100ドルノートPCの次は――「5ドルデバイス」で世界を救え(2/2 ページ)
ユーザーは複数のオーディオプログラムを保存して再生でき、新しいオーディオプログラムを録音することもできる(ほとんどのユーザーにとってコストが安くなるよう、この機能は最も基本的なバージョンには搭載されないかもしれない)。オーディオコンテンツをTalking Bookからコピーしたり、同デバイスにコピーできる。オーディオを低速で再生して、文章を読む練習ができる。音声ハイパーリンクでプログラムのほかの部分に飛んで詳細情報や関連情報を入手することや、択一式の問題に解答して双方向的な学習をすることも可能。オーディオプログラムには、文字コンテンツを含む別のファイルを入れることもでき、それによってテキスト情報を別のコンピュータに転送して表示、処理、印刷することができる。Talking Bookは音声を外部スピーカーに転送する(FM伝送で近くのラジオに送る)ことも可能だ。地域で購入できる標準的な電池が使えるが、太陽エネルギーを使ってキオスクで充電できる新しいバッテリーにも対応する。XO(100ドルノートPCとも呼ばれる)と連係する。
シュミット氏は、同氏はTalking Bookが「世界の貧しい国で知識を広める方法に革命を起こし、読み書きのスキルを劇的に向上させることができると考えている。これは、われわれがインターネットを使っているのと似たような方法で利用されるが、ユーザーの世界に合わせて使われるだろう。われわれは自治体と協力して、HIVやマラリアのまん延を防ぐ方法などの医療情報、農業情報、小さな会社を経営する方法などの経済情報を提供しようとしている」。
シュミット氏は、南アジアとアフリカのサハラ以南の地域の成人の40%は、国際連合の基本的な識字レベル――自分自身に関する単純な文章を読み書きできる――に達していないとする調査結果を挙げた。
「われわれが作っているようなデバイスは、非識字に別の側から対処する力を持っている。誰かが読み書きができるようになって助けてくれるまで待つことはない」(同氏)
また、同氏は最近ガーナへの旅行にTalking Bookのプロトタイプを持って行った。同デバイスを使うことになるであろう人々からフィードバックを得るためだ。旅行後、同氏のチームは、明るいオレンジ、青、緑の3色の新しいプロトタイプを考案した。「電気の来ない地域では、明るい色の方が(本体が)見えやすいからだ」という。
次のステップは、最新版Talking Bookのパイロットテストだ。ガーナの村人に50~100台使ってもらうと同氏は語る。
さらに、シュミット氏は前回のガーナ旅行で、村人の役に立つコンテンツを録音してもらうため、多数のデジタルボイスレコーダーを地元大学で配った。
Literacy Bridgeがガーナを最初のターゲットとして選んだのは、読み書き学習と知識の共有に対する「ニーズとサポート」のバランスが取れていたためだと同氏は説明する。同氏は、アフガニスタンやコンゴのような場所ではおそらく、ニーズの方が大きくて「サポートは少なく、課題も多いだろう」と認めている。Literacy Bridgeが次に目指すのはインドで、その後はケニアだという。
同氏は、元国連事務総長コフィ・アナン氏が2003年に「国連識字の10年」を始めると発言したことを引き合いに、自らの信念を示した。当時、調査によると読み書きのできない人は全世界で8億8000万人を超えていた。その後の調査で、2015年の時点でも、読み書きできない人はまだ6億人以上いるとの見通しが示された。
「2015年と言えば、国連識字の10年が終わってから2年後だ」とシュミット氏。「わたしにはこのペースでは不十分に思える」
クリフ・シュミット氏は決意にあふれている。確かにこの取り組みを成功させられる人物だ。わたしは同氏を、この業界の本物の友人の1人と思っている。同氏は多面的な人だ。MIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業した後、危険海域近くで任務をこなす原子力潜水艦の乗組員になり、自由な世界を守ることに時間を投じた。危険海域に踏み込んだかもしれない。実際、その可能性は高い。そのころのことはあまり教えてくれないが、ほとんど当たり障りのない軍事活動や諜報活動をしてきたのに「話せば君を殺さなければならない」などと言うような偽物ではない。本物だ。同氏は背が高くてきゃしゃで、口調は優しいが、気が弱くはない。以前には、Microsoftで輝かしいプロジェクトの幾つかに参加したり、BEA Systemsで働いていたこともある。映画制作の仕事をしたことも。
Literacy Bridgeがその構想を実現したら、いつかそれを描いた映画だってできるかもしれない。シュミット氏の役を演じるのは誰だろうか? トム・クランシーのジャック・ライアンをオタクにして、世界を救う非営利団体のトップにしたら……クリフ・シュミット氏になるだろう。
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