これからのAIの話をしよう(クイズ編)
強すぎて「会場がシーンと……」 クイズ王を圧倒した“早押しAI”の衝撃(1/2 ページ)
「会場がシーンとなってしまって、すごく居づらくて……」――エンジニア集団「Studio Ousia」の山田育矢CTO(最高技術責任者)は苦笑いする。
2017年12月、人工知能(AI)に関する世界最高峰の国際会議「NIPS 2017」(米カリフォルニア)で、山田さんらが開発した“早押しクイズAI”が、人間のクイズ王のチーム6人に勝利した。スコアは465対200、圧勝だった。
開発したAIの解答システムは、クラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)上のサーバで動作させた結果を用いているが、サーバ自体は特別ハイスペックなものではなく「性能が良いラップトップPCとほぼ同等の計算性能のもの」(山田さん)という。
敗北したクイズ王の1人は「狐につままれたようだ」と漏らしたという。「終盤は人間が答えると歓声が上がっていた。人工知能のコンペなのに(笑)」(山田さん)
連載・これからのAIの話をしよう
いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。
クイズ王との戦い、「早押しを意識」
対戦は「クイズボウル」という形式(英語)で行われた。まずコンペティションに参加するチームが開発したAI同士で争い、優勝したAIが人間のクイズ王チームと戦う。クイズ王チームは、米クイズ番組「Jeopardy!」の優勝者で「Who Wants to be a Millionaire?」(邦題:クイズ$ミリオネア)で好成績を収めた人物など6人だ。
クイズボウルの特徴は、“早押し”で答えること。問題文の早い段階で正解すると15ポイント、遅い段階なら10ポイントを獲得。間違えると5ポイント減点の上、問題文が最後まで読まれて相手に答えるチャンスが巡ってくる。クイズ王側は物理的にボタンを押すが、AI側は実際にはボタンは押さず、正解の候補にたどり着いた段階で“早押し”したとみなす。
例えば、答えが「豊臣秀吉」になる問題文は以下の通り。早い段階で答えるのは難しいが、最後まで読むと「クイズ王ならほぼ正解できる」(相手の得点になる)ため、解答の精度を維持しながらも攻めるタイミングを見極める必要がある。
He displaced one of his rivals by giving the Kanto domain to them, which precipitated that family's move away from the Chubu region. This man redefined class relationships based on kokudaka, or amount of agricultural production. He became so enraged at his nephew Hidetsugu that he killed thirty of Hidetsugu's female relatives, and he failed to get past Korea in an attempt to conquer China. In order to enforce an order that allowed only samurai to bear arms, this man started the Great Sword Hunt. For 10 points, name this successor of Oda Nobunaga who unified Japan before being succeeded by the namesake of a shogunate, Tokugawa Ieyasu.
「このコンペはタスクの難易度が高い」と山田さん。参加した50チームのうち、正常に作動するレベルまで“完成”にたどり着いたのは数チームだったという。
AI同士の対戦では、山田さんらが開発したAIが1145ポイント、相手が105ポイントと大差をつけたが、人間のクイズ王と戦うとなるとさらに難易度は上がる。16年、山田さんらのAIは、クイズ王相手に155対190で敗れていた。AI同士のコンペを意識し、全文が出たときの解答の精度を重視したために、早押しへの対応が不十分だったという。
「人間と戦うには早押しを意識しないといけない」。リベンジだった。
リベンジマッチを制した「ディープラーニングモデル」と「情報検索モデル」
今回、山田さんらは、2つのディープラーニング(深層学習)モデルを用意した。うち1つは、質問文に対して解答を予測するモデルだ。
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