インタビュー
「2005年は“改善”の年」――Moraプロデューサーが語る音楽配信への期待(後編)(2/2 ページ)
「“1週間だけ試聴できる”というような、無料体験楽曲の提供は、MoraでもMusicDropでもすでに行っています。先に述べた定額制サービスなどは、Windows DRMのバージョン10を使用することで可能になりますが、Windows DRMを採用したMusic Dropの売り上げが小さいために追加投資が難しく、DRMの柔軟性を全面的に高めるのも困難なのが現状ですね」
同社は2004年11月に音楽管理ソフト「SonicStage 2.3 for Mora」の無償配布を開始している。SonicStageはそれまでソニー製品に添付されるソフトという位置づけで、Mora推奨プレーヤーとしては「MAGIQLIP 2」が配布されていたが、MAGIQLIP 2はあくまでも再生ソフト。多くの楽曲を管理するには向かず、ポータブルプレーヤーへの転送機能も搭載していなかった。
「それこそ拝み倒して(笑)SonicStageを無償配布させていただいたのは、多くの人にMoraを試してもらいたかったからです。SonicStageも3.1になってMP3でのリッピングができるようになったりと改良が加えられていますが、これからもどんどん変わっていくと思います。変わっていくといえば、レーベルゲートとしても“Mora”のブランドをスタートさせた2004年4月から、楽曲の転送回数の変更やCD作成機能の搭載、ヤフーやAnyMusicへのサービス提供など、かなりさまざまな事に対応してきたという実感があります。それが今年ジワジワと効いてくるのではないでしょうか」
単なるプレーヤーソフトではなく、統合音楽管理ソフトであるSonicStageを無償配布した背景には、「まずは体験して欲しいと」いう意向が込められている。それは決済手段にも反映されており、Moraは会員登録をしなくとも購入ができる珍しい音楽配信サービスとなっている。
「会員登録不要で購入できるのは大きな武器だと理解しています。SonicStageの配布も含めて、いかに手軽に買ってもらえるかを常に考えていますし、個人的には“まず登録しろ”というのがイヤなんです(笑)。気軽に買える仕組みがMoraの一番のアドバンテージだと思っています」
CDパッケージと並ぶ流通を目指して――2005年のキーワードは“改善”
2004年12月、浜崎あゆみのニューアルバム「MY STORY」の全曲がCDパッケージ発売前に、PC(音楽配信)と携帯(着うたフル)の2つを利用した配信が行われた。このように、音楽配信ならではという提供が行われつつある一方、いまだに「聞きたい曲が配信されていない」というケースも少なくない。Moraでは15万曲、Music Dropでは10万曲を配信しているが、それでも市場に流通している楽曲をすべてカバーしきれてはいない。
「音楽配信はやると決めることよりも、決めた後の処理が煩雑だという側面があります。レーベルゲートに出資している企業でも、発売しているすべての曲を音楽配信向けに提供しているわけではないのですが、それはある意味仕方のないことだと理解しています。音楽配信にまつわる権利処理は、実際、それほど簡単に解決できる問題ではないという印象があります」
しかし、浜崎あゆみの先行配信を行ったエイベックスは鈴木亜美の先行配信なども行っており、赤坂氏は「今後はこうしたCDというパッケージだけではない流通方法も増加するのではないか。そうした動きは歓迎」と言う。また、エイベックスのみならず、その他のレコード会社も音楽配信について積極的な姿勢を見せ始めているという。
「レコード会社が提供してくれる曲数が増えたおかげで配信できる曲数もだいぶ増えてきましたし、ラインナップも充実してきたので、面白くなってきたと感じます。特に外資系レコード会社がたくさんの楽曲を提供してくれたことで非常に助かっています」
「わたしたちのサービスMoraも2000年のスタートからすればかなり進歩してきましたが、まだまだです。iTMSぐらいの域に達しなければいけません。iTMSのサービスは素晴らしいし、iPodというハードも素晴らしい。だから、私たちはハードウェアメーカーへ“誰もが欲しがるものを作ってください。私たちも品揃えを含め努力しますから”とお願いするわけです」
楽曲数の増加、新譜のいち早い提供など、音楽配信サービスとしての基本的な努力は継続していくという同社だが、携帯電話のミュージックプレーヤー化、ネットワーク対応家電の普及などが見られる中、次のアクションとしてはどのようなものを考えているのだろうか。
「Music Dropは現在、Windows Media Player10のウィンドウからしかアクセス・購入できませんが、Webブラウザからもアクセスできるようにしたいですね」
赤坂氏が今一番改善したいポイントとして挙げたのはMusic Dropの強化。一見地味なアクションに見えるが、実はこうした“改善”こそが、今年の大きな課題だという。
「わたし自身、昔からのiPodユーザーですが、持っているiPodは古くなってきたせいもあってバッテリーがずいぶんヘタってしまいました。そうした要望を言い続けてきたら、ソニーの新型プレーヤー(NW-HD5)はバッテリーが交換式になっていました。ハードウェアもソフトウェアも進化していくものだと思っています。iPodの良いところと悪いところ、iTunesの良いところと悪いところ、便利なところは見習えばいいし、良くないところは反面教師にすればいいのです」
「配信サービスについても、アメリカの配信サービスはある意味日本の後発だと私は理解しています。後発だからゆえに、iTMSのような良いサービスを提供できています。今度は日本のハードウェアとソフトウェアが改善を進めていく番です。その“改善”こそが2005年のキーワードになるのではないでしょうか」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
7
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
8
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
9
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR