本田雅一の「男の白モノ」
静かになった「Dyson Cool」、サーキュレーターとしても使えるか(2/2 ページ)
ヘルムホルツ共鳴とは、瓶の口に息を吹きかけた時に音が出る現象と原理は同じ。Dyson Cool内部で発生する空気の流れによって共鳴が発生する空洞を作り、その空洞の共鳴周波数をインペラーが発生するノイズの周波数と合わせておく。さらにインペラーと空洞の距離を最適化し、逆位相で両者の振動がぶつかるように配置すれば音が打ち消される。
共鳴する周波数は空洞の大きさで変えることができ、ノイズ発生源と空洞出口の距離を調整すれば位相を逆に合わせ込むことも可能だ。これだけなら、これまでのDyson Coolと同じようによく似たコピー商品がすぐに出てくるだろう。
しかし、原理がシンプルなだけに、文字で上記のように書くのは簡単だが、実際にはかなり難しいのではないかと思う。いくつか疑問が湧いたのでいくつか質問してみた。
Dyson Coolがウルサイと感じるのは、モーターが高速回転させることで発生する音をインペラーが増幅し、高い周波数にノイズ集中しているからだった。筆者も所有している「Dyson Hot&Cool」は型名は変化していないものの少しずつ品質が安定したようで、2年目に実家に買って送ったものがずいぶん静かに感じられるなど、それなりに工夫をしているようだった(おそらく発生ノイズの周波数を分散させていたのでは?)。
それでも、やっぱりウルサイ。実は中国メーカーのコピー商品も知人宅でみかけたことがあるのだが、それらはさらに大きな音がする。Dyson Coolのような高周波音だけでなく、さまざまな周波数のノイズが混ざり合い、筐体(きょうたい)全体の振動がそれをさらに拡大しているような印象。とても最大風量などでは我慢できない。要は発生するノイズや風の通り道で発生する振動を、どうにもまったくコントロールできていないようだ。
なぜこのようなことを書くかというと、ヘルムホルツ共鳴を発生させる空洞は、単一周波数でしか共鳴しない。第2世代Dysonに内蔵される空洞は1kHzに調整されているため、モーター+インペラーが発生する音も1kHzに集中させる必要がある。この原理では、ほかの周波数の音は下げられないからだ。
ということで、筆者は「1kHzにノイズを集中させるよう、モーターやインペラー、空気の流路を最適化したの?」と質問してみた。すると、やはりインペラーの形状などを最適化して周波数が分散しないよう工夫することで、ノイズキャンセリング性能を上げるよう工夫したのだという。
ヘルムホルツ共鳴によるノイズキャンセルが万能であればいいのだが、アクティブ回路でのキャンセリングではないため、キャンセルできる周波数は限られる。発生するノイズのエネルギーを、いかに特定帯域に押し込めるか? が、この方式のキモというわけだ。もちろん、”他の周波数帯でノイズを出さない”工夫には、前述した流路の最適化も含まれている。これをコピーメーカーが簡単に真似るのは難しい。
もっとも、同じことはダイソン自身が販売しているファンヒーター「Dyson hot+cool」(ダイソン ホットアンドクール)にもいえるだろう。「Dyson Cool」の内部はシンプルで、ノイズ発生源と共鳴管の出入り口の間はガランと空いた空間。またインペラーから吹き出し口までの経路にもジャマするものは何もない。しかし、ヒーターとの熱交換が必要なホットアンドクールでは、そうはいかないだろう。
発生ノイズの周波数が分散してしまうと、ノイズキャンセル効果は下がってしまう。ということで、現在のところホットアンドクールの低騒音版は「鋭意開発中」とのこと。なかなか難しい開発になるのではないか。
とはいえ、多少ノイズ低減効果が下がったとしても、個人的にはあのキーンというモーター音がなくなるなら6dBの効果がなかったとしても……と思うのだけど、さて次の冬までに開発が終わるかな? と、ホットアンドクールの新モデル登場にも期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本田雅一の「男の白モノ」
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR