小寺信良
ハンディ&ハイエンド、「DR.DAC2」の素敵(3/3 ページ)
さらに面白いのは、DR.DAC2は内部のオペアンプが自分で交換できることである。オペアンプとはIC状になった増幅器だが、DR.DAC2では、I-V変換(電流を電圧に変換)とフィルタリングのFDO(Full Differential Output)部分にPhillipsの「NE5532N」というオペアンプを3つ、ヘッドフォン用アンプとしてBurr-Brownの「OPA2604AP」、ライン出力に同じく「OPA2134AP」を採用している。
これらはすべてソケットで実装されており、自分で好みのオペアンプを探して差し替えることで、音質のチューニングを楽しめる。オペアンプの交換に関しては、以前に本田雅一氏の記事(ヘッドフォンアンプ高音質化作戦~Stage1「オペアンプ交換」)も掲載されているので、こちらが参考になるだろう。
オペアンプはシングル(モノラル)とデュアル(ステレオ)のものが存在するが、音質改善のためには、変換基板を使ってシングル2つをデュアル化するという手法がよく使われる。ただDR.DAC2の場合、FDO部の3つは隣接しているため、変換基板がぶつかってしまう。FDO部の3つを交換する場合は、デュアル仕様のものを探す必要がある。
開け方は簡単で、FDO部とヘッドフォン部のオペアンプ交換は、背面真ん中にあるネジを1本外すだけで、天板がスライドする。ライン出力部の交換は、シャーシが邪魔するので、前面と背面のネジを外して基板をシャーシから抜き出す必要がある。
今回はヘッドフォン部をOPA2604APから「OPA627BP」×2、ライン出力部をOPA2134APから「OPA604AP」×2に交換してみた。時間がなくて一度に交換することになったが、本来ならば1ステップずつ交換して、音の違いを楽しみたいところだ。
オペアンプ交換によって劇的に音質が向上、と言いたいところだが、もとのチップも決して悪くないので、一定のグレードは保ったまま、音のニュアンスを変えるといった感じが表現として適切だろう。例えば破擦音の抜けが良くなるとか、細かいタッチの違いがわかる人は、結構ハマるに違いない。
オペアンプ自体はグレードにもよるが、1個300円から600円ぐらいが相場だろう。もちろんもっと高級品もある。アキバでも見つかるし、通販でも売るところがあるようだ。
昔PC自作でならしたものの、最近はすっかりアキバとはご無沙汰という方、久しぶりにアキバでオペアンプ探しというのはどうだろう。真空管まではさすがにアレかと思っている人も、PCの出力も気軽にアップグレードできて、しかも自作的要素もあるDR.DAC2は、オーディオいじり再入門としては実に楽しいガジェットだ。
小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は小寺氏と津田大介氏がさまざまな識者と対談した内容を編集した対話集「CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ」(翔泳社) amazonで購入)。
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