使えればセキュリティ面でも安心ですし、懸念されるバッテリーの消費も、従来のGPU(Graphics Processing Unit)を使った処理に比べれば大幅に抑えられています。実はすでにわれわれの独自UIであるエモーションUIには、一部にAIの技術が用いられているのですが、今後はアプリの開発者にも情報を公開して、さらなるユーザー体験の向上を目指していきます。
スマホ以外のデバイスは?
―― スマートスピーカーやMRなど、今後スマートフォン以外のデバイスにも取り組む計画はあるのでしょうか?
Li氏 今、これまでスマートフォンに集約されていた機能が分解されて、いろいろなデバイスに移植され、それぞれに発展を始めています。例えばスマートスピーカーでコミュニケーションができるようになったり、運動や健康管理の機能はスマートウォッチやリストバンド集約されたり、デバイスがどんどん専門化している。弊社でももちろん、こうした流れには注目しています。
例えば先日、Appleが(単体で)通話できるウォッチ(Apple Watch Series 3)を発表しましたが、弊社でもすでにSIMの入るウォッチを発売していますし、他にもさまざまな新しい製品の開発に取り組んでいます。ただこれらのスマートデバイスが、今後全て成功するかとういうとそうとは限りません。
そこに良いユーザー体験が伴わなければ、いくらハードウェアを作っても発展はないからです。例えば音声でやりとりできるのは確かに便利ですが、場合によっては耳で聞くより目で見た方が、一度により多くの情報が得られることもあります。この分野で先行するAmazonの人気スマートスピーカーに今年、タッチパネル付きのモデルが追加したことが、何よりもそのことを物語っていると思います。
このような新しいデバイスが続々登場する一方で、スマートフォンの重要性も今後ますます高まってくるでしょう。スマートデバイスを使用シーンに合わせていかに連携するか考える上で、スマートフォンがその間をつなぐ役割を担うことになるからです。その際、スマートフォンにAIが搭載されていれば、イントラクションセンターとして、より高い能力を持てます。デバイスとアプリケーション、スマートフォンのAIが効率的に連携することで、より良いユーザー体験を実現できると考えています。
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