品川女子学院が英語の自主学習に「AI」導入 その狙いは?(2/2 ページ)
時代に合わせたことによる「課題」
先述の通り、品女は積極的にIT教育に取り組んでいる。英語科の指導においても例外ではない。
同校の英語科主任である小池志穂教諭によると、英語科におけるiPadの活用は、Evernoteで小テストの予定表や過去の小テストを共有するところから始まったという。
その後、「Quizlet」を使って単語の自主学習環境を構築した。当初は教師が単語カードを作成していたが、途中から生徒が分担して作るように切り替えたという。カードの共有者(生徒)もカードを自由に編集できるというQuizletの利点を生かした形だ。
現在は、単語帳に合わせたアプリを使って自習環境を構築している。他にもディスカッション授業におけるテーマの事前調査、洋書の多読においてiPadを活用している。
ICT(iPad)導入以外の面でも、品女の英語科は指導方針を時代に合わせて変更している。
例えば、生徒に受験を推奨する外部検定試験を「TOEIC」から英検と「GTEC」に切り替えた。スピーキング(会話)とライティング(文章作成)といったアウトプット能力を客観的に知るためだ。ネイティブスピーカーの英語に触れる機会を増やすため、英語を母語とする教員の増員、英会話学校の講習やSkypeを活用した「セブ島マンツーマン講習」にも取り組んでいる。
日本人教師による授業も大きく変えた。従来は私立中高一貫校で導入例の多い検定外教科書「NEW TREASURE」(Z会出版)を使ったインプット主体の授業だったものを、検定教科書にあるスキット(寸劇)を活用したアウトプット主体の授業に切り替えたのだ。
「アウトプット主体に切り替える」と言うだけなら簡単だ。しかし、課題もある。
同校の英語科教諭で、国際交流・グローバル教育部長でもある小池志穂教諭によると、英検準2級(高校中級程度)以上の2次試験を受験する希望者に対して個別の面接指導を行っているという。
しかし、指導に対応できる教師の人数と時間の制約で、各生徒の状況に応じた指導を十分に行えないという問題が発生した。結果、面接指導の対象者全体への告知を控え始め、「生徒側が相談してきた時のみ指導に応じる」という運用にせざるを得なくなってしまった。
スピーキングの練習をする機会をもっと増やしたい――その方法を検討している中で、ジョイズの井口一真COOと出会い、テラトークの試験導入を決めたのだという。
生徒にプラスになることは100%の確信がなくても取り組む
「少ない予算をやりくりして、何とか工夫して、生徒のために少しでもプラスになりそうなことがあれば100%の確信がなくても取り組む」
記者向け説明会の冒頭であいさつに立った澤本圭一教頭は、品女の教育方針についてこう語った。
生徒の将来の可能性を広げ得るものには、安全面に配慮しながら外部企業と協力して積極的に取り組んでいく――このような学校としての考え方がITの積極的な導入につながっている。テラトークを自習教材として試験導入することも、その延長線上にありそうだ。
夏休みが終わり、品女の生徒のスピーキング能力は上がるのだろうか。結果に注目したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR