au、ソフトバンクを追いかける「ドコモでんき」の勝算 “10%還元”がどこまで響くか:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
NTTドコモは、3月1日からコンシューマー向けの電気サービスとなる「ドコモでんき」を提供する。「ドコモでんき Green」では基本料金として500円がかかるが、最大10%のdポイントが還元される。auやソフトバンクが提供している電気サービスとは何が違うのか。
KDDIやソフトバンクはセット割も用意、ドコモは還元率で勝負
環境を強く打ち出したドコモでんきだが、三ケ尻氏が「お得で非常に分かりやすいプランを提供させていただき、後発ではあるが、先行している方々に追い付き追い越せでやっていきたい」と語るように、競合他社と比べたときの魅力は還元率の高さに集約されそうだ。特にGreenに関しては、条件限定ではあるものの、最大で電気料金の1割が還元される。
3キャリアの中で最も契約者数の多いauでんきの場合、クレジットカードの縛りはない一方で、還元率は最大で5%。5%になるのは電気料金が8000円を超えた月のみで、5000円から8000円未満は3%、5000円未満は1%と、料金に応じて還元率が変動する。ドコモでんきとの差は電気を多く使った月で5%、そうでない月は7%から9%になる。ただし、ドコモでんきのGreenでは、500円の基本料がかかる。同じ電力量を使ったと仮定すると、1万円でほぼ互角という計算になる。500円の基本料は定額のため、1万円以上使えば使っただけ、ドコモの方が還元率は高くなるといえる。
一方で、auでんきの場合、通信サービスとのセット割引を利用することもできる。サブブランドのUQ mobileが提供する「自宅セット割」の「でんきコース」は、auでんきやUQでんきが対象。割引が最も大きい「くりこしプランL +5G」の場合、3828円の月額料金が2970円まで下がる。割引額は858円だが、家族の回線も対象になるため、契約者数の分だけお得度が上がる。Pontaポイントの還元も受けられるため、実質的な還元率はドコモでんきより高くなるケースが多い。
ソフトバンクのソフトバンクでんきにも、「おうち割 でんきセット」と呼ばれるセット割引があり、毎月110円がスマートフォンなどの通信料金から引かれる。ソフトバンクでんきにはTポイントやPayPayボーナスでの還元がなく、セット割の割引額もUQ mobileに比べると低いが、通信料に対する割引を受けられるのはdポイントを通じた還元だけのドコモでんきにない魅力といえる。
ドコモは、「やはりまずはdポイント。(dポイントは)お客さまに好評なので、こちらの増量によってケータイをお持ちの方にメリットを感じていただくことを考えている」(小島氏)といい、現時点ではセット割よりポイント還元に重きを置いているようだ。一方で、キャリアが提供する電気サービスなだけに、ドコモでんきにもKDDIやソフトバンクのよう料金割引を期待する人は多いだろう。特にUQ mobileとauでんきやUQでんきの組み合わせに対抗するには、プラスαのサービスが必要になってくる可能性もありそうだ。
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