デジタル一眼レンズの楽しみ
第2回 ライカ印のコンパクトマクロ――パナソニック「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」
パナソニック「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」は、2009年秋に発売されたマイクロフォーサーズ準拠のマクロレンズです。画角は35ミリ換算で90ミリ相当に対応し、最短撮影距離は15センチ、最大撮影倍率は1倍(等倍)となります。
外装はフルブラックの樹脂素材。全長は62.5ミリで、重量は225グラム。マイクロフォーサーズ用レンズの中では際立って小型軽量というほどではありませんが、それでも気軽に持ち運べる携帯性があります。
このライカブランドのマクロレンズを持って、上野公園にある国立科学博物館に行ってきました。上野動物園と並んで小中学生の遠足コースとして定番の場所ですが、実は、子どもだけでなく大人にとっても楽しめる絶好の撮影スポットでもあります。トリケラトプスの骨格標本から、忠犬ハチ公、パンダのはく製、ミイラ、零戦21型、エレキテル、茶運び人形、隕石のかけら、人工衛星まで幅広いジャンルの展示物が所狭しと並び、見る人の想像力と好奇心を刺激する“自然科学の聖地”なのです。
これらの展示物を広角や標準ズームで撮るのもいいですが、真正面から全体を写すと、単に展示を記録しただけの説明写真になりがち。しかも、ほとんどはガラスケースで囲まれているため、アングルの自由度はありません。そこでお勧めなのは、マクロレンズを使って対象物にできるだけ接近し、切り取る感覚で一部分を大きくとらえる撮り方です。対象を1つに絞って、被写体の情報量を減らすことで、肉眼で見て感じた印象とはひと味違った雰囲気の写真に仕上げることができます。
上の写真は、砂漠に住むネズミ「オオミユビトビネズミ」の骨格標本です。その神秘的なイメージを生かすために、ホワイトバランスをマニュアル設定して電球光の赤みを完全に除去し、透明感のある色合いにしています。絞りは、開放値のF2.8では被写界深度が浅くなりすぎるためF8まで絞り込みました。
次の写真は、オーストラリアの肉食動物ディンゴのはく製です。どのはく製も、眼差しには哀愁が漂っていますが、写真に撮るといっそう物悲しい表情になる気がします。絞りは、開放値のF2.8に設定。口径食の影響で、光源の描写は周辺部になるほど楕円形になっています。
マクロ撮影で特に気を付けたいことは、ピント合わせと手ブレ対策です。被写体に接近すればするほど被写界深度が浅くなるため、撮る際にカメラの位置が少し前後しただけでもピンぼけの失敗が生じがちです。かといって、被写界深度を深くするために絞りを絞り込むと、シャッター速度が低下して手ブレの危険が増します。
「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」は光学式の手ブレ補正機構を備えていますが、1メートルより近距離になるにしたがって補正の効果は徐々に減少し、最短撮影距離付近ではほとんど効果がありません。このことは本レンズに限らず、シフトブレの補正に対応していない多くのマクロレンズに共通した弱点です。
しかも館内は薄暗い上に、三脚の使用はできません。手持ちでカメラを支えながら、きっちりとピントを合わせ、ブレないように慎重にシャッターボタンを押す必要があります。どのくらいのシャッター速度なら手ブレせずに撮影できるか、前もってテストして自分の限界値を知っておくといいでしょう。
下の写真では、首に掛けたストラップをピンと引っ張るようにしてカメラを固定することで、1/2秒の低速シャッターをかろうじてブラさずに撮ることができました。被写体は、大正期に生産された掛け時計の内部です。さらに、その下の鳥のはく製の写真も、同じような構え方で撮影したものです。正確にピントが合うと、開放値でもシャープに解像するレンズの描写力の高さを確認できます。
最後の写真は、博物館ではなく上野動物園のバードハウスで撮影したルリゴシボタンインコです。「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」とDMC-GH2の組み合わせでは、コントラストAFは軽快に作動し、ちょっとした動きのある被写体でもスムーズにピントが合います。インナーフォーカスなので、ピント駆動によって前面が飛び出ない点も使いやすいといえます。このレンズ1本を持って行くだけで、博物館や動物園を丸一日飽きることなく楽しめるでしょう。
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