フライト中の機内でも「スマホの通信機能」が使える──楽天モバイルに聞いた“カラクリ”
2025年4月から、フライト中の機内でも楽天モバイルの回線を利用可能になった。AeroMobileの通信サービスを利用することで、機内ローミングに対応した。どう実現したのか、広報に聞いた。
2025年4月から、フライト中の機内でも楽天モバイルの回線を利用可能になった。AeroMobileの通信サービスを利用することで、機内ローミングに対応した。
機内ローミングは、地上のローミングと同様に、音声通話、SMS、データ通信を利用でき、海外ローミングと同様の料金体系が適用される。楽天モバイルユーザーが機内ローミングを使うには、事前にmy 楽天モバイルと端末の設定で、ローミング設定を有効にしておく必要がある。
航空機内で携帯電話を使用すると、信号が航空機のアンテナから衛星を経由して「AeroMobile」の地上ネットワークへ中継され、ローミング契約の確認後、地上でのローミングと同様の通信サービスを利用できる。
実際に利用できるようになるのは、「航空機が地上を離れ、高度約6000m以上に達した時点から」(楽天モバイル広報)だ。携帯電話の電波が届かない高度であっても、衛星を利用することで通信できる仕組みだという。
一方で、安全面への配慮から、航空機内での電子機器の使用には制限がある。特に離着陸時には、「携帯電話を含む電子機器を機内モードに設定するように」とのアナウンスが行われるのは、電波が航空機の運航に影響を及ぼす可能性があるためだ。
このため、楽天モバイル広報は「機内ローミングは地上や離着陸中など一部利用が制限されるため、客室乗務員の指示に従って使用してほしい」と、ユーザーに対して注意を促している。
搭乗後に機内ローミングを利用する手順
搭乗後に、機内ローミングを行う手順は、次の通り。
航空機に搭乗したら、まずスマートフォンの「機内モード」をオンにする。航空機が離陸してしばらくすると、機内の「携帯電話利用禁止」のサインが消える。その後、機内モードを解除する。
ただし、注意すべき点がいくつかある。例えば、飛行機が地上にいるときや、離陸や着陸の最中、また日本の領空内を飛行中、さらには携帯電話の使用が禁止されている国の上空を飛んでいるときなどは、機内モードを解除して通信を行うことはできない。
このような場面では、通信の利用は制限されるため、スマートフォンの操作を控え、必要なら客室乗務員に尋ねるといい。
機内モードを解除し、通信を再開できる状況になったら、次に確認すべきは、スマートフォンのモバイル通信がAeroMobileのネットワークに接続されているかどうかだ。もし自動で接続されない場合は、ネットワークの設定を確認し、AeroMobileを選択する。
AeroMobileに接続すると、AeroMobileからSMSが送信される。これを受け取れば、データ通信を含むサービスの利用が可能になる。
機内ローミングの利用には料金が発生するため、利用前に楽天モバイルの「海外ローミング 対応エリア・料金」ページで料金を確認しておくといい。
航空機が目的地の空港に近づき、着陸体制になったら、再び機内モードをオンにする。
機内ローミングに対応する航空会社の対象機
なお、2025年4月19日時点で機内ローミングサービスを利用できる航空会社の対象機は、以下の通りとなる。
- Aer Lingus:A330型機
- Asiana Airlines:A350型機
- Biman Bangladesh Airlines:B787型機
- Cathay Pacific:A350型機
- EgyptAir:B787型機
- Emirates airline:B777型機
- Etihad Airways:A350型機、B777型機、B787型機
- EVA Air:B777型機
- ITA Airways:A330型機
- Kuwait Airways:B777型機
- Lufthansa:A330型機、A340型機、A350型機、A380型機、B747型機
- Malaysia Airlines:A350型機
- SAS Scandinavian Airlines:A330型機
- Singapore Airlines:A350型機、B777型機、B787型機
- SWISS:A330型機、A340型機、B777型機
- Tap Air Portugal:A330型機
- Turkish Airlines:A330型機、A350型機、B777型機、B787型機
- Uzbekistan Airways:B787型機
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