「科学が進歩すると、それはそれで疲れる」――2026年描く「劇場版 ソードアート・オンライン」伊藤監督の“未来観”(1/3 ページ)
「科学が進歩すると、それはそれで疲れるんじゃないか」。近未来の技術を描いたアニメ映画「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」の伊藤智彦監督は、そんな考えを語る。
映画の舞台は2026年。個々人の食生活データが収集され、人工知能(AI)が分析して好みを把握、それぞれの舌に合ったスイーツをおすすめする――というシーンがあるなど、日常にAIが溶け込んだ世界を描いている。そうした技術がさらに発達することを、伊藤監督はどのように思っているのか。
伊藤監督インタビュー(前編)
ARをアニメで表現する難しさ――「劇場版ソードアート・オンライン」制作裏話、伊藤監督に聞く
近未来のAR・VR技術を題材にしたアニメ映画「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」。昨年から今年にかけてスマートフォンゲーム「Pokemon GO」が社会現象になるなど、AR技術は身近になりつつある。しかし、進化した近未来の技術を想像し、アニメの世界で描くのは容易ではないはず。架空のガジェットや技術はどう描かれたのか、その制作裏話を伊藤智彦監督に聞いた(※ストーリーの核心に迫るネタバレはなし)。
「効率化なるものには異を唱えています」
――「劇場版SAO」は、AIなどの技術がテーマになっている。こうした技術が今後発展していく中で、伊藤監督はどんな社会になってほしいと考えているか。
伊藤監督 基本的にそうした技術は、人がやることを楽にするために作られているはず。作業時間がそれまでより短くなったことで生まれる余裕を使って、考える作業をするというのが、科学進歩の歴史だったと思います。ただ、それはそれで疲れるんじゃないかなと。そんなに楽をしなくてもいいんじゃないかというのが、最近の俺の中の考えです。
例えば、通販サイトのサジェスト機能で、商品をおすすめされても「別にいいよ」と思ってしまう。ちょっと過剰なサービスなんじゃないかと。ビッグデータとして個々人の情報を仕入れて何をしたがっているのか。可能性としては現実シミュレーションを作りたいのかもしれませんが、そこまで誰かに行動を予測されたくはないです。
――劇中では、AIが登場人物の好みを把握し、それぞれに合ったスイーツをおすすめするシーンがある。本人たちは「便利」と話していたが、伊藤監督の考えは。
伊藤監督 あのシーンは「たまたまケーキの好みが当たった」「嫌いじゃないよ」くらいの、間尺が短い瞬間だから喜べると思うんです。だから、それ以上におすすめをされると、はずれを選ばないことが「そんなによいのか」と。例えば「この映画が面白いよ」とおすすめされても「いやいや、たまには面白くない映画だって見たい」と思うんです。はずれもひっくるめて経験にしたいんです。
効率よく何かを得るというのは、忙しい人にはいいかもしれないが、そうでないものも混ぜて体験したいなと俺は思うので、効率化なるものには異を唱えています。主題がずれてしまうので、「劇場版 SAO」の中ではそういう場面は描いていませんが。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
山中で遭難の16歳少年、登山計画に生成AI「Claude」利用 救助隊は「ルートの妄信」警鐘
-
2
「お前たちのクラウドはわれわれのもの」 IDCFクラウドの管理画面に出た攻撃者のメッセージ 内容に運営元は
-
3
JR東日本、「えきねっと」「ビューカード」などで漏えいか メルアドなど最大609万件 IDCFへの不正アクセスで【追記あり】
-
4
SBI証券、Google・Appleパスキー乗っ取り被害「確認されていない」 注意喚起は他社事案
-
5
金融庁、本人確認の「ICチップ一本化」へ早期移行を要請 免許証画像の漏えい相次ぎ
-
6
履歴書100通に1通「AIだけが読める文字」 20万件調査でわかった“就活ハック”の手口 米研究
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
米国防総省にも不正アクセス 個人情報300万人分が平文で漏えいか……発覚までに9カ月
-
9
ブックオフに不正アクセス、最大約643万件の個人情報流出 氏名、住所、ハッシュ化パスワードなど
-
10
Amazon、「Fire」に代わる新タブレット「Amazon Alexa Tablet」発表 「Amazonキッズタブレット」は日本でも発売へ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR