麻倉怜士のデジタル閻魔帳
見えてきたテレビの高画質化、そして次世代BDの姿――「2014 International CES」(後編)(2/3 ページ)
麻倉氏: ソニーの商品企画部長に話を聞くと、昨年は4Kテレビを13モデルも出したのにユーザーの受けがあまり良くなかったそうです。中には「直下型が出るまで待つ」という方もいて、それで直下型を作ったと話していました。
パナソニックの場合は、「プラズマをやめたのだから、プラズマと同じ画質を作れ」と事業部長指令が下ったそうです。今回の展示機には直下型LEDバックライトとローカルディミングも採用していました。
シャープの場合は、「ICC PURIOS」で直下型を手がけましたが、周知の通り、そのときはコントラストよりもユニフォミティー(輝度均一性)にふったものです。しかし今回は輝度とコントラストに力を入れた「DolbyVision」(ドルビービジョン)対応の試作機を展示しました。ドルビービジョンは直下型LEDバックライトが前提ですから(後述)。
東芝の場合は、昨年秋に発売した「Z8シリーズ」で直下型とローカルディミングを採用しました。次は4Kテレビに採用し、コントラストと輝度にふるようです。
要するに、4Kパネルを使って解像度を上げただけでは“4Kらしさ”が出ないのです。解像度にコントラスト、階調表現、そして色再現生、4つそろって初めて「4K」(4つのKOGASHITSU)になるのです。
――なるほど
麻倉氏: ただ、一口に直下型LEDといっても、RGBのLEDを使って色再現域を広げる手法と、白色LEDでやコントラスト表現を向上させる手法の2通りがあります。ソニーにどちら重視するのかとたずねたところ、「低消費電力で色とコントラストを両立させるのは難しいため、色にした」と話していました。しかし、今後は低消費電力を確保しつつコントラストも上げていくそうです。また今回はピーク輝度を上げるアプローチもありましたね。
デジタルカメラの世界では以前からHDR技術が注目を集めていますが、今年のCESではテレビメーカー各社も同じことを話していました。今後は1つの大きなトレンドになるかもしれません。
――「ドルビービジョン」もその1つですね
麻倉氏: 米Dolby Laboratoriesが発表したドルビービジョンは、エンドツーエンドのHDRソリューションです。映像制作からテレビのような再生環境に至る流れの中で、最初からHDRの仕掛けを仕込む方向性ですね。CESで中国のTCLとシャープがドルビービジョン対応の試作機を披露したほか、米Visioも開発中です。各社ともHDR的な展開を考えていることが分かります。
――ドルビービジョンについて、もう少し詳しく教えてください
麻倉氏: 例えば映画をオンライン配信するケースを考えてみましょう。フィルムスキャンから各色12bitで取り込み、高画質マスターを作ります。もちろん、そのままでは現在のテレビでは再生できませんから、配信時には各色8bit、BT.709準拠の色空間を持つベーシックレイヤーと、12bitとの差分を持つエンハンスレイヤーに分け、同時に配信します。ドルビービジョンに対応したテレビは両方を受け取ってデコードを行い、高画質で再生できますし、そのほかの一般的なテレビはベーシックレイヤーのみをデコードするので、こちらも普通に視聴できます。伝送部分の考え方は、パナソニックのMGVC(マスターグレード・ビデオコーディング)と似ていますね。
実は、ドルビービジョンが関係してくるのは4K版の次世代Blu-ray Discです。次世代BDは、来年のInternational CESで発表することを目標にしてBDA(Blu-ray DIsc Association)が討議中ですが、基本的な方針として現在と同じ12センチ光ディスクを使い、読み取りレーザーも同じ。コーデックにはH.265(HEVC)を用いますが、容量的にはまだ足りませんから、おそらくディスクは多層化することになるでしょう。
ただ、ハリウッドのスタジオ各社は、4K化にプラスして新しいトピックを入れたがっています。その1つがHDRで、各色12bit化も可能性はあります。もちろん、それがドルビービジョンになるかは分かりません。理由はIP(ライセンス料)が高いからです。
――納得しました
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR