もしも家が燃えてしまったら……?
わたしの親友はかつてフィラデルフィアで企業ネットワーキングコンサルタントを務めていた。彼女がすべての顧客向けに定めていた標準的な慣行の1つが、バックアップ、特にオフサイトバックアップに関するものだった。彼女はバックアップの手順を定め、顧客に実践するよう指示していた。だが、必ずしも顧客がそれを実践するとは限らなかった。
ある日、確か10~15年前だったと思うが、フィラデルフィア市庁舎のすぐ隣にあった大きなオフィスビルが火事で焼けた。
友人はそのビルに3社の顧客を持っていた。うち1社は彼女のアドバイスに従っていたため、翌日には別の場所でリースした機器を使って事業を再開していた。
残りの2社は彼女のアドバイスを無視していたため、一巻の終わりだった。事業の記録はすべて失われ、顧客が誰だったかも分からなくなった。
最悪の事態が起きたらどうするのか――9.11同時多発テロとハリケーン・カトリーナはこうした懸念を浮き彫りにするものだ。効果的なオフサイトバックアップを導入していた企業は、これらの災害に見舞われても回復がずっと容易だった。
これらの災害により、多くの小規模企業が消滅させられたのは確かだ。たとえ社員や幹部は生き残ってもだ(ついでに言うと、友人のアドバイス――1980年代のNetware時代だったと思うが――の中には、ソフトのインストールディスクかそのコピーもオフサイトに保管しておくようにというものもあった)。
複数の事業所を持ち、その間をVPN(バーチャルプライベートネットワーク)でつないでいる企業であれば、どんな規模の企業だろうと、それを利用して重要なファイルをどの事業所からどの事業所へでもバックアップできる。実際、HDDは安価なのでその方が実用的だ。
だがオフサイトバックアップは個人にも必要なものと考えるべきだ。およそ1年前、わたしはバックアップと災害復旧について語ったが、オンラインバックアップには触れなかった。
わたしがこのとき懸念していたのは、オンラインバックアップも含めたバックアップ手法の限界だった。つまり、実用的に考えると、フルシステムバックアップができないという点だ。
要は、250GバイトのHDDが100ドルもしない時代に、ただ1つの効果的なバックアップデバイスは2台目のHDDだと主張したわけだ。この主張はこれからも支持するが、オフサイトバックアップも必要だと付け加えておく。
このコラムではホームユーザーに焦点を当てる。企業には既に多くの選択肢があり、(ホームユーザーよりも)簡単に予算が使えるし、バックアップにお金を使わない理由を説明する方が難しいからだ。ハリケーン・カトリーナでダメになってしまったホームPCがどうなったかを想像してみてほしい。
このテーマが思い浮かんだのは、MCMagで最近オンラインバックアップサービスのレビューを読んだ時のことだった。何Gバイトものデータをバックアップするのは、今では非常に費用が手ごろだということが分かった。この種のサービスの1つ(Mozy)は、無料で2Gバイトのバックアップを提供している(しかも広告表示は最小限だ。詳しくはPCMagのレビューを見てほしい)。
これらのサービスはユーザーのデータのバックアップに特化したものだ。おそらくはそれが一般的なブロードバンド回線を介して使える唯一の機能であり、データのバックアップに限って言えば、ほとんどのユーザーはブロードバンドを介したバックアップのオーバーヘッドに気付くことはないだろう。
例えば、あなたがたまにすべてのデジタル写真やリッピングしたピンクフロイドの全作品をHDDに格納しているとする。大量の非圧縮データをアップロードしなければならないが、ほとんどの場合、オーバーヘッドに気付くことはないだろう。
そして「HDDにアクセスできない」という状態は、聖書に書かれた洪水や戦争が起きずとも発生する。あなた(あるいは10代の子ども)がWindowsを使用不能にするスパイウェアをHDDにダウンロードしてしまうこともあるかもしれない。
マルウェアに感染したコンピュータが使用不能になり、新しいコンピュータに買い換えた方が安上がりで簡単、ということは珍しくない。その時あなたは、たとえすべてのソフトをインストールし直さなければならないとしても、データのバックアップがあるという幸運に感謝することになる。
PCMagがレビューしたサービスに1つ不満があるとしたら、システム構成を簡単にバックアップする方法がないという点だ。
システム構成はWindows Backupプログラムで「System State」と呼ばれ、主にレジストリで構成されている。新しいシステムを作ってソフトをインストールし直す場合、カスタマイズやライセンスキー、キャッシュされたパスワードなど、ないと不便なデータが大量に失われているだろう。
その中にはInternet Explorer(IE)のお気に入りなど、ある程度ユーザープロファイルバックアップでカバーされるものもあるが、それはいい方だ。
完全なシステムイメージを簡単にオフサイトバックアップできればいいのだが。とは言え、たとえ火星人(だろうと何者だろうと)がわたしの町を襲撃しに来ても、タダかタダ同然で重要なデータファイルを安全に保管できるというのはいいことだ。何が起きるか分からないのだから。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「楽天ドライブ」アプリから「データ漏洩」「ハッキングした」通知? 運営元「緊急調査中」「通知を開かないで」
-
2
陸自が「イオンモール熊本」内部をドローン撮影 防衛省が映像公開
-
3
PayPayアプリで熊本地震への寄付が可能に 最短3ステップ・1円から
-
4
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
5
ドコモ、ahamoを30→40GBに増量 8月1日から 料金据え置きの新キャンペーン
-
6
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
“ダサい”不評の「ドコモの銀行」、従来のアプリアイコン選択可能に 「ご意見・ご要望も踏まえ」
-
9
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
10
熊本で非常時Wi-Fi「00000JAPAN」発動中 KDDIが無料開放、他社ユーザーも利用可
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR