タップして話すだけでOK 63言語に対応した翻訳デバイス「ポケトーク」 SIM付きで2万9800円
ソースネクストが、翻訳専用デバイス「ポケトーク」を12月14日に発売する。端末に向かって話しかけるだけで、音声とテキストで翻訳してくれる。翻訳にはインターネット通信を利用し、ソラコムのSIMカードを採用した。
ソースネクストは10月23日、翻訳デバイス「ポケトーク(POCKETALK)」を発表。12月14日に発売する。
キーをタップして端末に向かって話しかけるだけで、音声とテキストで翻訳してくれる。10月23日時点で、音声またはテキストで翻訳できるのは63言語で、対応言語は今後も拡大していく予定。カラーはホワイトとブラックの2色。
ソラコムのSIMカードを使用
翻訳はモバイルまたはWi-Fiでの通信を介して行う。ポケトークは3G通信機能を内蔵しており、モバイル通信には「ソラコム」のグローバルSIMを採用。このSIMでは、1枚で各国キャリアのローミングを利用でき、海外へ行ってもSIMカードを抜き差しせずに世界61カ国で通信ができる。
パートナーにソラコムを選んだ理由について、執行役員の川竹一氏は「価格面(の安さ)に加え、API設定がそろっているなどの使いやすさ、リードタイムが短く契約が早く進められそう……など、総合的に判断した」と説明する。
購入する際は、ソラコムのSIMカード付き/なしを選択できる。SIM付きの価格は2万9800円(税別、以下同)で、購入後、2年間は月額料金なしで翻訳が使い放題となる。2年後の料金は未定だが、別途チャージをすることで継続利用できるようにする。ソラコムのSIMカードは1万円で単体でも販売するが、チャージ料金はこの額よりは安くなる見込み。
SIMなしの価格は2万4800円で、Wi-Fiを運用して使う形となる。ポケトーク自体にはSIMロックは掛けられておらず、他社のSIMカードも仕様上は利用できるが、動作は保証しない。3Gは850MHz、1900MHz、2100MHzに対応し、日本では2100MHz(ドコモ回線)を利用する。もちろん技適も取得している。
ポケトークの使い方
日本語から他の言語に翻訳する際は左キー、和訳をする際は右キーを押してから話しかける。翻訳結果は画面にテキストで表示し、スピーカーから音声でも返してくれる。翻訳は簡単なフレーズはもちろん、複数の文章からなる長文にも対応する。
翻訳には、Googleやバイドゥなどが提供している既存のサービスを使用。言語によって最適な(翻訳精度の高い)システムをクラウド上で選んで翻訳を行う。例えば中国の翻訳にはバイドゥ、英語の翻訳にはGoogleを活用するといった具合。なお、翻訳システムの判定は人力(ソースネクスト側)で行われるが、今後はAIを用いることも視野に入れている。
スマートフォンではなく専用機を使うメリット
スマートフォンでもアプリを使えば翻訳は可能だが、各国の通信手段を確保して、アプリをインストールして、利用時にはアプリを起動する……など、利用までのステップが多い。ポケトークは端末に話しかけるだけで翻訳してくれるので、ITやモバイルに疎い人でも使いやすい。
現地の人に翻訳をしてもらう際にスマートフォンを渡すシーンもあるだろうが、その際に個人情報を見られたり盗まれたりするリスクがある。ポケトークならスマホを渡す必要もなくなるので、その点は安心だ。また、ポケトークには音量の大きなスピーカーを内蔵し、音声の聞き取りやすさにも注力した。
クラウド上で複数の翻訳システムを自動で選んでくれるのもポケトークならでは。翻訳の精度は、大手翻訳会社による第三者評価で、5点満点中4.24点を獲得したという。
ポケトークは、学習、旅行、ビジネスといった幅広いシーンで活用できそうだ。また、訪日外国人観光客と日本のスタッフがコミュニケーションできる手段としても期待される。ソースネクストの松田憲幸社長は、「ポケトークは非常にエキサイティングな製品。2020年までに50万台を販売し、言葉の壁を無くすミッションを遂行したい」と意気込みを語った。
基本スペック
端末はオランダのTravisと共同開発したもので、日本ではソースネクストが独占販売する。販路はソースネクストeSHOP、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどの量販店。法人向けのレンタルサービスも展開する。
サイズは60(幅)×110(高さ)×16(奥行き)mm、重量は90g。サイズ感はモバイルWi-Fiルーターそのものだが、ルーター機能は搭載していない。2000mAhのバッテリーを内蔵しており、連続待受は約5日間、連続翻訳は約6時間。OSはAndroidベースで、8GBのストレージと1GBのメインメモリを内蔵。プロセッサは1.3GHz駆動の8コア。
1.3型(320×320ピクセル)の液晶を搭載し、ディスプレイ下の十字キーと決定キーを使って操作する。キー操作はセンサーと押し込みの両方に対応している。
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