フルモデルチェンジを遂げた「iPad Air(第4世代)」を試す Proをしのぐ性能でコスパは十分:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
iPadの最新モデルとなる第4世代の「iPad Air」が発売された。本体からはホームボタンがなくなり、Touch IDはトップボタンに統合。プロセッサは、iPhone 12シリーズと共通の「A14 Bionic」を採用。まさにフルモデルチェンジを遂げたiPad Airだが、実際の使い勝手はどうか。
パフォーマンスはPro顔負け、iPad Airは2つのシリーズの隙間を埋める
ただし、パフォーマンスはPro顔負けだ。第3世代のiPad Airとは異なり、プロセッサは最新のiPhoneにそろえられており、動きは非常にスムーズ。4K動画の編集や、Lightroomを使っての写真の現像なども、ストレスなく行えた。A14 Bionicということは、iPhone 12シリーズ用に最適化されたゲームなども問題なく動く。3月に発売されたiPad Proは、A12 BionicをiPad向けにチューニングした「A12Z Bionic」を搭載していたが、A14 Bionicは、型番として2年分進化したことになる。そのため、処理能力は非常に高い。
上記は、iPad AirでGeekbench 5を使って取ったスコアになる。CPUはシングルコアスコアが1578、マルチコアスコアが4227で、GPUの性能を示すMetalスコアは1万2000を超えた。先にiPhone 12、12 Proをレビューした際にも、Geekbench 5でのスコアを掲載しているが、CPUのスコアはほぼ同じ。これに対し、GPUのスコアは目に見えてiPad Airの方が数値は高くなっている。差が出た理由は不明だが、同じ型番でも、iPad Air向けに何らかのカスタマイズが加えられているのかもしれない。
1ついえるのは、プロセッサのパフォーマンスは現行のiPad Proと同等か、それ以上だということ。シングルコアスコアはほぼ同じ、マルチコアスコアはiPad Proの方がやや数値が高いものの、GPUについては大きく上回っている。iPad Airは、無印とProに分けた場合、前者のカテゴリーに入るタブレットだが、性能面ではPro以上にプロ向けの部分がある。Airと言いつつも、パワーは重量級なのだ。
もちろん、Magic Keyboardを使えばPCのようにタイピングができるし、トラックパッドを使った操作にも対応する。Apple Pencilも第2世代に対応しており、ペアリングや充電はiPad Air本体の側面にあるポートにマグネットで装着するだけと簡単だ。ディスプレイのリフレッシュレートは120HzのiPad Proとは異なり、60Hzに抑えられているものの、少なくともApple Pencilの書き心地には大きな影響がないように感じられた。高速でスクロールさせると残像感に違いはあるが、使い勝手がガラッと変わってしまうわけではない。
こうした点を踏まえると、6万2800円(税別)からというiPad Airの価格は非常にリーズナブルだ。最小構成同士の比較だと、11型iPad Proより2万2000円も安く、手を出しやすい。筆者のように、第1世代の11型iPad Proを利用しているユーザーにとっての買い替え先にもなりそうだ。ただし、ストレージの容量構成がいただけない。最小構成は64GBで、1つ容量を上げると256GBになってしまい、価格が高くなる。中間の128GBがないのは残念だ。特にiPadの場合、写真や動画の加工を本格的にこなそうと思うと、64GBは容量不足になりがちだ。
LiDARやデュアルカメラを搭載したiPad Proは、確かにAR用のツールとしては魅力的だが、キーボードで文字を入力したり、Apple Pencilで絵を描いたりといったことが目的だと、少々オーバースペック。かと言って、無印のiPadやiPad miniでは物足りない……第4世代のiPad Airは、そんな相反するニーズを上手に満たしたタブレットだ。2つのシリーズを橋渡しする存在として、ロングセラーになりそうな予感もする。
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